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無垢材家具の色が変わるメカニズムとは

2022.8.28

 

 

無垢材の「経年変化」とはつまるところ「色の変化」


 

 

天然木を切り出して加工する無垢材は、私たちの身の回りの家具や床材などで多く利用されています。

そのようなものはいずれも「無垢材○○」としてカテゴライズされ、多くの人の支持を集めています。

「無垢材」「無垢材家具」などを検討、あるいは調べる際によく目にする「経年変化」という言葉があります。

これは文字通り「時間とともに状態が変化していくこと」であり、無垢材の場合は「色の変化」を意味することがほとんどです。

 

「劣化」ではなく「良化」「美化」でもある無垢材の経年変化


 

 

「経年劣化」という似た言葉がありますが、これと今回の「(無垢材の経年変化)は異なります。

経年劣化はこれまた文字通り「時間の経過により質の低下」を表します。

例えば金属が錆びたりすることはこれにあたるでしょう。

経年変化という表現は、時間の経過により、その「質」が低下することにも向上することにも適用できます。

無垢材でできたものに対して「経年変化」という場合、こと色の変化については「質の向上」と言って良いでしょう。

いわば「経年良化」「経年美化」と言い換えることもできます。

無垢材でできたもの、そしてそれを無着色で仕上げたものは長く使用することによって色合いを変えていき、それがさらなる美しさとなって価値を与えるようになるのです。

耐久性などの「質」はそのまま「色」の変化を目で楽しむことができることで、飽きることなく長い期間使用することができます。

そこで疑問が湧いてきます。

無垢材は、なぜ経年変化をするのか?

そして単色では表現できないような複雑な色構成の無垢材は、時間の経過とともにどのようにその色合いを変化させていくのでしょうか。

 

無垢材家具はなぜ経年変化をするのか


 

 

木材はセルロース・ヘミセルロース・リグニンの3つの成分で大部分が構成され、それ以外にもポリフェノールや、アミノ酸、ステロイドなどの「油出成分」などが存在し、木の「色」は木材の中にあるこのような要素で決まります。

無垢材の経年変化とは、木材の中に含まれるこれらの成分が変化し、別の色を持ったものに変わるために生じる現象です。

その主な要因のひとつに「光」があります。

光は大きく紫外線・可視光線・赤外線の3つに分類されます。

そして、広い意味での電磁波の一つでもあります。

光はどのような状況下でも完全に遮断することはできないため、必ずその影響が現れます。

スマホに使う電波やリモコン操作などに使われる赤外線、日焼けなどの原因につながる紫外線なども全て電磁波です。

これらは波長と言われる波の感覚の違いによって性質が異なります。

一般的に木材の色が変化するのには紫外線が強く影響します。

特に木の成分であるリグニンは太陽光の紫外線などに敏感で光を吸収し、そこで化学反応が起こり分解するなかで変性、その過程で木材の色が変化します。

 

ウォールナットは明るく、チェリーは色濃く、という経年変化の違い


 

 

無垢材は実際にどのように色を変化させるのでしょうか。

樹種によっても濃くなるものもあれば、逆に明るさを増していくものもあり、その速度も樹種によって変わります。

さらに細かく言えば先程の「光を受ける環境の違い」によってもその進度はまちまちです。

例えば、その漆黒と表現しても良いような落ち着いた色合いが特徴的なアメリカンブラックウォールナットは最初期の濃い色合いから徐々にその状態を明るくまろやかな茶色へと変化させていきます。

そのことで水墨画を思わせるような木目がより鮮明になり、空間に彩りと変化を与え、見る人を飽きさせません。

こうした「色が明るくなる」樹種は世界的に見てもあまり数は無く、色が濃くなっていくものの方がやはり多くなります。

その代表格はやはり「アメリカンブラックチェリー」通称「チェリー」です。

自然のものなので、当然ひとつひとつ、少しずつその色合いは変わりますが総じて最初期は淡いオレンジ色のような状態です。

そこから数か月のうちにみるみる赤い飴色に「劇的」に変化していきます。

ウォールナットの色合いの変化も決してゆっくりではないのですが、チェリーのそれは非常に早く、無着色で仕上げた無垢材家具の特徴である「色の変化を楽しむ」という点においては一番と言って良い樹種です。

完璧な赤みを帯びた購入から数年後の状態は温かみがあり、空間をやさしく演出してくれます。

 

白木材の経年変化はゆっくり濃くなる


 

 

その他、明るい木肌を持つ樹種、いわゆる「白木(しらき)」と呼ばれるもの(ハードメープルやナラ、タモ、ホワイトアッシュなど)もチェリーやウォールナットほどではないですが、徐々にその色合いを「濃く」していきます。

黄色味を帯びていく、という表現が一番わかりやすいのですが、その期間は非常にゆっくりで、毎日目にする日常使いの家具ではあまり気づかないかもしれません。

しかし、並べて見るとその差は明白。

毎年決まった時期に記念写真などに一緒に納めておくと、年月の積み重ねやその間の出来事に思いを馳せることもできるのではないでしょうか。

 

無垢材は長い年月を経て生まれる美しさを「経年美」と表現することがあります。

そして表面に傷が付き、汚れてしまっても削り直しをすることで何度でも新品同様の美しさが蘇ります。

本物の無垢材を使った家具や楽器などは、数十年、あるいは百年を超えて美しさを保ち続けているものもあります。

天然の革製品と同じく、使いむことで色合いに深みが増し、艶や傷でさえも楽しむことができるのも無垢材家具の長所なのです。

みなさんも身近なものに無垢材や無垢材家具を取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

家具蔵の無垢材家具のラインナップはこちらから

 

 

 

 

 

 


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