オーダーメイドでつくる「ハーフオープンスタイル」のキッチン
2022.12.3
オープン型・セミクローズ型・クローズド型
キッチンには様々なスタイルがあります。
その主な形態としてはオープン型・セミクローズ型・クローズド型の3つとなります。
「オープン型」はLDKが一つの空間でリビングダイニング(LD)に向かって配されたキッチンに壁や仕切りがない開放的な形です。
「クローズド型」は独立型とも呼ばれるように、キッチンとLDが壁や建具で仕切られた単独の空間となっています。
この中間といえるのが「セミクローズ型」で袖壁・腰壁・下がり壁などにキッチン本体が接したタイプです。
つまりダイニングとの境となる壁面や通路側の壁の開口サイズや大きさによって対面キッチンもオープン型とセミクローズ型に分類できます。
セミクローズ型はその名の通りLDから見てキッチンの「一部」が隠されている形態です。
キッチンの配置により呼び方が違い、ダイニングに向かって配置されているタイプが対面キッチンでダイニングとの境の壁高さや開口サイズを再考して効果を高めたのが「ハーフオープンスタイル」です。
このようなプランはこれまでもありましたが、現在人気を高めているスタイルです。
ハーフオープンスタイルの壁面部の高さ
オープンスタイルではキッチンのシンク前は、キッチン天板と同じ高さか、ダイニングとの間仕切りとなる壁面部を「キッチンの高さプラス10~15センチ前後高い」腰壁とするものも多く見られます。
このカウンターは基本的には奥行きもそこまで広くなく、配膳や片付けの作業を補うサービスカウンターのような役割を持たせています。
これが一般的なオープンスタイルとするならば、より壁面部を高くしてキッチン側からの作業性や収納量を補うのがハーフオープンスタイルです。
例えばキッチン前の間仕切りとなる壁面部の高さを床高140センチ位にして、キッチン天板との間に大きな高さのギャップを作ります。
そうすることで収納性も高まり、具体的に言えば下ごしらえや調理に必要な小物、ペーパータオル、キッチンクロスなどを使いやすいよう手元に掛けておけたりするのです。
散らかりがちになる調理や片付け時のキッチンの手元をしっかり隠しておけるだけでなく利便性も兼ね備えたスタイルとなります。
特にキッチン前でダイニングに人がいる状態では僅かかもしれませんが気になるであろう視線や調理音も軽減されます。
ダイニングスペースが食事だけではなく、個々の勉強・仕事や趣味と幅広い用途で利用されることが当たり前になった昨今の事情を反映しているとも言えます。
このスタイルを取り入れる際には高くしなった腰壁そのものやその上にくるカウンター天板の奥行が深くなるとダイニング側から見て圧迫感が出ますので注意して業者との打ち合わせなどに臨みましょう。
ハーフオープンスタイルでの吊戸棚の採用
こちらについては戸建(分譲)やファミリータイプのマンションの間取りではすでに定着しているスタイルといえます。
キッチンとバックセットと呼ばれる背面収納以外にもパントリーやユーティリティスペースがあってそこに食品をストックできる場合は良いのですが、このような収納場所を設けられないことも多く、その際にはキッチン前面上部に吊り戸を付けて収納量を補います。
キッチン本体の上に吊戸棚があるメリットは、手の届く範囲に必要なものを収納できるので作業動線が短くなることです。
但し吊戸棚の上段は高いところにある分だけものの出し入れについては不便を生じます。
使用頻度の低いものの収納場所ともなりますが、他の収納とも使い分けが可能なことからやはりあると便利です。
他には下がり壁に棚板を取り付ける、或いは下がり壁を設けずにフレームに棚を取り付けたシェルフを天井から吊り下
実用性よりも意匠性を重視したものも多く、この点もどこを一番に考えたいかを設計業者などとよく打ち合わせを行いましょう。
ハーフオープンスタイルのメリットは
完全なクローズドタイプのキッチンはダイニングやリビングには目が届かず、コミュニケーションも不足しがちなのは確かで、オープン型・セミクローズ型、そしてこのハーフオープン型のキッチンの採用は生活空間との繋がりを保ちつつ、作業効率を上げるプランです。
お互いに会話をしたり手伝いあったりを行いながら、常に互いに家族の状況を確認できるのは安心です。
またこのハーフオープンスタイル=高さの出る壁面部をウッドパネルやタイル、周囲の壁とクロスを張り分ける異なる壁紙を使用してアクセントウォールとすることもできます。
丁度視線の高さとなる部分に白系のクロスがあるとどうしても汚れが目立ちます。
その汚れ防止も兼ねて落ち着いたトーンでメンテナンスしやすい素材を選ぶことがポイントです。
ハーフオープンスタイルのキッチンは壁の高さや開口サイズに対しては通常のオープンスタイルのキッチンとは少々異なる知見が必要です。
空間全体とのバランスを取ること、間取りにどのように影響するか場合もあるので設計段階から検討するようにしましょう。
キッチンを中心としたLDKは貴重なコミュニケーションの場であり、家族団欒の時間の密度を高める家族の居場所でもあります。
ハーフオープンスタイルのキッチンで効率良く調理を行い、調理も食事も楽しみたいものです。
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