ドイツ人と日本人のインテリアの考え方の違いとは?
2023.10.13
目次
ドイツ人と日本人の国民性は共通点が多い
ヨーロッパの先進国のひとつ、ドイツ。
そのドイツ人の国民性はしばしば日本人のそれと似ていると言われることがあります。
ドイツ人の特徴に「時間厳守で倹約家でありルールに厳しい」というものがあります。
いわば勤勉で生真面目、ということですがこれが日本人と似ているということです。
よく言われることですが日本人も交通機関の運行時間の正確性に代表されるように時間に厳しく、真面目で勤勉という国民性を持っています。
これは普段日本で暮らしていると当たり前で気付きにくい部分ですが、諸外国と比較した際に非常に色濃く表れます。
秩序を重んじ、ルールを大切にする、組織に対する忠誠心という部分もドイツと日本では共通点があると言えます。
チームで行うスポーツなどでもその高い組織力や忠誠心は「ゲルマン魂」や「大和魂」という言葉で表現されます。
そのような相似した気質を持つ両国ですが、それは普段の暮らしからも現れる、あるいはにじみ出るものなのでしょうか?
毎日の暮らしを彩るインテリアからその違いと共通点を見ていきましょう。
ドイツ人の住まいへの考え方は
「街並みは皆で共有している財産である」という考えが根強いのがドイツです。
これはドイツに限らず欧州全体で共通する価値感ともいえます。
建物に対して、そしてその建物が創り出す風景や雰囲気を保つことへの意識が高く、日本と比較するとたいへん厳しい景観規制が敷かれています。
そのことは反対に言えば建物自体に個性や独自性を打ち出すことが難しくなる側面もあります。
そうなると建物の中、つまり家の中を充実したもの、自身の嗜好に合ったものにしたいという考えが強くなるのはある意味で当然の流れです。
つまり、「室内」にこだわるのがドイツの住まいの特徴といえます。
それぞれにこだわりを持ち、どのようなインテリアを配置するかということはすなわち住まいにおける個性の反映です。それはドイツの住まいづくり、日々の暮らしの充実においてとても重要なポイントとなります。
日本との住まいやインテリアへの考え方の違い
例えば、日本では住まいにゲストを招いた際にはまずリビング、あるいはリビングダイニングへ案内します。
そして寝室などプライベートな空間などはあまり見せることはありません。
一方、ドイツではエントランスから子供部屋、寝室に至るまで全て紹介しながら案内するのが一般的とされています。
そのため、いつ人を招いても良いように住まい全体の整理整頓は基本中の基本と考えられています。
これは住まいがその人を表現するもの、という考えに基づくもので家の中を案内するということは「自身の人となりを知ってほしい」「そこから始まるコミュニケーション」ということにも繋がります。
このことはドイツと日本の住まいやインテリアへの考え方の違いをよく表す一例と言えるでしょう。
ドイツの家具やインテリアは「無駄がない機能美」が重視される
ドイツで開発される工業製品の多くがその「機能美」を評価されています。
いわば「FORM FOLLOWS FUNCTION」という言葉で表現されるもので、これは「形が機能に従っている」という意味です。
機能や求められるものがデザインに反映されることはデザインに無駄がないことに繋がります。
これは日本の詫び寂びにも共通する思想であり、両国ともにいわゆる「モノ作り」が評価されてるという点では面白い共通点ともいえるでしょう。
ドイツでは長く使うことができるものを選ぶ
ドイツではものを新しく購入する際には「長く使うことのできる良いものを選ぶ」という考え方が一般的です。
これは北欧などにも根強い考え方で古き良き日本の思想にも相通ずるものです。
とりわけ家具など高価格帯のものを購入する時はとても慎重で、雑誌やウェブサイトでの評価を参考に吟味を重ねて購入に至ります。
また、同じものが世代を超えて使い続けられることも特徴的です。
父から子へ受け継ぐものや友人への譲渡など「捨てる」という考えでなく良いものだからこそ使い継ぐ、という文化がそこにあります。
DIY文化と親和性のある内装材選びをするドイツ
日本において住まいの壁紙にはビニールクロスがよく用いられます。
一方、ドイツではエコフリースという不織布の壁紙を採用することが多く見られます。
これは断熱材にセルロースファイバーを、床に無垢材フローリングを使用することが多いことから壁紙も断熱材と床の無垢材に合わせた調湿機能のある壁紙を選びたい、という理由からです。
また実際にドイツでは壁紙の色を変えたいという場合は「自分で塗る」というDIYの文化が根付いています。
そこで塗装しやすい壁紙が好まれる傾向にあることも影響しています。
日本でも家屋の修繕を自身で行うということは徐々に市民権を得てきましたが、規制の影響や「自身で行うのは難しいもの」という意識も強いこともあって、そのあたりの考え方には違いがあると言えます。
ゲミュートリッヒであることが重要
ドイツにおけるインテリア選びで重要なことは「ゲミュートリッヒ」であるかどうか、と言われます。
ドイツ語で「居心地が良い」という意味です。
自分が考える居心地の良さを追求し、個性を反映することは住まいにおける豊かな時間を享受するうえでは重要な要素です。
人からの見られ方よりも自分たちとって本当に居心地がよく、長く使うことができると判断したものであれば、画一的でも独創的でも、有名であっても無名であっても関係はありません。
照明の選び方も日本のそれと異なる
照明計画も日本と大きく異なります。
日本では蛍光灯が住宅照明においてまだまだ主流ですが、ドイツでは蛍光灯は仕事のための照明として考えられています。
住居照明は「タスク&アンビエント(全体と部分)」といって、メインの照明+各室における部分照明の使い分けがヨーロッパにおいて一般的であり、スポットライトやペンダントライトなどで、暮らすために必要な箇所に照明を配置し、室内を落ち着いた雰囲気に仕上げるのがドイツでも主流です。
日本でも一時期の「使い捨て」の時代から良いものを選び長く使用する、という傾向が高まりを見せていると感じます。
SDGsという考え方の一般化も手伝って、環境に配慮することからもそれが「求められている」とも言えます。
日本に古くから伝わる「ものを大切にする文化」は、海外でも長く強く息づく文化です。
その考え方を改めて取り入れ、そのうえで日本の良さと海外の良さをそれぞれ取り入れるインテリアづくりは今まさに求められているかもしれません。
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