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「木の重さ」はどう計るのか?

2024.5.21

 

 

世界一軽いバルサ材と世界一重いリグナムバイタ材


 

 

地球には、数え切れないほど様々な樹木が存在しています。

そして、樹種によって、そこからとれる「材」の重さが違うのです。

具体的な重さは知らなくても「この木材は軽いな」と思ったことがあるかもしれません。

例えば、夏休みの自由研究で飛行機や船の模型などを作る時によく用いられる「バルサ材」。

このバルサ材は「世界一軽い木材」として知られています。

このバルサ材で作った船の模型は、軽いのでプカプカと気持ちよさそうに水に浮かびます。

日本の木材でいうと軽いものといえば「キリ材」が有名です。

キリ材といえば桐箪笥や大事なものを入れる桐箱などに使われていることでよく知られています。

このバルサ材とキリ材の比重(ある基準となるものと比べた個体の重さ)はそれぞれ、バルサ材=0.19、キリ材=0.3

です。

この数値が大きいほど重く、小さいほど軽くなります。

逆に世界で一番重たい木は「リグナムバイタ材」です。

その比重は1.5、日本で一番重い木はイスノキやウバメガシで0.9とされています。

この「重い」リグナムバイタ、イスノキ、ウバメガシはどんなところで使われているでしょうか?

 

気乾比重とは何か


 

 

さて、今軽い木材と重い木材の話のなかで比重という言葉が出てきました。

その数値は大きいほど重く、小さいほど軽くなるというものです。

比重とは、文字が表すように「何かと比べた重さ」ということになります。

では、何と比較しているかというと、実は「水」と比べています。

同じ体積の水(4℃の純水)の重さを1(標準)とした重量の比です。

そして一方の木材も樹種による重さの違いや性質を把握するために、比較する基準の状態を設けなければいけません。

それが気乾比重(気乾密度)です。

木材を顕微鏡で拡大して見てみると、たくさんの空隙があることが分かります。

この空隙とその壁となる細胞壁にも水が含まれています。

この水を含む量によって、たとえ同じ樹種であっても重量が変わってしまうのです。

そこで、周囲の環境と湿度のつり合いが取れた含水率(日本では15%)になるまで乾燥させた気乾状態の木材を比較するのが、この「気乾比重」ということになります。

含水率を0%(全乾比重)にして測れば良いように思われるかもしれませんが、0%にまで乾燥した木材は空気中の水分を吸収してしまうので、その状態で存在することはありません。

木材としての、特徴を把握するための指標としては、気乾比重を使うことがベストであると考えられています。

単純にいうと、比重1を超えると水槽に入れると木材が水中に沈むと思いがちですが、必ずしも水中に沈むとは限らないのです。

なぜかというと、気乾比重が1でも木材の空隙には空気が含まれているからです。

ちなみに、空隙をすべて取り除いた状態を真比重(真密度)といいますが、この状態ではすべての木で比重1.5g/cmと変わらず、水に沈みます。

 

気乾比重による適材適所(比重の低い木材)


 

 

同じ体積であるが一方が軽いということは、言い換えればその片方は空隙が多く空気を多く含むことができるということです。

その代表格がキリ材です。

空気をたくさん含むことが出来るキリ材は、断熱効果と調湿効果が他の木材に比べて高いという特徴があります。

この2つの特徴は、衣類の収納や湿度に敏感な美術品や食物の保管、運搬用の家具や箱に使われてきました。

家具蔵でも、ボードモデルノシリーズやボードダンシリーズのチェストやテレビボード(テレビ台)、ナイトテーブルの引出の内部材でキリ材が使われています。

 

気乾比重による適材適所(比重の高い木材)


 

 

この文章の前半で、日本の重い木の代表格に「ウバメガシ」の名前が出てきましたが、このウバメガシと言えば紀州備長炭の原料となる木材です。

紀州備長炭と言えば、名だたる料理人が食材を最高の焼き加減によって料理として提供するために使う人気の木炭です。

なぜ人気があるかというと、ウバメガシで作られた紀州備長炭は、他の木炭に比べて圧倒的な赤外線量の多さ、長時間燃焼に炎が少ないといった特徴があります。

紀州備長炭は比重が高い、すなわち高気密であることで炭の内部に空気の通り道が少なくなり、低温で長時間燃焼が可能となっているのです。

また、ハードメープル材、ナラ材(オーク材)など比較的に比重の高い木材は、フローリング材としても定評があり、チーク材などは豪華客船の甲板にも使われるなど、より強度が求められる場所やキズの付きにくさが求められるものに使われてきました。

このように、木の重さを知るための基準である「気乾比重」は、単なる重さを表しているだけではないことが分かります。

 

 

木材を使用したものづくりでは、どれを選んで作るかの適材適所を正しく見極めなくてはなりません。

その判断材料となるのが、気乾比重です。

家具蔵でも、ダイニングテーブルに向いている木材、ダイニングチェアに適している木材、引出の内部材にふさわしい木材など、色や杢目だけにとらわれない、家具材の適材適所を研究し続けています。

店舗で本物の木に触れて、木の「手応え」を感じてみてください。

 

家具蔵で取り扱う樹種の一覧はこちらから

 

 

 

 


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