「美しい空間」「お洒落な部屋」には何が必要か?
2023.9.12
映像や画像で見るような素敵な部屋。
誰もが一度は憧れを持ったことがあるのではないでしょうか。
そして、それを参考にインテリア雑貨や家具を購入したのに同じように見えなくてがっかり…、といった経験を持つ人も一定数いることでしょう。
同じものを使用しているのにイメージとかけ離れた出来上がりになってしまうのは往々にしてあるものですが、この場合も何かが足りない、あるいは余計なのかもしれません。
空間にゆとりをもたせる
「空間のゆとり」と聞くと広い部屋でないと実現しなさそうなイメージもありますが、いわゆる狭い部屋でも空間に「ゆとり」を持たせることは可能です。
そのヒントは絵画、そして庭園や建築などの街並みなどに隠れています。
ヨーロッパと日本では長い時間の中で築かれた独自の歴史や文化があり、それぞれ美に関する価値観も異なります。
美意識を語る例えとして、ヨーロッパは足し算の文化、日本は引き算の文化だと言われることが有名です。
ヨーロッパの建築やその街並みを見るとそれはいわゆる「論理」に裏打ちされたものであり、哲学や音楽などもその積み重ねとしてひとつずつ構築されてきた「足し算の文化」なのだということが伺い知れます。
一方、日本の伝統的な美意識の体現である「侘び寂び」は引き算的思考を伺わせるもののひとつです。
例えば京都にある竜安寺を代表格とする「石庭」は、その代表的なつくりに「枯山水」というものがあります。
この枯山水はまさに引き算の美学です。
素材の使用は最小限とし、ほとんど何もない状態にすることで水や山、石などの自然を感じさせる空間を作りだしています。
茶道や華道などで古くから培われてきた「何もないようでいながらそこに意味を見出す」ことが、足すのではなく間引く、いわば「少し物足りなく感じるくらいが程よい」という美意識に繋がっていったのでしょう。
このあえて何も飾らない空間は、上質で非日常的な雰囲気を生み出します。
モノがあまり無い部屋に(実際にそれで暮らしが成り立つかどうかは別として)高級感を感じる理由はそこにもあるのでしょう。
何も飾らない空間=「余白」に、特に我々日本人は余韻や開放感を感じるのです。
その「余白」を普段の暮らし、いつもの住まいに取り入れるためには何を用いるべきでしょうか?
空間における余白の作り方 その1.「床に物を置かない」
空間に余白を感じるためには、視界を遮るものがその場に無い、ということが重要なポイントになります。
暮らしの上で必要なもの、大型の家具などはあってしかるべきですが、それらを生活動線・家事動線上にはなるべく配置しないことがわかりやすい余白を生みます。
あるいは周囲の動線にゆとりを持たせた配置にすること。
壁に沿って配置した収納家具の前、ダイニングテーブルの周囲、ソファとテレビ間の空間。
これらに悠々と人が通過できるだけのスペースを確保しておくことが無理のない余白を生み、空間を美しく見せるだけでなく、普段の快適性も担保するものとなります。
観葉植物やゴミ箱、ペットのゲージなども動線上には置かず、いわば「一直線」の道を作ることが目の錯覚も相まって空間が奥へ奥へと続いているように見せる効果を生み出します。
これも「空間にゆとりを持たせる」ことに繋がります。
空間における余白の作り方 その2.「背が低い」家具を選ぶ
視界に入るものには高さを出さないことも、天井との高低差を利用した有効な余白の作り方です。
よく言われる「背の低い家具は空間を広く見せる」というインテリアテクニックはこれに由来します。
テーブルにも収納家具にも必要最低限な高さは必要ですが、背の高い収納家具は収納量が増す一方で圧迫感に繋がります。
そのあたりは配置の仕方などで工夫をしていくことになります。
壁が見えることはその空間の最大限の広さを享受することに繋がり、同時に余白を生むことも兼ねるため、空間のゆとりもとりやすくなるのです。
そこに飾るものなどもあえて厳選してあまりたくさん置きすぎないようにしましょう。
素材や色で統一感を出す
どのようなものを選んでも、何を試しても乱雑なイメージが拭えないとしたら、その一番の原因は色を使いすぎていることかもしれません。
ここでも日本人の「引き算の美意識」が美しい空間作りに役立ちます。
色は空間の印象を大きく左右するものです。
ファッションでもよく言われることですが、インテリアも基本的に使う色を3色以内に抑えるとコーディネートしやすく、センス良く見せやすくなります。
メインで使う色を予め2~3色決め、その色だけで家具やインテリアを揃えれば統一感を出すことはそこまで難しいことはありません。
まず、メインとなる色の場所は一番大きな面積でもある床です。
それに沿って大型の家具やカーテン、ラグの色調をさらに1つ決めます。
そこで物足りなければアクセントとなる色を椅子の張地やソファのクッションなどの細部に足していきます。
ここで注意したいのがメーカーごと、あるいは同メーカーでもその製造期間などで微妙に色合いが異なることがあるので、その点は見極めが重要です。
あるいは無着色仕上げの無垢材のような、自然そのままの色合いのものなら失敗が少なくなります。
日本人には引き算によって作られる余白や統一感という美意識があります。
それは心のゆとりを保つために考えられたものであり、空間に余白をつくることで心地よい豊かな住まいを作ることができます。
このような家具レイアウトでお悩みの際には、様々な事例を知る家具蔵各店のスタッフまでお気軽にご相談ください。
余白を十分にとった空間例も満載の事例集はこちらから
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