テーブルや椅子の「高さ」は長身の人に合わせるべきなのか
2022.8.13
目次
ダイニングチェアとダイニングテーブル選びで見落としがちなのは「高さ」
ダイニングテーブルやダイニングチェアを決定する際に重要なポイントは多々あります。
デザインや素材は空間における印象に大きく影響し、幅・奥行きは周囲の食事や作業の際のゆとりや周囲の回遊性、圧迫感の有無にも大きく影響します。
その中で見落としがちになるのが「高さ」です。
テーブルの天板高、そしてチェアの座面高の高低は作業のし易さ・疲れの度合いにも大きく影響し、その高さによって「家具選びに失敗した」と感じることもある部分なのです。
チェアを選ぶ最低条件は「自身の足裏が床に着く座面高のものを選ぶ」こと
チェアは自身の身体を預けるものであり、テーブルはチェアに座って食事や作業を行う場所として考えた際に、大前提としてどちらも使用する人の身体に合っていなくてはいけません。
自身の体型や座り癖などに合っていないチェアは総じて「疲れやすく」感じるようになり、また、チェアの座面高とのバランスが合っていないテーブルは、自身の姿勢に無理が生じるのでやはり疲れやすくなってしまいます。
チェアについては、アームの有無、背もたれの高低・形状などのデザイン的な面は一旦脇に置いておいたとして、やはりその「座り心地」にも個人の好みがある点は否めません。
そのうえで自身の体型に合ったチェアを選ぶのなら最低条件としては「自身の足裏が床に着く座面高のものを選ぶ」ことにあります。
足裏が床に接地することで自身の体圧がより多箇所に分散でき、身体全体の負担を軽減することができます。
分かりやすい例でいうのなら、太もも裏の圧迫が軽減されることで疲れにくくなるのです。
そのうえで、その座面高と最適なバランスであるテーブルの天板高とすることで、姿勢全体に無理が生じない、疲れにくい状態を作り上げることができます。
チェアを選んだ後に適正な天板高のテーブルを選ぶことが重要
疲れにくく長い時間楽に座っていられるチェアを選ぶ際の条件には「自身の足裏が床に着く」座面高のものを選ぶ、というものが入ってきます。
そこからテーブルの天板高を決定するのがベストです。
ちなみに、自然な体勢で食事や作業ができる姿勢をとることができるチェアの座面高とテーブルの天板高の最適なバランスは「おおよそ28~30cm」で、そのバランスが保たれているチェアとテーブルの関係性であれば自然な姿勢での着座と諸作業が可能になります。
この数値を「差尺」と呼びます。
例えば、座面高42cmのチェアならテーブルの天板高は70~72cmが適切であるわけです。
これはチェアとテーブルが同じデザインなどでセット販売されているようなものであれば、まず外すことはない数値ですが「チェアとテーブルを別々の家具販売店で購入する」「チェアは今使用しているものをそのまま残しテーブルのみ買い替える(あるいはその逆)」といった際にこの数値から外れ、バランスが合わず使いづらい、となることが多いものです。
先述のように着座した際に足裏が床に着くチェアを選び、そこから適正なテーブルの天板高を選ぶのが失敗しないダイニングセットの選び方の条件の一つです。
身長差がある場合には「小柄である方の人」を優先する
そうはいっても、人にはそれぞれ「身長差」が存在します。
長身の人もいれば小柄な人もいて、それは家族間でも同様でしょう。
身長差が20cm以上あるカップルというのもざらにあり、親子間でも同じケースはあり得ます。
その場合、互いが「足裏が床に着くチェア」を選ぶとして、長身(である方)の人は問題なく足裏が床に着いたとしても、小柄(である方)の人はそうではないというケースも大いにあり得る話です。
その場合、どちらを優先するか。
これは「小柄(である方)の人」を優先します。
つまり小柄(である方)の人の足裏が床に着く座面高のチェアを選び、そこからテーブルの適正な天板高を算出していくのです。
この理由は至極簡単な話で、体格が理由で足裏が床に着かない場合はどのようにしても床には着きません。
長身(である方)の人であれば小柄(である方)の人と同じ座面高のチェアに座った際に多少低く感じても自身の足を前方に出すなど「調整」が可能なためです。
差尺さえ適正ならある程度低い座面高でも作業性に支障はない
ここで重要なのは先述の「差尺」であり、この数値を外さなければ着座する人皆が食事や作業において「過ごしにくさ」を感じることはありません。
着座時に足裏が床に着くことがマストであるとして、私ども家具蔵のような受注生産の家具販売店であれば注文時に座面高を調整することができます。
つまり長身(である方)の人と同じチェアを選んでも小柄である方の人の足裏が床に着かない事態は避けることができます。
しかし、そこで長身(である方)の人に合わせたテーブルの高さにすると作業や食事に不都合が生じます。
かといってその逆では長身(である方)の人に対してテーブルが低すぎることとなってしまいます。
ですので、この場合、優先すべきは小柄(である方)の人です。
仮に皆が同じ座面高のチェアを選んだとして、一番小柄な人がそのチェアの座面高を2cm下げたとします。
であれば、他の人の分も一律に座面高を下げて、チェアと合わせるべきテーブルの高さを揃えれば、皆が使いやすいテーブルの高さとなり、誰かの足裏が床に着かないチェアを使用しているという事態も避けることができるので、長い時間皆でテーブルを囲む時間を共有できるというわけです。
お子様のチェアの選び方はどうすればよいか
家族で「一番小柄」といえばお子様、ということもあるでしょう。
お子様はある程度の年齢までは身体的に成長する可能性があり、「今」の状態でチェアの座面高を設定することは性急といえます。
これからの成長にあわせてチェアを買っていたらキリも無いことから、ある程度の年齢・身長になるまではお子様の成長にあわせて高さ調整のできるチェアを選ぶことをお勧めします。
そのうえである程度の年齢・身長になってから自身が使用するチェアを選ばせてあげることで、そのチェアにも愛着が湧き、自身で選んだ座りやすいチェアがあればそこにいる時間も長くなり、家族で共有する時間も増える、というものです。
多くの人がチェアやテーブルを選ぶ際にはデザインやカラー、素材などを重視します。
もちろんインテリアですからそれも重要です。
ですが、チェアは身体を預け、作業や食事をサポートするためのものであり、テーブルはそれを行う場であるのも事実。
そうであれば、今回のお話しのように「高さ」もしっかりと確認して家具選びを行うことで、より豊かで充実した時間を住まいの中で送ることができるようになるはずです。
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