一枚板で人気の樹種(種類)はどのようなものがあるか
2021.1.30
一枚板とは
一枚板テーブルという言葉を聞いて皆さんはどういうイメージを持つでしょう。
「直線的なものではなくユニークな形状をしている」
「自然で生まれた表情がそのまま残っている」
など、いわゆる「ありのままの姿」を活かしてあげたテーブル天板である、という認識でしょう。
基本的にはその通りです。
一枚板テーブルとは一本の原木から取り出される、接ぎ合せの全くない一枚の板を用いて作り上げられたテーブル天板を使用したテーブルのことを指します。
当然、木が大きく成長する過程において枝葉を伸ばしたり、幹を曲げながら成長したりと自然環境に適合しながら育つ生き様が、材面にも多く表れていきます。
ここでテーブルを生活の道具となるべき家具として考えることとしましょう。
あまりにも大きいカーブを描いた形状や、樹齢の幼い、細い幹から作り出された奥行の狭い天板は実際に食卓として使うものとしてはなかなか難しくなります。
特にテーブル天板としての奥行は800ミリ以上あることが、向かい合わせで座った時にも適度な距離感としっかりとものが置ける使いやすい食卓の必須条件となってきます。
そのため一枚板には樹齢を重ねた大木で、且つ幹の成長も通直、つまり真っ直ぐに近い育ち方をした原木が求められます。
しかし現実としてその様な大木が簡単に手に入るかというと、これもまた難しい問題です。
高樹齢且つ、通直な形状の原木からつくられる一枚板のテーブル天板は非常に希少価値の高いものとなっていきます。
それをクリアした一枚板テーブルは、装飾性と暮らしの中心となる利便性を兼ね備えた存在感を発揮してくれます。
トチ
栃の実が生ることでおなじみのトチ。
全国的にも高樹齢の巨木が多いことでも有名です。
各地にいわゆる「御神木」と呼ばれるような巨大で荘厳な立ち姿を楽しむことができます。
手つかずの自然が残された水の豊富な場所、中部地方や東北地方で主に見ることができる広葉樹です。
「マロニエ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
フランス語で栃の木のことで、パリのシャンゼリゼ通りにはマロニエ並木が人々の目を楽しませています。
マロニエと栃はほとんど同種であり、日本では「西洋栃の木」と呼んでいます。
栃は大きなてのひらを広げたような葉も特徴的で、新緑の季節には更に美しい姿を見せることで古来より人々に親しまれてきました。
画像はそのトチの一枚板テーブル。
周りに置いている無垢材チェアは北米産のブラックウォールナット材で作ったもの。
ウォールナットはクルミの実がなる木ですが、同じように「実をつける木」同士のいわばコラボレーションです。
艶やかでやさしい木肌は違う色素の木を組み合わせても受け入れてくれるおおらかさがあり、コーディネイトにおいての万能性は大きな特徴です。
クス
日本の巨樹ランキングで上位10本の半数以上を占めるのがクス(クスノキ)。
樟脳(しょうのう)の原料としても用いられるクスノキは、香木としても古くから仏像の材料としても使われてきました。
どことなくほんのりと漂う香りは、使う人に心の安らぎをもたらしてくれます。
他の無垢材家具同様に、このクスも無着色で仕上げることで木本来が持っている自然の色味を活かすことが出来ます。
「〇〇色」という概念から取り払われた自然色は、周囲に合わせる家具や建材を選びません。
写真のダイニングはクスの一枚板テーブルを取り囲むようにチェリー、ウォールナット、メープル、ナラ、タモなど様々な樹種のチェアたちと溶け合っています。
ケヤキ
日本の広葉樹の中でも最大級の知名度と高級性を持つケヤキ。
神社や寺社仏閣の建築材として重用され、住居の大黒柱や楽器の大太鼓など様々な用途で使用されています。
堅牢さと高耐久性もさることながら、何よりも威風堂々とした立ち姿から生まれるダイナミックな木目が多くの人を惹きつける要因です。
ケヤキの一枚板テーブルは、その空間に威厳を持った存在感をしっかりと見せてくれます。
ケヤキは水源の近くに生えることが多い木です。
そこで昔の人たちはケヤキの近くに井戸や寺社などをつくり、地域のランドマークとしました。
いわば暮らしの中心にケヤキがあったのです。
一方で住まいの中心となるダイニングスペースはそこに住まう人にとって、家の「顔」であり中心。
その場所にケヤキを用いるということは、はからずも暮らしの中心にケヤキを用いることとなります。
暮らしを守るという意味では家の大黒柱にケヤキを使うことと同義であるといっても過言ではありません。
勇壮でおおらかな木目に暮らしを守られる、そんな意味合いを込めてケヤキの一枚板テーブルを選ぶのも良いでしょう。
一枚板を使ったテーブルを選ぶ時に、最初にお話しした「道具としての利便性」は非常に大事です。
同時に「感覚的に惹かれるもの」、つまりその外見で選ぶのも大きな要素。
そしてもう一つ付け加えるとしたら、その木が育った生き様を一緒にくみ取ってあげること。
そのことで、その一枚板は使う人にとって唯一無二の存在となってくれます。
四季を持つ日本の環境の中、様々な成育場所に適応しながら百年以上の歴史を育った大木から作り出す一枚板テーブル。
日本人の持つ「詫び」「寂び」の心に響く、という意味では輸入材とはまた異なった、国産材だからこその魅力となってくれるのではないでしょうか。
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