事例から見る「内装別」の無垢材家具の選び方
2021.7.29
住空間の内装と家具のコーディネート
住空間の内装と家具のコーディネートは、ある意味正解の無い問いでもあります。
いわゆる「インテリアテクニック」とも言われる、ある種の「法則」やセオリーは確かに存在します。
しかし、それは決して「そうしなければいけない」「ルール」ではありません。
本来、住まいのコーディネートとは自由で、アイデア次第で様々な住空間を創造することが可能です。
「床がこの色だから家具はこれしかダメ」
「壁紙がこの色調だから家具はこれにすべき」
というように消去法のようなかたちでせっかくの家具を選んでしまうのは、非常にもったいない選び方です。
とはいえ、やはり正解に近い、あるいは自身の好みと合致するような事例があれば参考にしたい、そう考える人も多いでしょう。
今回はそんな方々に参考になるような、内装によって異なる無垢材家具のコーディネートについてお話していきます。
無着色の無垢材家具の特徴
私たち家具蔵は「無着色」で無垢材家具を製作しています。
この「無着色」というのがポイントです。
無着色の無垢材家具は厳密に「何色」と表現するのは少々難しい、きわめて複雑な色合いを持っています。
そのうえでその色合いは年月とともに少しずつ変化していきます。
例えばウォールナットであれば、黒にも近いその色合いは徐々にまろやかな茶色に。
チェリーなら淡い桃色のような色合いは数年のうちに深く濃い飴色に変化します。
比較的色合いの変化の少ない「白木(しらき)」の代表格であるハードメープルやナラ、あるいはオークも長い使用期間のうちにゆっくりとその色合いを濃くしていきます。
色が変わる、あるいは様々な色合いの集合体である、と考えると厳密なカラーコーディネートの範疇からは少し外れたものとなる、そう思いませんか?
大事なことは自分が好きなものを選ぶこと。
そのうえでその好きな素材がどのように映えるのかを実際の例を使ってみていきましょう。
明るくて清潔感のある空間を創りたい
明るい色調で統一した清涼感のある空間にしたい。
ここで選んだ床材はハードメープル材のフローリングです。
それに合わせた白系の壁紙を飾る木製の窓枠や廻り縁が、良いアクセントになっています。
基本的にこうした白ベースの空間はいわば「白い画用紙に色を塗るようなもの」でもあり、どのような色合い・素材も受け入れてくれます。
そこで「明るく清潔感のある空間を創りたい」ということであれば床材と同じハードメープル材の家具がお勧めです。
絹のような滑らかな木肌の質感は「明るい」「清潔」「爽やか」といった表現と見事に符合します。
そして、このコーディネートで秀逸なのが各所で使われる柄や色。
ともすれば均一感もある同材コーディネートはこうした色や柄を適宣入れていくことでメリハリが生まれます。
どんな色合いも受け止める組み合わせだからこそビビッドな色やパステルカラーなども映えますね。
観葉植物の鮮やかな緑も効果的です。
ナチュラルモダンな空間を創りたい
現代的な内装に無垢材などの自然材を組み合わせたスタイル=ナチュラルモダンな空間創りは、高い人気がある一方で「上級者向け」とも思われがちです。
しかし、これもポイントを押さえればそこまで難しいことはありません。
カギとなるのは「色の対比」。
先程出てきたような明るい床材に今度はウォールナットを組み合わせてみます。
ウォールナットの持つ濃茶の色合いは、同じく濃茶や黒の床材や内装と合わせるのが王道で、非常に落ち着いた高級感のある雰囲気に仕上がります。(KS P78画像挿入)
ここで明るい床材と合わせることで生まれる効果は「メリハリ」です。
「白×黒」というモノトーン系の組み合わせとなることでモダンさがぐっと増し、そのうえでウォールナットの持つ独特の木目はナチュラル感を存分に演出します。
あるいはグレーを基調とした壁面に温かみのあるチェリー材を組み合わせる。
このグレーという色は例えば左官仕上げであっても、クロスであっても、打ちっ放しのコンクリート素材でも、そこにある印象はいわゆる「クール」なもの。
そこに温かみと温もり、優しさという表現がぴったりなチェリー材を足すことでモダンさのなかにナチュラルさが加えられます。
チェリーは経年での色の変化が非常に強く、早い段階で濃い飴色に変化します。
そのことで背面との対比もより顕著になり、モダン×ナチュラルの様相がより増してくるというものです。
赤茶の床材には何を合わせる?
私たち家具蔵にいらっしゃるお客様に「床の色はどんな色合いですか?」と尋ねると「赤茶っぽい感じ」という回答が返ってくることがあります。
そういった色合いの床材に合わせるのはチェリー材などが定番的です。
ですが、その温かみのある風合いを生かしつつ、家具もしっかり際立つ、そんな組み合わせを選ぶならナラ材をお勧めします。
ナラ材は手で撫でると、かすかに凹凸を感じます。
その凹凸感が目にも浮かび上がってきて素朴なナチュラル感を醸し出してくれるのです。
まるでコットンのような気取らなさと、その色合いや木目から生まれる異素材とのコーディネート性の良さ。
さながら上質な生地で仕立てた白いシャツ、といったところでしょうか。
床材の温かみを消さずに、木の持つナチュラル感も存分に味わうことができる。
ナラ材ならそんな空間を創り出すことが可能です。
カラーコーディネートや美しい色の組み合わせ、というものがある以上、また、そうした情報が手軽に且つ大量に手に入るからこそ、そこで得た法則やセオリーが頭のどこかにこびりついてしまうのはしょうがないことでもあります。
でも無垢材家具、それも無着色のものを検討している方は、その縛りを少しだけ解いてみませんか?
今回の事例を参考に、最終的には「自分の好きなものを選ぶ」。
それができるのが無着色の無垢材家具の良いところです。
自分の好きなものに囲まれた空間。
きっとそこは素敵な住空間となるはずです。
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