無垢材家具とその他の木製家具の見分け方は?
2023.6.26
皆さんがいわゆる「木の家具」を探しているとしましょう。
インターネットで「木製家具」と検索すれば様々なものが出てきます。
あるいは家具販売店で実際に品物を見てみることもあるはずです。
そこでは様々な種類の「木の家具」を目にすることでしょう。
木材は家具材としては非常にスタンダードなもので、その木目や手触りなどの質感は使う人の心に安らぎも与えてくれます。
ただ、一言で「木の家具」と言っても、そのつくりや使われている材料にも様々な種類があります。
大きく分けて、一般的には「無垢材」と「木質系加工材料」との2種類に大別されるのです。
無垢材とは
無垢材の「無垢」は純真無垢の「無垢」などでも使われる言葉ですが、総じて「そのもの自体に混じりけの無いもの」を指します。
つまり人工的に何かをつけ足して作ったものではなく、ありのままのもののことを指し、つまり無垢材は木そのものに何も足したり引いたりしない材料、ということです。
ありのまま、ということは木が育った成長過程をそのままに活かすことであり、そこで唯一無二の木目や質感が味わえるわけです。
無垢材は乾燥・加工に時間と手間がかかり、木を知り尽くした熟練の職人でなければ、木の動きを読むことができずに扱うことはできません。
その扱いの難しさから極めて希少性の高い材料となります。
材料の表面に現れる木目のゆらぎは1/fゆらぎ(エフ分の1ゆらぎ)と呼ばれるような、人間の五感を通して自律神経を整える効果があります。
また、無垢材に着色を施さないものは経年変化と呼ばれる、紫外線の影響による色素変化も楽しむことができ、使い込む毎に味わいが増す、という醍醐味が得られることも特徴です。
木質系加工材料とは
対して木質系加工材料とは、大まかにいうと「本物の木のように見せる作り方をした材料」のことを指します。
その代表格である合板は、大量生産が可能で扱い易く、同じものを安価に作ることを目的としています。
合板とはベニヤ(木材から薄く剥かれた「単板」のこと)を何枚か積層して接着したものこのことです。
(このベニヤには流通上のグレードがあり、海外で生産される安価な大量生産家具などには質の悪いベニヤをベースとしている場合もあるので注意が必要です)
表面に化粧シートや、突板を圧着し加工した工業製品があり、「プリント合板」「メラミン化粧合板」「突板合板」「ランバーコア合板」などが代表的なものです。
木質系の加工材料を使用している家具はコストパフォーマンスや量産性に優れますが、無垢材とは木の質感や温もりが違います。
また、天然素材である無垢材は木目や木の動きを読む熟練の職人の技と経験が必要ですが、木質系加工材料は言わばオートメーション化され製造する材料ですので、人の技術力はそれ程必要なく作ることが可能です。
無垢材と木質系加工材料を見分けるコツとは
どちらを選ぶのか、という点ではそれぞれに基準もあり、良し悪しもあるのですが、それは一旦置いておいて、無垢材家具と思って購入したら実際には木質系加工材を使用したものだった、というようなことを避けるための見分け方はあります。
まず、商品のプライスに「〇〇(樹種名)突板」など、と明記している場合はそこで見分けることが可能です。
しかし、詳細表記が不明の場合は、どうするか。
ダイニングテーブルなどは分かりやすく見分けることが出来ます。
テーブル天板の四方の側面を確認すると、本物の無垢材で作られるテーブル天板は表面の木目の流れがそのまま短辺側の木目に繋がっています。
対して木質系加工材料で作られるテーブルは、表面の木目と側面の木目は繋がっていません。
これは芯材であるベニヤ材のそれぞれの面に化粧となる突板やシートを貼っている為、木目を繋げることができないからです。
他にも収納家具の場合であれば、天板だけではなく引出しや扉の戸板からも同様に見て判断をすることができます。
見分け方がわかれば、木製家具を購入する際に本物の木で作られているかどうかを間違えずに選ぶことができるようになるはずです。
無垢材とそのほかの木製家具の大きな違いは使い始めてからわかる
無垢材とそのほかの木製家具、つまり木質系加工材料を使用した家具の違いは使い始めてしばらく経ってから如実に現れます。
まずひとつは「傷の問題」。
長く使い続けていると、どうしても生活傷は避けられません。
この傷の見え方も無垢材と木質系加工材料では異なります。
天然の無垢材は中も同じ木なので、傷が付いても何か剥がれてしまう、というようなことがありません。
逆に傷自体がそのまま生活の歴史となって馴染んでいきます。
また、削りなおすことで、新たな表情に生まれ変わらせる、というようことも可能です。
木質系加工材料の場合、傷が付くと表面の化粧材が剥がれてしまいます。
剥がれてしまった化粧材は補修が困難で、傷はそのまま残ってしまいます。
内部材が見えてしまうと、そこは表面の化粧材とは違う材質なので、傷自体も目立ちやすくなってしまいます。
そのまま使い続けていくと、次第に水染みなども起こりやすく劣化していく様が如実に分かっていきます。
他にも手触りを含めた生活の満足度の違いもあります。
例えばダイニングテーブルは家族の暮らしの中心となる家具ですが、食事をしていく中でも細かな感覚の違いが出てきます。
コップを置いた時の音の響き方、何気なく触れる家具表面の手触り、家族の歴史とリンクする経年変化、など。
天然の無垢材と人工の木質系加工材料との違いが暮らしの満足度に繋がっていきます。
世界的にも環境問題が叫ばれている中、現代の日本の文化には「使い捨て」という言葉が存在します。
例えば小さいお子さんがいる場合、傷がついてしまう事の懸念から、無垢材家具よりも安価な突板家具で良いと思われることもあるでしょう。
しかしどうしても無垢材以外で作られる家具は経年での劣化が出てしまうため、買い替えの時期が早い段階で来てしまいます。
世代を超えて使い続けられる家具は、本物の無垢材で作られているものか人工の木質系加工材料で作られたものかをしっかりと見極めることが失敗しない家具選びに繋がります。
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