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空間に「余白」をつくって広くスッキリ見せるレイアウトに

2023.5.31

 

 

日本人にはいわゆる「余白に美を感じる」という一種独特の感性・美意識が宿っています。

ここでいう「余白の美」とは、スペースをびっしり埋めるようなものよりも、あえて対象物の周囲に何もない余白の空間を作り、そこに美しさを求めるものであり、意図して行われるものかどうかは別として、様々なもので見ることができます。

古くから培われてきたこの日本独自ともいえる感性は、これを一般の住まいのインテリアに落とし込むと、家具のレイアウトや棚の飾り方などで活かすことができます。

 

余白の美とは


 

 

日本の伝統的なインテリアを考えるときに和室は欠かせません。

なかでも「茶室」は「余白の美」を意識したものの代表格と言えるでしょう。

千利休が綺麗に咲いた朝顔の花を豊臣秀吉に見せるために、庭に咲いた朝顔の花を全て摘み取り、茶室にたった一輪だけを活けて見せた、という有名な逸話があります。

一輪の花の美しさを際立たせるためには、そのほかの余計なものを取り除く必要があったわけです。

こうした「美学」は日本画や書道などで使われる表現にも表れ、外国とのものの見方の違いにおいて興味深いものとなっています。

キャンバスいっぱいに隅々まで描く西洋画に対し、あえて余白を持たせる日本画は海外では「未完成」とも感じるようです。

日本人は「完成された豪華なもの」よりも、少し何かが欠落しているものや静寂などを好む傾向があり、これは「侘び寂び」、そして「閑寂美」とも言われる感覚に現れます。

日本人は静かさや質素さ、時の経過とともに古びて味わいのあるものになっていくもの、そしてそのものの不完全さに美を感じ、その延長線上に「余白の美」という日本人独特の美学があるのです。

 

余白を持った家具配置のメリット


 

 

インテリアという観点で余白を作るメリットは主に2つあります。

まず1つは「家具をはじめとした“見せたいもの”を引き立たせる」ことができる点です。

これは千利休の話にも通ずる「あるものを際立たせるためにあえて他を排除する」という考えと発想は同じです。

例えば一目ぼれした一枚板のテーブルを購入した場合、そのテーブルは住まいの中心としたいと考えるはずです。

あるいは自然とそのようになることでしょう。

ここで想像してみます。

何もない空間に迫力のある一枚板テーブルが置かれているのと、一枚板テーブルの他にもデコラティブなダイニングチェアも配置され、壁面には豪華絢爛な収納家具がびっしりと置かれている様子では、どちらの空間が一枚板を際立たせるか、と言えばやはり前者に軍配は上がります。

もう1つは視覚的な効果であり、具体的には「スッキリして見える」ことです。

この視覚的な効果は対象物の周囲に余白を作り、「抜け感」を生み出すことで獲得できます。

収納家具でも左右や上部、あるいは脚などで床面と家具にスペースが生まれることで空間全体に奥行き感が生まれ、空間全体を広く見せる効果も併せて享受できるでしょう。

まだ奥まで空間があるものだと脳が認識し、広い空間だと感じることができるのです。

空間を余すことなく使うことが効率的なスペース活用である一方、「あえて余白をつくる」ことで本来よりも空間を広くすることが可能となります。

 

家具配置における余白の作り方


 

 

インテリアにおける余白の作り方というとなんだか難しそうで、センスがないとできないのでは、と考える人もいるかもしれません。

じつはあまり難しく考えることはなく、まずは「ものをなるべく床に置かないこと」が大事です。

つまり「床面積を多く見せること」を意識しましょう。

リビングテーブルなどが無くなるだけでも大きく空間の見え方や動線の取り方も変わります。

壁の面積を広く見せる」ことも重要です。

床同様に空間のなかで大きなスペースを占める壁の面積を広く見せることは、空間全体の奥行き感を拡げてくれる効果があります。

壁面に沿って置く家具の代表格といえば収納ですが、壁面を隙間なく埋めるのではなく左右、上下にバランスよく余白を残すことが大切になります。

あるいはあえて背面が抜けていて壁面が見えているものを選択するのも良いでしょう。

また、バラバラに配置するのではなく、空間の一部に寄せて配置して壁を多く見せるなどを意識し余白の見え方に気を付けるとすっきりしてバランスのとれた空間になります。

 

「飾り方」にも余白を活かす


 

 

大切なものやお気に入りのものを「見せて」収納したい場合は飾り棚を活用したり、収納家具の天板上を上手く活用することになります。

いずれの場合も収納物や飾るものを詰め込みすぎずに適度に余白をとることが大切です。

物と物の合間に少しずつゆとりをもたせることで互いが引き立ち、圧迫感も感じずに収納し、飾ることができます。

ガラス扉や背板のないオープンタイプのものであれば見た目の軽さも出るのでお勧めです。

 

 

空間に余白があることで心にも余裕を持つことができるようになります。

家具蔵ではお客様一人一人に合うインテリアプランを無料で作成していますが、「なんだか配置がしっくりこない」「散らかって見えてしまう」といった場合は、もしかしたら余白を作ることで開放感が出て部屋を広く感じさせることができるかもしれません。

少しの意識で居心地も変わります。

まずは軽い気持ちでご相談ください。

 

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