無垢材チェア作りに適した樹種は何か
2022.7.5
長く使用したい無垢材チェア
私たちが日々豊かな生活を送るために必要な「衣・食・住」。
食品や衣類と比べて、家や家具を買う機会は人生の中でも限られています。
人生の中でも数回程度の買い物であるということは、その買ったものを「長く使う」ということです。
「長く使うこと」が前提となる=「長く使いたい」と考えた時に、長く使えば使うほどに経年変化で味わいが増していく「無垢材家具」を人生のパートナーのひとつとして検討する人も多いのではないでしょうか。
中でもチェアはその座り心地によって空間の居心地が変わると言われる程、住まいの中でも重要度の高い家具のひとつです。
とはいえ、家具の中でも製作が難しいとされる無垢材チェア。
どのような木材でも製作できるというわけではありません。
それでは無垢材チェアにはどのような樹種が適しているのでしょうか。
無垢材チェア作りには広葉樹が適している
木にはご存知のとおり「針葉樹」と「広葉樹」があります。
「適材適所」という建築用語から派生した言葉があるように、その性質の違いを活かし、日本では古くから住まいに木材を取り入れてきました。
針葉樹とはマツやスギなど葉が針のように細長く堅い葉をつける樹木を指します。
針葉樹は「細胞と細胞の間に無数の孔(空気の隙間)が空いているため軽くて柔らかいという特徴を持つことから英語ではソフトウッドと呼ばれています。
樹形も真っ直ぐなものが多いため建築用途としては柱・梁・桁などの構造材、和風建築の造作、建具材に主に使用されます。
一方英語で「ハードウッド」と呼ばれる広葉樹。
先に述べた空気の隙間が少なく密度が高いため針葉樹と比べ重くて硬いのが特徴です。
針葉樹の特徴のひとつに「柔らかく軽量」というものがありますが、無垢材チェアは人の身体を支え、暮らしに必要な作業を支えるものです。
そこに必要なのは「強度があり傷がつきにくい」ことであり「揺れに強い」ことです。
広葉樹は強度があるので重量のあるものを支え、そのなかで傷などがつく可能性も高い(つまり傷がつきにくいものが良い)チェアに向いています。
そして、中身の組織の密度の濃い広葉樹は揺れにも強いので、チェアのフレームにも最適なのです。
世界中の名作椅子の素材は広葉樹であることがほとんどです。
広葉樹である「ウォールナット」「チーク」「マホガニー」が「世界三大銘木」と呼ばれているのはその美しい色味や木目の表情、加工性や剛性も勿論ですが、そうした理由もあります。
今回は家具材に適した代表的な広葉樹の中から家具蔵でも取扱いのある8樹種についてご紹介していきましょう。
ウォールナット
家具材の中でも憧れの高級材として世界的な認知度も高いウォールナット。
硬くて狂いが少なく、加工性も良いことから様々な用途で使用されてきたものであり長く使用することが前提の家具材として非常に適した材と言えます。
日本でも古代から気品のある色とされてきた「紫~黒~こげ茶」へと変化を遂げる色合いの濃淡は時間をかけることでまろやかな明るい茶色に変化していきます。
その色合いは住まいに取り入れることでゆったりとした落ち着いた空間へと誘ってくれます。
チェリー
無垢材の中でも経年変化による色の変化が格別に大きいのがチェリー。
無垢材は無着色で製作すれば革製品と同様、使うごとに色合いも変化していき、傷さえも味わいとなっていく素材です。チェリーは製材をしたばかりの色合いが最も淡く、薄く桃色がかったようなベージュに近い色をしています。
日当たりの良い明るい場所などでは早くて半年~1年経過した頃から色合いが濃くなっていき、おおよそ5年ほど経つと美しい飴色に変化します。
既に熟したチェリーをアンティーク家具として手に入れるのも良いですが、経年変化を楽しむには製材からなるべく時間が経たない状態で手に入れることが必要です。
無着色で製作したオーダー家具であればその変化を楽しむことができます。
チェリー(材)の家具を検討する場合は出来る限り経年変化を楽しむことができるオーダー家具を選ぶと良いでしょう。
ナラ
日本国内でも目にすることができるナラは、その木肌の美しさで世界的にも高い評価を得ているものです。
欧米で見られるオークと混同されがちですが、日本産のナラは「ジャパニーズオーク」と呼ばれ、様々な場所で重宝されています。
その特徴として重厚で硬く、密度も高いため建材の他、床材や家具材としても重宝されています。
耐久性の高さはもちろん表面に傷が付きにくい点もメリットであり、あらゆる衝撃に耐えうる強さを持っています。
その細かい木目感は決して主張しすぎることは無く、どのような空間にも馴染み、その素材感からどこかほっとするような素朴さを演出してくれます。
日本家屋によく馴染む色合いは穏やかで心地よい暮らしへと導いてくれるはずです。
タモ
タモは通直(まっすぐ)な木目がとりやすく、加工もしやすいことから均質な木材がとれるため、突板などにも使われており家具の材料として適した材のひとつです。
広葉樹の中ではもっともまっすぐに生長し、枝下が長く、木口がほぼ正円なことから、その材を無駄なく使うことができるのも魅力のひとつです。
ゆっくりと生長することで目幅が狭く、その細かい木目は「糸柾」と呼ばれる繊細な柾目を形成します。
「白木の女王」と呼ばれる所以です。
涼やかで清潔感を漂わせる木目はまさに「和モダン」を体現するにぴったりの材とも言えます。
ハードメープル
メープルには実に様々な種類のメープルが存在しており、「○○メープル」という呼び方で区分けされます。
家具蔵で使用するメープルは「ハードメープル」です。
ハードと言う名前のとおり、非常に丈夫で衝撃や摩擦にも大変強い木です。
きめの細かい木肌も滑らかなハードメープル材は木目自体に際立つ凹凸感がありません。
家具としてインテリアに取り入れた際に「木」の個性を主張しすぎず、逆に周りと調和を取ってくれる不思議な魅力があります。
明るい色素は空間に広がりを見せてくれる家具となるため、お部屋を広く見せたい場合にうってつけの樹種となります。
北欧テイスト、ナチュラルテイスト等と言われるシンプルで明るい空間作りにもハードメープルで作られる家具はまさしく空間作りの主役となってくれます。
ホワイトアッシュ
「アメリカタモ」「アメリカトネリコ」という別名もある「ホワイト アッシュ」。
素材のままのホワイト アッシュはその名のとおり、非常に白く、その木肌が美しい木材です。
アッシュ材の大きな特徴として、耐衝撃性・耐久性を誇る「堅さ」が挙げられます。
またハッキリとした木目が綺麗に表れるのも特徴で、柾目は穏やかな木目なのに対し、板目では木目が強調された迫力ある表情を見せます。
その木目の美しさからイスやテーブルはもちろん、突板の表面材として家具を飾る木材にも使用されるほど耐久性だけでなくインテリア性も兼ね備えた材です。
ケヤキ
ケヤキは硬いだけでなく強靭で狂いが少なく、耐久性および耐朽性にも優れている大変優秀な材として知られ、古くから家屋だけでなく、寺社建築、城建築にも使われてきました。
耐久性だけでなく木目も美しいため家具材としても重宝されています。
その硬さゆえに加工が難しく、また材も希少性が高まり、なかなか家具としてはお目にかかれなくなってきました。
観賞価値の高い木目はインテリアとしての存在価値も高く評価されているため一生使う家具として選ぶ価値ある材といえます。
サペリ
日本での知名度はまだ高くないものの、美しい縞の濃淡が出る木目から意匠性の高さを評されヨーロッパでは家具材として、またギターなど楽器のフロントパネルなどにも使用されてきた材です。
家具蔵でも深みのある優美待色合いや木目の美しさには早くから目をつけており、いち早く家具材としても取り入れて参りました。
リボン杢と呼ばれる杢は光の加減で濃淡が変りキラキラした表情を見せてくれます。
ちょうど出し引きをすることの多いイスに使用することでその木目はより活かされ華やかなダイニング空間を演出してくれます。
素材だけで見ても、このようなぱっと見の情報だけではわからない、多くの秘密をその躯体に収めながら家具蔵のチェアはこれまでも20年以上の間、日本中の多くの方に愛用されています。
メンテナンス体制も工場直営ですから、しっかりと体制を整えています。
そんな家具蔵の無垢材チェア、豊富なラインナップからきっとあなたにぴったりの一脚が見つかるはずです。
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