一枚板を選ぶ際の「失敗しない」ポイントは
2021.3.31
毎日使うものはなるべく良いものを使いたい。
そうした需要が増える中、家具もできれば気に入ったもの、良いものを。
そして長く使うことができるものを選びたいという人が増えています。
そうした人達が選ぶのは無垢材でつくられる「無垢材家具」。
その代表格である無垢材テーブルの中でも、一際存在感を放つのが「一枚板テーブル」です。
樹齢約百年、もしくはそれ以上の大木の表情を余すことなく住まいで表現する一枚板天板でつくるテーブル。
その買い物の成否はそれからの暮らしの「質」を大きく左右します。
一生のなかでそう何度も無いであろう、一枚板テーブルの購入。
その選び方についてのポイントをお伝えしていきます。
素材選びからはじめる
それは一枚の絵画を選ぶように。
一枚板はその色や形など素材によっても様々です。
そこではまず、直感的に「これが素敵」と思える事が大切です。
ただ、見極めておくべきポイントもいくつかあります。
まずは、その樹が「広葉樹であるか針葉樹であるか」という部分。
広葉樹と針葉樹の違いについてはこのコンテンツの他の項でも何度かお話していますが、広葉樹と針葉樹では葉の形はもちろん、その組織構造が異なることで、素材となった際の適性も異なります。
針葉樹は柔らかく加工性には優れていますが、家具にするなら広葉樹がその用途に向いています。
広葉樹の方は針葉樹と比べると固く、テーブルや家具に適しているのです。
広葉樹は強度があるので重量のあるものを収める可能性のある収納家具や長期に渡って使用することになり、そのなかで傷などがつく可能性も高い(つまり傷がつきにくいものが良い)ダイニングテーブルにも向いています。
テーブルは食事はもちろんのこと、いまや家族皆が様々な状況で使用することが想定されます。
そこで少々乱暴に扱ってもビクともせず、傷などの傷みも入りにくいものが使いやすいのは当然です。
広葉樹でも傷が全くつかないという訳ではありませんが、日頃のメンテナンス性や使い勝手を考えると広葉樹の強度が道具としてその利便性を発揮してくれるはずです。
どんな表情やかたちを選ぶのか、の基準を定める
また、一枚板はそれぞれの木の形をそのままにテーブルとして仕立てるため、色や大きさと合わせてその形状も個性的なものになる可能性があります。
また、木目もそれぞれ異なり、節や割れを樹脂等で埋めたものもあります。
そのどれもがとても魅力的。
でもちょっと待ってください。
その天板に決める前に、必ずその一枚板が自宅にある状態をイメージするのを忘れてはいけません。
物理的なサイズはもちろん、時にはその強い主張が空間のなかで浮いてしまわないかをしっかり見極めましょう。
そして、その天板はテーブルとして毎日使うものであり、長く使うものです。
ホテルや店舗などの空間であれば印象的で素敵、というだけでも良いでしょう。
しかし、自宅で毎日使うとなるとそれは生活の道具としての機能も重要となってきます。
とすると、その形状などがどのようなものが良いかが自ずと見えてくるはずです。
日常の道具としては、他にも脚の形状や取付位置、またはメンテナンスのしやすさなども重要なポイントです。
「使いやすさ」の見極めが難しい場合は住まいの様子を店舗スタッフに伝え、サイズや形状が状況に合っているかも確認すべきです。
また、脚やメンテナンス性などの部分は相談する店舗によっても事情は異なるので、例えば「脚の種類が豊富」「脚代金は無料」「自身でのメンテナンスも容易で困ったら補修してくれる」といった点を重視して選ぶのが「良」です。
一枚板ができるまで、も知っておく
一枚板は、原木を裁断してそのままでできるわけではありません。
樹木は生きるために多くの水分を含んでいるため、家具の材料となるまでには、しっかりと乾燥させる必要があります。樹木が家具になるまでにいくつもの工程がありますが、その中でもこの乾燥は肝心な工程です。
一口に「乾燥」といっても、自然乾燥と機械による乾燥と大きく分けて2種類あります。
本来であれば、じっくりと自然乾燥をさせゆっくりと水を抜く必要がありますが、早く家具材に仕上げたいために、製材をしてから1年以上寝かせないで機械乾燥に入れるというメーカーもあります。
急激に水分を抜かれた樹木には無理な負荷がかかるため、あまり好ましくはありません。
自然乾燥でゆっくり水分をコントロールした後、更に機械乾燥に掛けることで、木は落ち着いた状態になります。
一枚板を見極めるための一つの判断材料として、この乾燥工程がどのくらいしっかりされているかは、まず気に留めておきたいチェックポイントです。
そして一枚板を色々見ていくと、木が育ってきた証ともいえるキャラクターマークや時には節が抜けた跡などを色濃く残すものに出会うこともしばしば。
木が裂けている部分や節穴が開いた部分もその樹が持つ個性としてとても味わい深いものですが、実際にテーブルとして、暮らしの道具として使うとなると、そうした部分をどう活かしてあげるかが重要になってきます。
チギリと言って楔のような木製のパーツをはめ込むことでクラックが広がらないようにしたり、穴の開いた部分を樹脂などでしっかり埋めたりすることで、自然の表情を活かしながら道具としての機能も兼ね備えたテーブルとなります。
これは、快適に長く一枚板を使い続けていく上で、とても大切なポイントです。
一枚板を選ぶ際にはテーブルになるまでにどのように手が掛けられているかを知っておくことが重要だと言えるでしょう。
家具や素材についての豊富な知識があるところで相談する
一枚板をテーブルとして選ぶにあたって、そのテーブルが入る空間のインテリアイメージや色については皆さん気にするところだと思いますが、その樹が持つ個性や木の特徴を知ることで、更にテーブルに愛着が沸いてきます。
木にはそれぞれ産地があり、その土壌の特徴や樹の育ち方などは聞いてみるととても興味深いものです。
こうした、木にまつわるエピソードを知っている販売スタッフかどうか、というところも専門店選びでは気にしたいところ。
同じ一枚板であっても、その一枚についてのストーリーがあることで毎日テーブルを眺めるときに気持ちまで変わってきます。
また、一枚板のテーブルを居心地よくするためには、座り心地のよい椅子が欠かせません。
せっかくのお気に入りの一枚板テーブルも、家族が居心地よく過ごせなければとてももったいない買い物になってしまいます。
テーブルだけではなく、そこで使うチェアとの高さ関係をアドバイスしてくれたり、使う椅子のサイズによって過ごしやすいテーブルの脚のスタイルや付ける位置についても提案してくれたり、その空間に入るかどうかだけでなく日々の暮らしの動線も考慮した上でのサイズ提案をしてくれるかどうかも、お店を選ぶ際には気にして頂きたいポイントです。
一枚板との出会いは、本当に一生モノの家具との出会いともいうことが出来ます。
その木の樹齢を考えると、私たちの人生よりもはるかに多くの時間を生きているのは明らかです。
その木々を長く使ってもらえるように職人が手を入れていくわけですから、それを使う人々にも長く愛して頂けることを願わないわけはありません。
失敗しない一枚板選びをするために、少しでも参考にして頂ければ幸いです。
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