「座っているのに疲れる」理由と解消法は?
2024.5.31
何故座っていても疲れるのか?
食事、仕事、歓談、余暇の時間。
私たちは椅子に座って様々なことを行い、多くの時間を過ごしています。
「座る」という行為は「自重を何かに預けている」という状態であり、「立っている」よりも身体的な負担が軽減されているということです。
それにも関わらず、長時間着座していると疲れを感じる、という人は少なくありません。
それはなぜでしょうか?
立っているより座っている方が楽なのはなぜか
まず「立っているより座っている方が楽」と感じる、あるいは実際そうであるという理由を見てみます。
まずは「筋肉の活動率の違い」があります。
通常、人間は直立状態を維持するためには骨(と靭帯)だけでは難しく、「抗重力筋」という筋肉が活動すること身体のバランスを保っています。
端的に言えば、重力に対抗して正しい安定した姿勢を維持しているということです。
座っている状態は抗重力筋の活動が抑えられている状態ですから、立っている状態と比べて「エネルギー消費が低い(状態)」と言えます。
体内のエネルギーは消費すると「乳酸」と呼ばれる疲労物質が生成されます。
これが疲れの原因の1つです(よく“乳酸が溜まる”といわれるものです)。
座っている場合は筋肉の活動量が少ないので疲労が溜まりにくい、すなわち楽な状態だと考えることができます。
もう1点「交感神経と副交感神経の作用」という観点でも違いは明白です。
立っている時は交感神経が優位な状態とされます。
エネルギー代謝量が多いことに加えて各種神経も興奮している状態です。
つまり体内のエネルギーを「より」使うこと、つまり疲労に繋がります。
一方で座っている場合は副交感神経「優位」な状態です。
穏やかな安静状態に身体をコントロールします。
この2点から「立っているより座っている方が楽」だと結論づけることができるのです。
立っているより座っている方が楽、という理由は判明しました。
では楽な姿勢をとっているのに何故疲れてしまうのか?
あるいは腰や肩に痛み・疲れを感じることになるのか?
それには以下のような理由が考えられます。
座っていても疲れるのはこれが理由
まず「背中のS字ラインの崩れ」が考えられます。
人の背骨はS字型にカーブした形状です。
正しい姿勢だと背骨のS字のカーブがしっかりと保たれ、その姿勢を保つことで疲労感が抑えられます。
しかし、実際には椅子に座りパソコン作業などを行うと頭が前傾し背骨のS字のカーブが崩れてしまいます。
つまり「背中が丸まっている状態」です。
その状態をしばらく続けていると、背中や肩の筋肉の張りや内蔵の圧迫に繋がります。
また、前傾姿勢は腰や椎間板への負担も大きくなります。
S字型のカーブ=理想的な姿勢をサポート「しない」椅子に座ることが着座時の疲れの原因になってしまうのです。
あるいは椅子のサイズやテーブル・デスクとの高さのバランスが自身の体型に合っていない可能性があります。
特に椅子の座面高に関しては体圧分散を効率よく行う意味でも足裏がしっかり床に着くような調整が必要です。
その上でテーブルの高さなども椅子の座面高に合わせて適切でないと姿勢の歪みに繋がり、疲れやすくなるのです。
疲れにくい椅子の条件とは?
ではいわゆる「疲れにくい椅子」とはどのようなものを指すのでしょうか。
それは「背骨のS字カーブをサポートしてくれて」「体圧分散性に優れ」「自身の体型に合っている」ものです。
椅子に座った際に自然と腰回りに椅子の背板がフィットしてくれる椅子がいいでしょう。
また、腰が当たる部分の面積も広い椅子がお薦めです。
デザイン性が高くても細いアームや背板の椅子は、身体に当たる部分が狭いため長時間のサポートには向いていません。
人は長く座っているとどうしても体を左右に動かし、可動させながら楽な体勢を整えます。
その際、腰回りは可動させる程のサポートの幅が無ければ自然と体を動かすことができません。
フィット感が高いと共に適度な可動幅があることで疲れが出にくい椅子となります。
次に体圧分散とはその名のとおり、身体に掛かる圧力(=体圧)を一か所ではなくできるだけ複数の箇所や広い部分に「散らす」ことで、身体の負担を和らげることを言います。
私たち人間の身体には必ず曲線があり、凸凹(でこぼこ)があります。
例えば平らな床に仰向けに寝転んだ場合、身体の中でも出っ張った臀部・後頭部・肩甲骨など床に触れる部分には体圧がかかりやすくなります。
接地面に触れる面積を多くすることは、通常では接地しないような「身体のへこんでいる部分」も支えることができるので、身体全体の負担を減らすことができるのです。
例えば私ども家具蔵の板座チェアの座面はテーブルを製作できるほどの極厚の板材を圧倒的に「深く」アーチを掛けて削り込んでいます。
それは、臀部から太股にかけて着座時の体圧が分散させることを目的としており、板の座面とは思えないほどの優しい座り心地です。
人間の体型を考えた曲線は美しさを持って「座り心地の究極」を表現しています。
しっかりとお尻全体が包み込まれるような心地良さをぜひ一度お試しください。
同時に足裏が床にしっかり設置することもこの体圧分散においては重要です。
こちらも私ども家具蔵ではご注文時に計測を行い、適切な座面高をご案内しています。
椅子に座っていて疲れを感じる仕組みとそれを防ぐ椅子の選び方についてお話しをしてきました。
椅子を選ぶような時にはいくつもの候補から「これが良い」とプロに選定してもらえることや、座面高の調整などの対応ができるメーカーで検討することが大前提になります。
家具蔵各店でも、知識豊富なプロスタッフがいつでもあなたのご相談をお待ちしております。
是非、お気軽にご相談下さい。
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