ウォールナットとモンキーポットの違いとは?
2022.12.27
ウォールナット材は言わずと知れた銘木のひとつであり、多々ある家具材の中でも五指に入るといっても過言ではないほどの知名度と人気を誇ります。
家具材で言うウォールナットとは主に北米産の「アメリカンブラックウォールナット」を指します。
「チーク」や「マホガニー」といった銘木と並び称され、その名の通り、黒に近い落ち着いた色合いが高級さやモダンさを表現する、ということで世界中から高い支持を集めています。
このウォールナットと一見よく似た色合いを持ち、人気も高い樹種に「モンキーポッド」という木があります。
モンキーポッドは濃茶と白が強く大きく入り混じっており、ウォールナットと似た色合いでありながら、比較した際にはその表情は非情に力強いものとして目に映ります。
一見似通った、ウォールナットとモンキーポッド、両者の違いを解説していきましょう。
ウォールナット(アメリカンブラックウォールナット)
一般的に「ウォールナット」とは、「アメリカンブラックウォールナット」の呼称です。
主にアメリカ東部~中部にかけ自生し、オレゴン州産の「オレゴンウォールナット」はさらに評価が高く、また、亜種ともいえる「クラロウォールナット」も高い人気を誇ります。
いわゆるクルミの木ですが、クルミ科には多様な種類があり、ブラックウォールナット・ペルシャウォールナット・ヒッコリー・オニグルミ・ピーカン・バターナットなど、ヨーロッパ南東部から東南アジア及び日本、南北アメリカにかけて広く分布しています。
その総数約200種類の頂点であり、北半球のあらゆる樹木の中でも不動の存在として君臨しているのが、銘木アメリカンブラックウォールナットです。
その立ち姿は高さが40m以上にもなり樹皮には鱗のような深い溝があり灰色がかっているのが特徴です。
葉は20~90cm位の葉軸に10~20枚と複数枚の小葉をつけ、枝を豊かに広げた立ち姿は、見る物を荘厳な雰囲気に包みこんでいきます。
防風林や街路樹など人の生活において憩いの場を提供する存在でもあり、また、そのクルミの実は人や動物への生命の糧を与え続けています。
家具材としてのウォールナットの特徴
厳しい寒さのもとで時間をかけて生長するため、硬く粘りのある材質を持つ一方、軽量で扱いやすく、加工性や塗装性にも優れています。
また、加工後の狂いが少ないため、かつては飛行機のプロペラに使われたことがあるほか、現在でもライフルの銃床や楽器(ピアノなど)にはこの木材が使われています。
黒に近い濃茶の色合いが特徴的でありますがその色味は一様ではなく、その木肌のなかで様々な色がグラデーションを描き、美しい模様の表情を形成し、デザイン的な効果を高めています。
時間の経過とともに明るくまろやかな茶色へと変化し、使い込むほどに味わいが出てくるのも、大きな特徴と言えます。
「家具材のロールスロイス」とも呼ばれ、1660年頃~1720年頃のヨーロッパのロココ文化の中心にこのウォールナット家具が一時代を築いてから、貴族階級や権力者が競ってウォールナットを使い続けてきたという事実があり、チェアやテーブル、キャビネットといった家具や世界の高級車のウッドパネルなどに使われ、人々の憧れの的となっています。
現代においても空間を選ばない万能性は多くの住まいで使用され、一枚板だけではなくあらゆる無垢材家具の人気樹種として多様な姿を見せています。
モンキーポッド
フィジーや中南米諸国・またはハワイや東南アジアなどに自生する、「マメの木」の一種です。
「モンキーポッド」という名前は、野生の猿がこの樹木の実を好んで食べることが由来とされています。
中央アメリカからスリランカに持ち込まれ、鉄道燃料として非常に価値のある木と考えられていたため、多く移植され、育てられてきました。
シダに似た形をしている葉は、就眠運動を行うため、日の出とともに開き、午後になると閉じます。
降雨前にも葉が閉じることから、レインツリー (rain tree) という呼称の由来となっています。
そのことから天候を知らせる木として古くから人間との関わり合いも大変に強い木です。
また、レインツリーと呼ばれる所以として、この木の樹液を吸いに集まるセミの分泌物が雨のように下に落ちるからという説もあります。
材料としてのモンキーポッドの特徴
木目の美しさや加工のしやすさなどから、ハワイなどでは木製食器など土産物や工芸品の素材としてモンキーポッドが使われてきました。
濃淡の強い木目と空間に確かな存在感を与えるその色合いはまさしく空間の象徴となるものであり、見る人、そこに集まる人に拠り所となる安心感を与えてくれます。
国内においては特に一枚板が有名で、比較的購入しやすい価格のものが多いことも人気の一因です。
ウォールナットとよく似た黒~濃茶の色合いを持ちますが、その表情はより「ワイルド」
不規則に現れる縞模様が織り成す表情は抜群の存在感を醸し出します。
この縞模様は見る角度によって違った光沢が現れるだけでなく、濃淡の茶褐色からこげ茶と複雑な柄が絡み合い、野性味のある雰囲気の中にも上品さがあり、モダンな空間でもすんなりと馴染んでくれる守備範囲の広さを持ちます。
ウォールナットもモンキーポッドも、どちらも非常に魅力のある樹種です。
空間の顔となるダイニングテーブルとして選ぶ際には、その木目の落ち着き具合からウォールナットの方がより高級感があり、良い意味で主張しないような「合わせの良さ」があるでしょう。
同じような「濃茶の樹種」という意味で比較されることの多いウォールナットとモンキーポッド。
それぞれ異なる木目や色合いから全く違う良さを持っています。
無着色の無垢材家具では、表情を楽しむだけではなく、その木の生き様を垣間見ることができます。
バックグラウンドやエピソードを知ると、より愛着の湧くものとなり、そうして選ばれ、使っていく家具はきっと掛け替えのない宝物となるはずです。
家具蔵ではそれぞれの樹種にまつわる、とっておきのエピソードをたくさんご用意して、皆様のご来店をお待ちしております。
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