一枚板テーブルは無塗装で使用しても良いのか?
2024.1.8
一枚板テーブルはその手触りも楽しみたいが…
木が立木の状態であったそのままの形状を活かし、まるでその木がそこにあるかのような感覚さえ覚える一枚板天板。
それを使用し、テーブルとしたものは一枚板テーブルと呼ばれ、ダイニングテーブルの最高峰ともいわれます。
その形状はひとつとして同じものは無く、木目さえもデザインの一部となり、時には割れや節痕も愛でるような対象となる…、まさに自然素材ならではの魅力をふんだんに盛り込んでいるのが一枚板テーブルです。
一枚板テーブルに限らず、木材の魅力はその手触りにもあります。
手で撫でると独特の触感が私たちに癒しや感動を与えてくれるのです。
また、それは樹種によっても異なります。
まるで絹を触っているかのような滑らかなもの、少し凹凸を感じるような手ごたえがあるもの、僅かな引っ掛かりをかんじるようなものまでいろいろです。
その質感は全体の雰囲気そのものにも大きく影響してきます。
自然の雰囲気を強くたたえた一枚板テーブルであれば、その形状だけではなく手触りもそのまま楽しみたいと思うことでしょう。
無塗装は避け、仕上げ塗装を施す意味
木材において自然そのままの手触りを楽しみたい、と考えるとその先は「一切塗装をしない」、つまり「無塗装」になります。
結論から言えば、家具において一枚板をはじめとして「無垢材を無塗装で使用する」というのはお薦めではありません。
無塗装というのはつまるところ表面に何も塗られていないということですから、それは外部からの影響を直に受けやすい状態であるといえます。
端的に言えば表面が「保護」されていない状態です。
木材の表面は、スポンジのような繊維構造になっています。
液体が付着するとすぐに木材繊維の奥深くまでそれが浸透してしまい、結果的に液染み、つまり「汚れ」に繋がります。
あるいは表面が空気や紫外線に触れやすくなることで木肌も粗くなり、乾燥が進むことで割れや反りも起きやすくなります。
そのような事態を防ぐために無垢材家具には何かしらの仕上げ塗装を行い、家具を「保護」します。
それは一枚板テーブルであっても同様で、高額且つ希少である一枚板テーブルなら、良い状態をなるべく長く保つためには仕上げ塗装は必須といえます。
家具の保護塗装の代表格は?
そこで一枚板テーブルだけではなく、無垢材家具の多くは表面保護のための塗装を施します。
家具の塗装を大きく分けると「ラッカー塗装」「ポリエステル塗装」「UV塗装」「ウレタンクリアフィニッシュ(ウレタン塗装)」「オイルフィニッシュ(オイル塗装)」の5種類に分けられます。
その中でも無垢材家具に使われることが多い「ウレタン塗装」と「オイル塗装」です。
ウレタン塗装とは樹脂で家具の表面に塗幕を施してコーティングされた状態とする仕上げ塗装です。
水染みなどの汚れに強く、家具自体の耐久性も向上させます。
自身での仕上げ塗料の塗り直しなども不要でお手入れも容易なものであると言ってよいでしょう。
一方、オイル塗装は対象のものに油分を塗り込み、浸透させる仕上げ塗装です。
古くからある手法で特別な設備を持たずとも採用できる手法なので非常に多くの場で親しまれています。
木の表面に塗膜を生成しないので、より自然な木の肌触りを楽しむことができます。
いわば外からコーティングを施して家具を保全するのがウレタン塗装、内部から保湿することで家具を保全するのがオイル塗装です。
両者ともに特徴があり、またその質感にも差は出てきますが普段のお手入れや傷みが出た際の対処法にも違いがあります。
ウレタン塗装を選ぶと…
簡単に言えば、ウレタンは透明なウレタン樹脂で全面を保護膜で覆う塗装方法です。
家具を保護膜で覆っている状態になることで汚れの付着、特に水分を零した際にも簡単に拭き取ることができ、傷みに繋がりにくいのが大きなメリットです。
通常のお手入れも「水拭き・お湯拭き」を基本とし、通常はこれだけでOKです。
もし無垢材家具について「普段のお手入れが難しそう」と考えているならば、そのハードルがグッと下がるものとなます。
シンナーやベンジン、エタノール(ウェットティッシュなどはこの成分が含まれることが多いです)などの揮発性の成分を含んだもの、そして除菌アルコールや酸性・アルカリ性の洗剤等を使用してのお手入れは塗装の劣化・剥がれや木部の変色を引き起こす原因となるので避けましょう。
永続的に持つ塗装ではなく、長期間の使用のなかで表面塗装の傷みが生じ、また、また、キズやヘコみが生じた場合にもそれを自身で修復するのは基本的に難しいものです。
購入したメーカーや専門業者に依頼して研磨と再塗装を行う必要があります。
オイル塗装なら…
オイル塗装は植物性の油脂成分を木に染み込ませる仕上げの為、表面に保護膜が無いので木の手触り、一枚板の触感をダイレクトに味わいたいならオイル塗装、という選択肢になります。
ただし、保護膜が無いということは汚れの付着に対しての耐性に劣ることを意味します。
油分がしっかり含まれているうちは良いのですが、油分は揮発性であることから乾いて消失してしまいます。
そこで自身でオイルを表面に塗り込む作業が定期的に必要です。
一方でオイル塗装はキズや染みなどが発生してもその部分を削ってオイルを塗り込むことで修復することができます。
自身で傷みをその場で修復できる点は大きなメリットとなりえます。
また自身で手を入れる作業を繰り返すことでより一層の愛着と深い味わいに繋がります。
一枚板天板を使用するにあたり、その手触りも存分に楽しみたい、と考えることはある意味当然のことといえます。
しかし、暮らしの道具として、日々のパートナーとして塗装を行わないのはその一枚板の価値を下げることにもなりかねません。
ウレタン仕上げとオイル仕上げはどちらが良くてどちらが駄目ということはなく、将来的なことも見越してどちらが良いかを選択する必要があります。
家具蔵各店でも、実際の塗装例を交えながら、お客様のライフスタイルに合った塗装を、詳しくご説明させていただきますのでお気軽にお声掛けください。
家具蔵スタッフ一同、心よりお待ちしております。
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