「無着色仕上げ」の家具が空間に与えるメリットとは
2023.7.14
無垢材家具には「着色あり」と「無着色」がある
無垢材を用いた家具の中でも、人工の色を付けた着色家具と、自然の木の色をそのまま活かした無着色家具のものがあります。
そもそも無垢材の「無垢」とは「純真無垢」という言葉でも表現されるように、混じりけの無いものを指しています。
そこから考えるに本来の無垢材の良さというものは、一切の着色を施さないものが一番自然らしさを表現できるものと言えるでしょう。
私たちの身の回りにある自然なものは全て色を持っていて、それを思い浮かべると同時にその色が連想されることも多くあります。
例えば道端に石が一つあったとします。
私たちは何となく石そのものの色合いを認識していますが、もしその石に人工の色で着色されていたらどう見えるでしょう。
恐らく「違和感」を覚える人も多いのではないでしょうか。
無垢材も同じで、家具は木のものが良いと考える人は木の自然な色合いを活かしているものかどうかを見極める必要があります。
それではなぜ着色を施す家具があるのでしょうか。
今回は着色と無着色の違いも踏まえながら、無垢材で作る家具が空間にどの様な効果を与えるかをお話していきましょう。
木製家具に着色をする意味とは
まず一般の木製家具に、なぜ着色が必要なのでしょうか。
自然の物である木は成長過程における様々な事象から、材にした時に各種の紋様が表情となって表れます。
中には色素がまだらになってしまった部位があったり、鳥や熊などの動物が樹皮に傷をつけた跡があったり。
自然界で育つが故の個性が材面には表れます。
その自然に生まれた表情を持つ部位に対して、着色を施すことで分かりにくくさせる意味合いが着色を施す一番大きな理由です。
当然均一な色素にはなるので、ぱっと見た目には綺麗に映るでしょう。
また木目の流れなども気にせず作ることが出来るので、材料が揃えばコストを下げて作ることもできます。
どれも見た目が同じである、ということで大量生産で作る家具としては(メーカーにとっては)非常に優秀なものとなります。
ただ表面に「化粧」をしている状態ではありますので、生活傷が付いた場合に内部の素地の色が見えてくるだけではなく、削り直しなどの修理も効きません。
また着色を施すことで、その木がどのような樹種か、あるいはどのように製造されているかも分かりにくくなることを逆手にとって、実は安価な材を着色でカバーしている、という家具も存在します。
無着色仕上げの家具は経年変化を楽しむことができる
対して無着色で仕上げることは、木本来が持つ自然な風合いを最大限に活かす方法です。
着色をしないとことで、材そのものの良さを見極める技術を持っていなければなりません。
また、機械を駆使してオートメーションで作るものではありませんので、その素材を吟味し、最大限の良さを引き出してあげる目利きの技量が必要となるのです。
コストや労力は段違いですが、ではそこまでして無着色で仕上げる家具にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
無垢材家具を無着色で仕上げることで、経年変化という色素の移り変わりを感じることができる点は大きいでしょう。
長く使えば使うほど木の持つ色素は大きく変化をしていきます。
何故色素が変化するかと言うと、主に光の影響から刺激を受けることで、木の持つリグニンが光を吸収、分解を行うことが大きな要因です。
着色をしているものの色の変化は所謂「色褪せていく」ものとなりますが、無着色仕上げのものはそれぞれの部位の微妙な色素のバランスはそのままに味わい深く変わっていきます。
アンティーク家具という言葉を耳にしたことがある人も多いでしょう。
長い時代を経て使われる家具には、深い味わいも加わり、そこには新たな価値が育まれます。
まさしくそれこそが本物を使う楽しみの一つかもしれません。
メンテナンス性にも差が出る
家具を使い続ける上ではメンテナンスについても考えていく必要があります。
長年使い続けていく上で修理ができるかどうかは着色のものと無着色のものとでは考え方が変わります。
着色家具は修理が出来ない為、使い続けていくと次第に傷みが目立ってきて、仮にまだまだ使用できるものであっても買い替えを迫られることもあります。
それえはいわゆる使い捨ての家具となってしまうことも意味します。
対して無着色で仕上げる家具は、普段の暮らしの中で生じる生活傷でさえも馴染んで見えてしまうことも多く、またその風合いが味わいの深さを更に高めてくれます。
また無着色で仕上げた家具は表面を削りなおすこともできるので、修繕しながら長く愛用することが可能です。
その為家族の世代を超えて使い続けることができるのです。
自然素材を活かした空間
人が日々成長し続けていくのと同様に、住まいも長い年月に移り変わりが出てきます。
年を経るごとに重なる深い味わいは、無着色で作る家具にも深い歴史を刻んでいきます。
長い暮らしをし続けていくと室内を模様替えしたり、リフォームをしたりという機会も出てくるでしょう。
空間の雰囲気が変わっていったとしても、無着色で作る無垢材の家具はどの様な空間にも溶け込んでいくというメリットがあります。
また使い続けるごとに愛着も湧き、無垢材の風合いがいつまでも使う人の心に安らぎをもたらしてくれるでしょう。
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