「ウォールナット」と「クルミ」の違いとは
2021.2.28
「ウォールナット」と「クルミ」。
英語と日本語の違いであって意味することは同じだろう…、と思う方もいるでしょう。
しかし、木材業界や家具業界においては、英語と日本語の違いだけでなく、意味するものが全く違うものになります。
「ウォールナット」はたしかにクルミ科の落葉広葉樹ですが、同じく家具の材料としてよく使われる「クルミ」とは別物です。
木材業界・家具業界で 「ウォールナット」と言えば北米産のブラックウォールナット材の事を意味します。
一方、「クルミ」と表記した場合は日本、中国、ロシア産のクルミを指します。
クルミにもいくつかの種類がありますが、単にクルミ材と表記してある場合はオニグルミという樹種であることがほとんどです。
今回はこの「ウォールナット」と「クルミ」にどのように違いがあるかみていきます。
ウォールナットとは
クルミ科クルミ属の落葉広葉樹。
アメリカ東部~中部にかけて南北に連なるアパラチアン山脈一帯に自生しており、厳しい寒さのもとで時間をかけて生長するため、硬く粘りのある材質を持つ一方、軽量で扱いやすく、加工性や塗装性にも優れています。
また、加工後の狂いが少ないため、かつては飛行機のプロペラに使われたことがあるほか、現在でもライフルの銃床や楽器(ピアノなど)にはこの木材が使われています。
辺材は灰白色で心材は濃い茶色のほか、時に黒紫色、赤紫色(紫の色素を持つ木は、北半球ではアメリカンブラックウォールナットのみ)などが見られることも。
非常に多くの色素をもち、色味は一様ではなく、辺材から心材にかけての様々な色がグラデーションを描き、美しい模様の表情を形成します。
また、木理は不規則に交錯することが多く、これもデザイン的な効果を高めています。
木肌は、仕上げの方法によって若干の差はあるものの、はじめは濃い茶色、そして時間の経過とともに明るくまろやかな茶色へと変化し、落ちついていき奥行きすら感じられます。
使い込むほどに味わいが出てくるのも大きな特徴と言えるでしょう。
世界に200種以上あるウォールナット材の中ではもちろん、現存する木材の中でも最高ランクの評価を得ているウォールナット。
「家具材のロールスロイス」とも呼ばれ、チェアやテーブル、キャビネットといった家具や世界の高級車のウッドパネルなどに使われ、人々の憧れの的となっています。
クルミとは
家具材などで「クルミ材」というときに使われているのは、たいていの場合はこのオニグルミという種類の木を指します。
日本の北海道から本州、四国、九州の主に湿地に自生しており、河原でも見かけることができる意外と身近な木です。
クルミは非常に繁栄力があり、種子は硬く、外敵から身を守り、またその種子を川に流すことで、生育は山間部から下流域まで広範囲にわたります。
クルミ科クルミ属の落葉広葉樹で、果実は種子の核が食用とされており、また油を搾ることもできます。
体に良い脂肪の代表格であるオメガ3脂肪酸の含有量が、ナッツ類の中でもっとも多く含まれている事で、美容・健康ブームが続く近年では注目を浴びています。
更にオメガ3脂肪酸の他にも各種ビタミンなどの健康維持に必要な成分が豊富に含まれます。
名称にオニが付くのは種子が鬼の外見を連想させるような要素があるからでしょう。
また、ごつごつした外観だけでなく、果実もおおきく、その固さが鬼のようだからという説もあります。
完熟した固いオニグルミは熊でも歯が立たないと言われるほどで、他の果実が豊富な時はほとんど口にしません。
食欲旺盛な熊ですらそうなのですから、オニグルミの殻の固さは自然界においても相当なものなのでしょう。
ウォールナットとクルミの家具材としての違いは
ウォールナットとクルミ、家具材になった際の決定的な違いはやはり「色」。
ウォールナットが前述のように黒に近い濃茶の色合いのものであるのに対して、クルミはやさしく明るい色合いを持っています。
ほんの少し赤身がかった色味と他の木材とはまた異なる質感は、木の持つ温かみや温もり・素朴さを存分に味わうことが可能です。
ウォールナットはもはや定番と言える人気材であり高級材ですが、最近はこのクルミの優しい雰囲気を室内で味わいたいという人も増えています。
どちらも家具材としても優秀で、あとは家具の素材に何を求めるのか、空間をどのようにしたいのかという好みの問題でもあります。
例えばクルミの無垢材テーブルにウォールナットの無垢材チェア、という組み合わせも良いでしょう。
色合いこそ異なりますが、クルミの優しい表情をウォールナットの精悍な雰囲気が引き締めてくれます。
そもそもは同じ仲間の木ですから相性も抜群。
おすすめしたいコーディネートです。
「ウォールナット」と「クルミ」は同じ種ですが、全く違った特徴をみせる2種です。
どちらを選ぶか、どちらを選ぶのが居心地の良い空間を作り出せるのか。
家具蔵でもお客様のお住まいや暮らしの様子を伺いながら、ベストな選択をお手伝いします。
家具蔵各店でお待ちしております。
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