家具選び ダイニングチェアは「肘掛け付き(アームチェア)」を選ぶ理由とは?
2021.12.3
目次
アームチェアは多くの支持を集めている
ダイニングチェアは、ダイニングテーブルに合わせる椅子のことで、食卓椅子、食堂椅子といった呼称もあります。
ポピュラーなのが脚・座面・背もたれで構成される「アームレスチェア(肘掛け無し)」であり、なかには背もたれの付いていないベンチやスツールを利用する人もいるでしょう。
そのなかで、今多くの人に選ばれているのは肘掛付きの「アームチェア」です。
このアームチェアがダイニングスペースで多用されるようになった理由には現代の住宅の間取り、そして「今」の生活様式が大きく影響していると言われています。
リビングダイニングスタイルへの間取りの変遷
1950年代から始まる団地やマンションといった集合住宅の隆盛のなかで、その間取りはそれぞれの空間を明確に仕切るものが殆どでした。
例えばキッチンは食堂スペース=ダイニングと併設されているか、あるいは別々のスペースとして。
一方で、家族やゲストが過ごす居間空間=リビングもその他の空間と明確に仕切られ、それぞれの空間の持つ役割は明白なものでした。
食事はダイニングで、食後はリビングへ、というスタイルが一般的であり、それは今も根強く続くスタイルです。
一方で核家族化・共働きの増加により「家族で過ごす時間」はより重要視され、さらにスペースに限りがある日本の住宅事情も相まって間取りのスタンダードは変わっていきます。
ダイニングとリビングは一体化してリビングダイニング(LD)となり、そこにキッチンも間続きとなる「LDK」のスタイルが主流となってきました。
カウンター越しに家族の様子や炊事の様子を見ることのできるオープンキッチンのスタイルは、コミュニケーションを高め、炊事や家事を家族皆で行うことができるものとなっています。
また、ダイニングスペースとリビングスペースが同じ空間になっていることで、互いに時間が合わないことがあったとしてもそれぞれの顔を見ながら食事や作業を行うことができるようになっているのです。
在宅時間の増加がアームチェアの需要を高めた
コロナ禍による「在宅時間の増加」は、リビングダイニングでの過ごし方に新たな側面を与えることになりました。
在宅勤務や外出自粛といった理由により、家の中にいる時間が多くなったという人は多いでしょう。
それはリビングダイニングで過ごす時間の増加をも意味し、食事だけではなく仕事や個々の作業をリビングダイニングで行う、ということでもあります。
そうなると椅子に座っている時間が長くなり、座り心地の良い椅子、疲れにくい椅子が欲しくなるものです。
私ども家具蔵でも、テレワークの増加により新しくデスクを買い求める人が多くみられましたが、それ以上に椅子を買い替えたいという声も耳にしました。
そうした人たちのおおよそ80%前後の人が肘掛付きの「アームタイプ(アームチェア)」を選択されていました。
アームチェアは身体の「重り」を解放してくれる
それは何故でしょう。
ダイニングチェアを選ぶ際に重要なのは「座る時間」と「過ごし方」といわれています。
長時間の着座を想定しているならば、アームチェアを選ぶ方が良い、という選択が増えています。
人の腕の重さは体重の約15%と言われます。
体重60キロの場合、9キロ=片腕4.5キロの重りを抱えて生活しているわけです。
この「重り」を預ける場所がある椅子に座ることができれば、アーム無しのものに座るよりも体圧が分散され、腰や肩への負担も少なくなり、より楽な姿勢で過ごすことができるようになるのです。
長時間着座するならラウンドバックチェア
長時間、たとえば45分以上を同じ椅子で過ごすのであれば、アームチェアでも背もたれが低く丸い形状の「ラウンドバックチェア」がお勧めです。
孤を描いた形状の背もたれはアームと一体になっているものが多く、ルックスからも人気があります。
人は同じ姿勢を長時間とり続けることはできず、その基準は30分前後と言われています。
就寝時に寝返りをうつように、無意識下でも身体を動かしたくなるものです。
着座時でも同様で、左右あるいは後ろへの身体の動きを妨げずに常に楽な姿勢をキープできるのがラウンドバックチェアの利点です。
食事の後にお茶をしながら家族と会話する、あるいはテレビの視聴やスマホの操作などを行っていると知らず知らずのうちに1時間~2時間が過ぎていることもあります。
あるいはテレワークで休憩をとりながら長時間の作業を行うこともあるでしょう。
そんな暮らしが想定されるのであれば、ダイニングチェアはラウンドバックタイプがお勧めです。
ダイニングチェアは「過ごす時間」「過ごし方」で選ぶ
繰り返しになりますが、ダイニングチェア選びは「過ごす時間」「過ごし方」から選ぶことが肝要です。
アームチェアを選ぶ人が増えたのはリビングダイニングで過ごす時間の増加、椅子の着座時間の増加にあります。
よく、人は「寝ているか」「立っているか」「座っているか」しかないと言われています。
寝ている際には無意識で、立っている際にはどこかしら緊張しています。
そのようであれば残った「座っている」時間こそ寛げるものを選ぶべきではないでしょうか。
当然インテリアですから見た目も大事です。
また、直接身体が触れるものなので自身が感じる座り心地も重要です。
そのうえで本当に自身が寛げる、疲れの少ない椅子を選ぶことで、毎日の暮らしも大きく変わります。
暮らしのパートナーとなる、自分専用の「マイチェア」。
そんな一脚を探してみてはいかがでしょうか。
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