「カエデ」と「メープル」その違いとは?
2023.1.27
日本人にとっては秋深い時期に鮮やかな紅葉で季節の便りを知ることのできる「カエデ」。
そのカエデは英語の呼称では「メープル」です。
メープルと言えば馴染み深いのがメープルシロップであり、家具をはじめとした木材での使用も有名です。
このカエデとメープルは同種の木でありながらまったく同じものではありません。
カエデやメープルの仲間は百数十種類にも及びます。
庭木程度の大きさにしかならない日本のカエデと、数十メートルの巨木にもなり、樹液から甘いシロップを採取できる北米のシュガーメープルは別の木として表現されます。
分類としてはどちらもカエデ科カエデ属でありますが木工の世界の大きな分類としては、メープルというと北米からの輸入材のメープルを指し、カエデというと国産のイタヤカエデを指します。
イタヤカエデとメープルは、どんな違いがあるかみていきましょう。
イタヤカエデとは?
カエデといえばやはり紅葉のイメージが強いものです。
ちなみに「カエデ」とはその葉の形がカエルの手に似ていることから「カヘルデ」と呼ばれ、そこから「カエデ」の呼称が一般化したと言われています。
その葉が鮮やかな赤や黄色に紅葉することから観賞用の木として日本にもたくさん分布しています。
日本の多くのカエデはそれほど大きく成長しません。
そのため家具材として使用されるカエデは限られています。
家具材として利用されているものに多いのが特に大きく成長するイタヤカエデです。
イタヤカエデはメープルよりもわずかに赤みがかっていることが特徴で、それぞれに個性的な表情があります。
流通量は決して多くはないので安定供給されているものではないことも特筆すべき点でしょう。
メープルには種類がある。
メープルには大きく分けてハードメープルとソフトメープルのふたつに分類されます。
ハードメープルというのはメープルシロップが採取できることで有名なシュガーメープルやブラックメープル、ロックメープルなど固さがあり剛性の高いものをさします。
ソフトメープルとはレッドメープル、シルバーメープル、ボックスエルダー、ビッグリーフメープルなど軟らかく軽めの傾向があるものをさします。
そのどちらもカナダ、そしてアメリカ北東部に生育し、樹高30~40メートルにもなる巨木です。
カナダの国旗といえば、手のひらを広げたような形の葉が中央にあるものであることは有名ですがこれはメープルの葉をモチーフにしていることは言うまでもありません。
ハードメープル材の用途と特徴
太古から人々の暮らしに密接なかかわりを持っているのが硬質なハードメープルです。
私ども家具蔵でも使用するメープル材もハードメープルであり、「シュガーメープル」を使用しています。
厳しい寒さや雪の重みに耐えて生長した北米産のハードメープルは、衝撃や摩擦に強く、ダンスホールのフロア、ボーリング場のアプローチやピンなどに使われることでも知られています。
また、明るい乳白色から独特の飴色に変化していく美しさ、緻密な木理に見られる絹糸のような光沢は、清潔感と透明感にあふれ、ピアノの枠組材やバイオリンの背板などとしても重用されています。
木材としての卓越した性質に加えて、「木の真珠」と讃えられるほどの上品な木肌は、シンプルなデザインに良く合い、どんな空間にも自然に溶け込みます。
家具材とするうえでもそのすべすべな木肌と透明感すら感じる色合いは空間に爽やかさや清潔感を与えてくれます。
ハードメープルは散孔材
ハードメープル材が「木の真珠」と呼ばれるほどに緻密な杢理を持つその理由は、水を運ぶ管=道管にあります。
例えば、ナラ材やタモ材、ホワイトアッシュ材などはハードメープル材と比較すると表面の木肌に凹凸を感じます。
それは水を運ぶ道管と呼ばれる管が年輪に沿って環状に束になっており、それが手を触れると感じられるためです。
そのような材は「環孔材」(かんこうざい)と呼ばれ、木目も明瞭で主張感も強いものです。
それに対し、ハードメープル材は道管が全体に分布している為に杢目の表情も優しく、すべすべとした木肌になります。
このような材は「散孔材」(さんこうざい)と呼ばれます。
またハードメープル材は多様な「杢(もく)」が生まれることでも有名です。
シュガースポットという樹液の中の糖分が固まって出来た杢はハードメープル独特のものと言って良いでしょう。
また、その中でも特に有名なのがごく稀に2000本に1本程度の割合で生まれる「鳥目杢」(バーズアイ)。
小鳥の目のような渦巻状の斑点で、この杢目が表れた材は非常に稀少価値の高い材として、通常の20~50倍という価格で取り引きされます。
「木の真珠」と称えられるほどの光沢を持った木肌と特徴的な杢目を活かしたテーブルや収納は上品でシンプルなインテリアに最適だと言えます。
少しでもご興味をお持ちの方は、実際に店頭でハードメープルの家具に触れてみてはいかがでしょうか。
なめらかな触り心地は日々の疲れを癒し、穏やかな気持ちにさせてくれることでしょう。
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