無垢材でボードを製作するのにお勧めの4樹種とは
2021.12.29
目次
現代の住宅では収納は設備のひとつともなっている
住まいに関する考え方も日々変わり、日々の暮らしに欠かせない収納はWIC(ウォークインクローゼット)やSIC(シューズインクローゼット)、あるいはキッチンにおけるパントリなどある程度の広さを持った「空間」として住まいに常設されることも多くなってきました。
乱雑になりがちなものを一か所にまとめておくことができ、多機能でもあるのでリビングダイニングや寝室、キッチンといった長い時間を過ごす、あるいは人目に付く空間をすっきりと快適に保つことができます。
収納「家具」はある方が良い
そのような現代でも収納「家具」が不必要になることはありません。
キッチンなら家電や食器を収納するキッチンボードはキッチンの背面などに無いと不便です。
リビングダイニングにはテレビボードはもちろん、サイドボードやダイニングボードがあると便利でしょう。
本棚(ブックボード)やチェストも書斎や寝室に欲しいところです。
無ければいけない、ということではありませんが、必要に応じた機能を持つ収納家具があることで暮らしをより便利に快適にすることができます。
在宅時間の増加は収納家具の需要を高めた
在宅時間の増加も住まいや暮らしの見直しという点では収納家具の必要性をより感じる機会だったのではないでしょうか。
家にいる時間が長くなり、室内で目に付く場所を片付けたいと思っても皆が新築やリフォームを急に行うことはできません。
そこで今ある空間をより美しく、有効に活用するために収納家具を検討、あるいは実際に導入する人は確実に増えました。
無垢材収納家具の支持の高まり
収納家具と一言でいっても、その種類やスタイルも多々あります。
人それぞれに好みのテイストやスタイルもありますが、根強い人気があり、そしてここ数年で大きく認知度と支持を受けているのが「無垢材」でつくられたものです。
無垢材は、一本の原木から角材や板を直接必要な寸法に切り出したもので、木本来の質感、風合いという面で魅力があります。
木製のものは世の中に多々ありますが、「木質系加工材(代表格は合板といわれるもので、薄く積層したベニヤの表面に化粧シートや突板を圧着し加工した工業製品)」といわれるものと無垢材は質感がまるで異なります。
無着色のものであれば、経年で色が変わるので味わいも増し、傷などのお手入れも可能です。
住まいに自然材を用いることは多くみられますが、毎日目にし、手に触れる家具にも同じような温もりや質感を求めることは自然な流れと言えるでしょう。
また、こうした長く使用できるものは昨今の「持続可能社会(SDGs)」にも沿うものと言えます。
広葉樹と針葉樹
無垢材とは言うまでもなく木から生まれたものですが、木には大きく分けて「針葉樹」と「広葉樹」があります。
針葉樹というのは端的に言うと葉が針のような形状をしている樹種であり、マツやスギなどが代表的なものです。
一方、広葉樹はこれも大きな定義ですが「葉が平たい形状」をしているものであり皆さんになじみが深いのはケヤキやブナ、カシといったところでしょう。
家具に用いるなら断然「広葉樹」です。
英語で針葉樹はソフトウッド、広葉樹はハードウッドと呼ばれることからも分かるように、一般的に広葉樹の方が針葉樹よりも固く丈夫な木材です。
広葉樹は体内に空気が通る面積が少なく、その分密度が濃い木材になることが理由です。
収納家具に必要な要素は「強度があり傷がつきにくい」ことと「揺れに強い」ことです。
広葉樹は強度があり、揺れにも強いので重量のあるものを収める可能性のある収納家具をはじめ、長期に渡って使用することになる家具材に向いているのです。
「色」という選択基準と樹種を選ぶこと
そして、無垢材家具に限らず、何かを選ぶひとつの基準に「色」があります。
空間との相性や好みを決める大きな部分ともなりますが、無着色の無垢材家具は「樹種」でこの色合いの違いを決めます。
この樹種によって、単純に色味が異なったり、その素材感によって、家具そのものの雰囲気や空間の印象も大きく変わります。
私ども家具蔵でも、4つの異なる樹種の中から選んでいただき収納家具を製作します。
その4つの特徴をざっとお話ししていきましょう。
気品・落ち着き・万能性の「ウォールナット」
家具や建具といった住まいに関するものから高級車のダッシュボードやライフルの銃床など幅広い分野で使用される当代きっての銘木です。
家具蔵で扱うウォールナット材は、主にアメリカやカナダなど北米が産地である「アメリカンブラックウォールナット」です。
世界に200種以上あるウォールナット材の中ではもちろん、現存する木材の中でも最高ランクの評価を得ているこの木材は、「家具材のロールスロイス」とも呼ばれ、人々の憧れの的となっています。
硬く粘りのある材質を持つ一方、軽量で扱いやすく、加工性や塗装性にも優れています。
見た目の特徴はなんといっても重厚感のある茶褐色。
落ち着いた色合いと美しい木目が独特の気品を醸し出します。
そのうえで、その色合いはどんな雰囲気の空間やインテリアにも見事に調和してくれる万能性を誇ります。
墨を流したような木目やそのグラデーションはまるで水墨画を思わせる一面もあることから、アメリカ生まれの木でありながら和室にも合うのです。
無着色の無垢材ウォールナット家具は使用するうちに、その色合いが「明るくなる」のが特徴の一つ。
明るい赤茶色へと変化をしていくことで、住まいの中で落ち着きや重厚感・気品と無垢材が持つ温もり感を両立させた存在感を発揮してくれるはずです。
華やか・暖かみ・柔らかさの「チェリー」
いわゆる「サクランボ」を指す「チェリー」という名前。
家具や木工の世界では、この「チェリー」は「アメリカンブラックチェリー」の通り名で、サクランボより少し大きな「アメリカンチェリー」のなる木としても有名です。
現代における最高の木材のひとつとして君臨しているのが、このアメリカンブラックチェリーとなります。
このチェリー、大きな特徴はその強い赤みのある色合い。
しかし、これは経年変化による色合いの変化であり、製作当初や納品当初は穏やかなピンク色に近いものが多くあります。
そこから比較的短時間で色合いが変化することで、無着色の無垢材家具の特徴である「色合いの変化」を如実に感じやすい樹種でもあります。
ウォールナット同様、空間におけるコーディネート性は抜群。
滑らかな木肌は使い込むほどに美しく光沢が増し、床や建具の色、空間のスタイルなどを選ばずに、その場所に独特の暖かみや華やかさを加味してくれます。
高級感と華やかさ、それに暖かみを兼ね備えたチェリーの無垢材家具。
「味出し」が容易な点でも人気の樹種であり、老若男女問わない、永遠の定番のひとつともいえます。
素朴・ナチュラル・明るさの「ナラ」
ナラは、ブナやカシと同じように「どんぐり」がなる木、と聞くと途端に身近に感じる木です。
日本のナラは、世界に数ある広葉樹の中でも最高級材として珍重されます。
欧米を原産とするホワイトオークやレッドオークなどの素直な木目に比べて、板目で材を取ると力強い精悍な木目が表れ、独特の存在感を見せてくれます。
ナラ独自の繊維構造から、柾目で材を取ると穏やかで優しい表情の中、時に「虎斑紋」(シルバーグレイン)という虎の背中の縞模様に似た銀色に輝く木目が表れることもあり、個性豊かな表情を楽しむことができます。
アメリカの著名な建築家フランク・ロイド=ライトもその木肌や虎班紋に魅了されたことでも有名です。
その木肌に触れるとわずかな凹凸感があり、それが見た目のうえでも素朴な雰囲気を演出します。
色あいとしては基本的には「ナチュラル」で優しいもの。
床材や建具でも人気のナラは、あらゆる空間にすんなりハマってくれる「良い意味での主張の無さ」を持つことから色々迷われた結果、ナラ材の家具を選ぶ人も大勢います。
清潔感・爽やかさを演出する「ハードメープル」
メープルは日本でも馴染みのある「カエデ」の仲間です。
主な原産地はアメリカ北部とカナダ。
カナダの国旗のマークがメープルの葉というのは有名な話です。
ハードメープルは大理石のように透明感のある明るい色調です。
そして、使い込む程に琥珀のように深い黄色みを帯びてきます。
自然光の入る部屋にハードメープルの家具があると爽やかで清々しい空間になります。
また、ハードメープルにはいつまでも触れていたくなるようなスベスベとした心地良い触り心地があります。
艶やか且つこの滑らかな質感が空間に清潔感とさわやかさをもたらします。
また、全般的に堅さのある広葉樹材のなかでもトップクラスの堅さを誇るのがハードメープルです。
その強度からボウリング場の床やダンスフロア等にも使用されています。
日々の生活で傷がつきにくいということは家具材として大きな魅力です。
新品の状態での白く透明感のある木肌ももちろん美しいですが、使い込んで琥珀色に変化していく様も非常に魅力的です。
ここに紹介した4樹種はそれぞれが最高級の評価を受ける家具材であり、どれを選んでも間違いではありません。
もし空間コーディネートや樹種選びに迷うことがあれば、専門的な知識を持つ家具蔵のプロスタッフにお声がけください。
様々な事例や豊富な知識、3Dシミュレーションなどを使用しながら納得のお買い物ができるようサポートいたします。
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