無垢材家具が現代の暮らしに合っている理由とは
2022.6.13
現代の暮らしの在り方は「無駄をなくす」
モノを選ぶ理由は人それぞれですが、最近では余計なモノは買わない、あるいは持たないと考える人も少なくありません。
日用品に限らず、分かりやすいところでは食品ロス問題などもその一つです。
食べきれる量だけを買うことしかり、加工食品の製造過程で排出されるものの再利用など、余すところなく資源として活用する動きは、日を追うごとに活性化しています。
衣類についても、自然素材で快適性を求める人も増え、リサイクル可能なエコロジー素材の選択肢の多様化などその選び方も変化しています。
家具選びにも「エコロジー」と「快適さ」が求められている
もちろんそれは家具についても同じことが言えます。
毎日使うもの、そして10年単位で長く使うものだからこそ、選ぶときには多角的に考えて納得したものを手にしたいと考えるのはごく自然なことでしょう。
日本語には『もったいない』という言葉がありますが、日本の暮らしには「モノを大切にする精神」が宿っていました。
高度経済成長期を経る中で、大量生産・大量消費が日常化してきましたが、ここ最近ではそのような考え方も大きく見直され、世間的にも方向転換してきていることを肌で感じます。
少し高価でも良いものを使いたい。
本当に気に入ったものを長く使いたい。
できれば環境にやさしいものであれば尚良い。
こうした理由から本物の木でつくられた無垢材家具を選ぶ方が増えています。
今回は「エコロジー」と「快適さ」という2つの視点から、無垢材家具を選ぶメリットについてお伝えします。
エコロジーを体現する無垢材家具
無垢材家具というと、贅沢品と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
確かに無垢材家具は木そのものを贅沢に使っている木材で、いわゆる「木質系加工材料」と比較した際には高価な素材だと言えます。
大量生産の家具には、この木質系加工材料にシートを貼り付けた、いわゆる木目調の家具というものも多く存在し、そういったものは往々にして価格も抑えられがちで、一般にも多く流通しています。
ただ表面に木目の「化粧」をしただけの家具は、いずれ剥がれてしまい、直すことも出来ないものがほとんどです。
一方で無垢材は中身まで同じ木ですから、表面だけ剥がれることがないばかりか、使用するなかで付いたキズさえも徐々に目立たたなくなり、見た目も良い状態のまま使い続けることができます。
仮に、木目調の家具が5万円、無垢材家具が15万円だとした場合、価格だけで考えれば木目調の家具を3回買い替えたら無垢材の家具と同じという事になります。
実際に製作する際のエネルギーや古いモノを手放した後の処分で排出される二酸化炭素を考えるとどうでしょうか。
また製造にかかるエネルギー量とCO²の排出量は、乾燥した木材を1とするとアルミニウムの場合エネルギー消費量は343倍、CO²排出量は220倍にも及びます。
そして樹木は二酸化炭素を吸収してくれるということは皆さんご存知でしょう。
葉から吸収した二酸化炭素は光合成により炭素化合物と変化し樹幹内に蓄積され、木材として加工された後も炭素をストックし続けます。
無垢材の家具を使い続けることは家具の処分を減らすことに繋がります。
つまり、その処分によって大気中に放出されるCO²排出量を抑えることができるのです。
また家具材として無垢材が使われるとともに森に新たな木を植え育てることも重要で、このサイクルを続けることは、少なからずよく言われる地球温暖化にも良い影響を与えてくれています。
快適さを実感できる無垢材家具
洋服や化粧品はその素材や原料を確認し、体や肌に良いものを選びます。
それと同様に家具もその素材や手触りについて、より自然なもの、手触りの心地良いものを選ぶという人が増えてきました。
それは、世の中が全般的に「快適さ」を求めている表れと見てとることができます。
その快適さは、私たちは五感を使って感じ取るわけですが、そこには科学的に裏付けされた理由が存在します。
まずは触覚について。
触れて感じる心地良さには温度が関係しています。
無垢材の家具の触り心地が良い理由にはその温度が深く関わっていて、鉄やコンクリートと比べると素材に触れたときに暖かく感じます。
これは熱伝導率の違いによるもので、鉄やコンクリートでは触れたときに体温が奪われるため冷たく感じ、無垢材の場合はこの熱伝導率が低いため、身体の熱を必要以上に奪わないため暖かさを感じるわけです。
無垢材の細胞の中には無数の空洞があり、その空気が断熱効果を生み、コンクリートと比べると10倍、鉄の場合は330倍も断熱・保温効果を発揮します。
またこの構造は湿度も整えてくれています。
「木の呼吸」と例えられるように、湿度の高い場合は空気中の水分を吸収し、乾燥している場合には水分を吐きだし、室内を快適に感じることができるのも、この無垢材の持つ多孔質な構造のおかげなのです。
続いて視覚的効果について。
木を見ると癒されるという人は多いですが、その理由について考えたことはあるでしょうか。
そこには二つの理由があり、一つは木の断面に現れる木目や木肌の色です。
同じ木を切ったとしてもそれらは異なり、その木目と色のパターンは「1/fゆらぎ」と呼ばれ、人の目に心地良い刺激を与え、気分をリラックスさせてくれます。
またもう一つは表面にできるミクロの凹凸です。
表面に当たる太陽や照明の光を分散し、目に心地良いとされる50~60%の明るさに抑えてくれています。
普段は何気なく感じている快適さですが、そこには明確な理由があるのです。
せっかく良いものを選んだり使ったりするのであれば、それに対して深く納得できる理由もあって欲しい。
私ども家具蔵はそう考えます。
ただ、根本的に大切なことは使う人がなんとなくでも、ただの直感だとしても「これが好き」と思えるかどうかです。
情報過多になりすぎず、まずは素直に好きと思えるかどうか。
そのあとでその「好き」をより確信するための理由があれば、その家具をもっと大切に思えるはずです。
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