無垢材家具と「その他の木製家具」の違いとは?
2023.2.28
目次
存在感を増してきている「無垢材」
家具を検討している際に、もしくは新居を検討する際に目にすることがある「無垢材」という言葉。
勿論以前からも存在していたものですが、このところ住まいに関するものの材料として増々存在感が出てきた、そんな印象です。
無垢材を使用してつくられるものは「無垢材〇〇」、例えば「無垢材フローリング」「無垢材家具」などと呼ばれます。
特に無垢材家具は、その種類に応じて「無垢材テーブル」「無垢材チェア」などと分類され、その他の木製家具とは一線を画した扱いとなります。
「木の家具」の違い・無垢材と木質系加工材
「木製」という括りで言うのであれば、特に現代においては加工技術や印刷技術の向上もあり、見た目としてはそこまで大差がないものも多くなってきています。
何も知らない人にとってはどちらも「木でできたもの」です。
テーブルなら「木のテーブル」と呼ぶでしょう。
しかし総称は同じでも素材、作りは全く違うものです。
つまり、無垢材で作られるものと、いわゆる「それ以外のもの」ではやはり大きな違いがあるのです。
木の家具の材料を大きく分類すると「木質系の加工材料(木質系加工材)」と「無垢材、天然木」との2種類に分かれます。
木質系加工材の代表格は「合板(ベニヤ=木材から薄く剥かれた単板を何枚か積層して接着したもの)」で、その表面に化粧シートや、突板を圧着し加工した工業製品が多々存在します。
無垢材とは表面材と心材に分かれている合板物とは違い、天然木そのもののことをさします。
いわば「木そのまま、木そのもの」であり、非常に簡単に言うならば原木から伐り出した板材のことを指します。
無垢材家具の人気の高まりの背景
木質系加工材は大量生産が可能で扱い易く、同じものを安価に作ることを目的としています。
コストパフォーマンスに優れる点などの良さがあり、加工も容易なのでデザインを含めた自由度の高さもあります。
最近は技術の進歩で、本来は無垢材でなければ出ないような表面の凹凸までも表現するようなシート材を張ったものも出てきました。
一方で無垢材は乾燥や加工に時間と手間を要し、それだけに熟練の職人でなければ扱うことが難しいことも多くあります。
しかし、冒頭で触れたように現代では確実に無垢材で作られるものの存在感が家具を含めた住宅関連においては確実に高まっています。
それは本物志向の高まり、自然素材への回帰の機運の高まり、在宅時間の増加などにも要因はあるでしょう。
木質系の加工材料を使用している家具と無垢材とを比較するとその質感や温もり、奥行などは確実に違います。
使用していて心地よい、そのような気持ちを常に味わうことを求める時代となっていることも関係しているかもしれません。
家具というものは買い替えるタイミングがそう頻繁にあるわけではありません。
一度購入すると何十年と使うこともあるでしょう。
せっかくであれば長い期間を、美しく、愛着を持って使用したいものです。
無垢材家具はたしかにそれを可能にするものではありますが「長く愛用できる家具」となるにはいくつかの条件があります。
広葉樹材で作られたものがベター
木には大きく分けると2種類の木があります。
「広葉樹」と「針葉樹」の2種類です。
「広葉樹」はハードウッドとも呼ばれているほど、非常に硬く強度があり、傷が付きにくいのが特徴です。
家具は人の身体と暮らしに必要な作業を支えるものです。
「傷がつきにくい」こと、そして「揺れに強い」ことは重量のあるものを収める可能性のある収納家具、傷などがつく可能性がある意味ではもっとも高い(つまり傷がつきにくいものが良い)ダイニングテーブルに向いています。
また、中身の組織の密度の濃い広葉樹は揺れにも強いので、ソファや椅子のフレームにも最適です。
無着色であることで風合いが出やすい
着色をせずに、自然の色合いを活かす、ということは2つの意味で長く愛用できる家具を生み出します。
まず、自然の色味があることは経年変化による味わいの深化を生み出します。
そして、仮にキズやへこみが生じても中の「地」が目立つことなく、それすらも風合いになってきます。
長く愛用していくうえで使い込むごとに味わいを増し、普段の暮らしで使用するうえでは避けることができない傷みすらも味わいになる。
そのうえで傷やへこみの類を修復することも可能です。
着色をしないで家具を製作することは原材料を厳選しなければならないこともあり、難しいものとはなりますが、そのような家具を選ぶことでより長い期間、美しい家具を使うことができるのです。
木組みであることがさらなる強度を生む
「木は木で締める」という、金物に頼らず、木だけで構造物を組み上げるという、日本に昔から伝わる木工技術は数百年、あるいは千年を超えるような歴史を持つ建造物を生み出してきました。
家具においても同様で、木組みで製作するものは長期間使用しても接合部が緩むなどのトラブルも少なく長く愛用できる家具となります。
これも大量生産には向かず、特別な技術を持つ熟練の職人がいなければできないものですが、家具の寿命は確実に長くなります。
工場直営店で選ぶ
家具販売店には大きく分けて2つのスタイルがあります。
工場直営の家具販売店と、外部から商品を仕入れて販売を行う量販店、あるいはセレクトショップのスタイルです。
工場直営の家具販売店は、製作の過程が透明化されていることと、メンテナンスなども充実しているので安心して購入・使用ができます。
長く愛用できるものを選ぶ、という観点ではこのような「長く使用した後」も見据えて安心した体制が確立されている場所での買い物が重要です。
長く愛用できる家具とは、という内容でお話ししてきましたが、本当に大切なことはその家具に愛着を持つことができるかどうかです。
愛着というものは手に入れてすぐに芽生えるものではないからこそ、長い時間共に過ごすことができ、暮らしの一部として存在してくれる家具選びが重要なのです。
愛着の持てる家具選び、私ども家具蔵各店のスタッフがお手伝いさせて頂きます。
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