住まいを「家具から」考えるということ
2024.5.29
建築家に設計を依頼する住宅、あるいはハウスメーカーや工務店が手掛ける注文住宅、そしてリノベーションはある程度(あるいは完全に)自身で間取りを決める「自由が効く」という点が魅力のひとつです。
それは家具やインテリアの選択も住まいづくりと並行して行うことができることになり、それはやはり「自由が効く」ことに外なりません。
対して分譲住宅は既に決められた間取りや床の色に合う家具を探して購入することが多くなります。
その際に
「大きなテーブルに憧れていたのに置くことができなかった」
「明るい色の家具が良かったのにこの床だと合わない」
と、どこかで妥協しなくてはいけないことが出てくるケースを私ども家具蔵のスタッフも多く見てきました。
そのことに気付き、気に入った家具を置くことが住み心地の良い住まいへの一番の近道と考え「まずは家具から決め、その気に入った家具を置ける間取りにしよう」という人が最近増えてきています。
家族皆が居心地の良い住まいを実現するには、実は間取りの段階でのインテリアプランが必要になってくるのです。
では、どのように新居のプランを進めていけばよいのでしょうか。
間取りを決める段階で家具も決める
間取りが完成し、内装も決まり、入居間際になってようやく家具を見始めるのではその選択肢に制限が生まれます。
いわゆる「間に合わせ」や妥協したインテリアプランになってしまう可能性もあるのです。
つまり、住む間際になってから家具を見始めるのでは遅い、といえます。
なぜ、間取り段階で「家具の検討」が必要なのでしょうか。
理由として、置きたい家具や家電の大きさから部屋の広さや窓の位置など間取りも変わってくるという点が挙げられます。
インテリアプランをよく練っておかないと日常よく通る生活動線をうまく取ることができないという失敗をすることもままあります。
置きたい家具が決まっていればその家具を中心としてそれを置くことができる間取りを考えるようになり、必然的に最適なあるいは希望の家具の置き方とサイズも決まるのです。
そうするとそれに合わせた窓の位置や高さも決まってきます。
リビングダイニングの中心となり、占有面積も大きいダイニングテーブルやソファが決まれば、収納を作る場所も決めやすく、間取りがスムーズにでき上がる近道にもなります。
設計や営業の人に言われるがままに窓をつけてしまったりすると、家具を決める際に消去法でサイズや置き方を決めることにも繋がりかねません。
それではせっかくの新居での「理想の暮らし」が遠くなっていくばかりです。
家具のサイズや配置で照明や配線などの電気関係も決めやすく
家具のサイズや置き方が決まったのであれば、照明の位置や意外と見落としがちなコンセント類の数や位置も決めてしまいましょう。
このことで
「テーブルの中央に照明が設置できずバランスが良くない」
「電化製品の配線に必要な延長コードが多く露出して見栄えしない」
「配線位置の関係で家電が使いづらい」
等のよく耳にする失敗は防ぐことができます。
また、決まった間取りはスマホなどにデータ保管し、持ち歩くことでお買い物の際などでもそこに本当に必要なものなのか、サイズはどうかなどの判断がしやすくなり、無駄な買い物をせずに済みます。
自身で家具をコーディネートする場合は適切なサイズが不明である、あるいは何から手をつけて良いか迷ってしまうこともしばしばでしょう。
結果、家に届いてみて「何か違う」「サイズが合っていない」といったいわゆる「失敗」につながることもありえます。
家具選びは本来楽しいものです。
それが負担となる、もしくは失敗のリスクがあるのは勿体ないことです。
そのような時には知識や経験が豊富なプロの力を頼ることもひとつです。
家具蔵でもお客様の住まいに適切なサイズを間取り図面から読み取り、ご提案しています。
手描きのラフなもの、平面図を利用した図解、そして次の項でお話しする「見え方」の違いまで分かる3DCGプランニングまで多様な手法で快適で間違いのない「家具から始まる家づくり」をサポートしています。
置く家具が決まると床の色も決めやすい
家具選びの際にお客様からよくご相談を受けるのは、床をはじめとした内装と樹種や色の相性です。
置きたい家具が決まっていれば、その家具を主役とし、それが一番目立つ床材・壁材・建具を選べば良いだけです。
一方で既に決まった床材やその色に合う家具の色を探すという場合、
「本当はこっちが良いのに。でも床に合うのはこちら」と、いう消去法な決断になることもあるでしょう。
家族の間でも意見が割れてしまう、ということもありえます。
家具蔵の無垢材無着色の家具は、自然の色味なうえ、使い込むうちにその色合いも変化します。
ですので「どれとどれは合わない」ということは無いのですが、やはり「セオリー」は存在します。
そのセオリーを知ることで、決定済みの内装に対しても美しい見え方にすることは可能ですが、本当に自分が好きなものを選ぶのであれば、やはり、家具の持つ表情が決まってからの内装選びが正解と言えます。
「主役はなにか」を考える
では、家具から住まいを考える際、何を優先順位とすれば良いのでしょうか。
部屋を基準に優先順位を決めるとするならその順番はLDK→寝室・子供部屋と、より多くの人が共有するスペースから考えると家族の満足度も上がるでしょう。
そのLDKの中でもより多くの家族やゲストが共有するもの(それはテーブルかもしれませんし、ソファかもしれません)、そのアイテムを主役とすることで、そこには常に人が集い、コミュニケーションが生まれる住まいの中心となります。
つまり、一番重きを置いて考えるべき空間となるのです。
主役が決まったら今の家から持ち越すもの・新たに購入するものを精査しましょう。
思い出や愛着があり、まだ使える家具はそのまま使っても良いですがあくまで「主役」をメインに考えます。
あれもこれも主役となると、まとまりのない散らかった印象の部屋となってしまします。
家具を持ち越す場合は「いずれ買い換える」など順位を付けておくと悩まずに済みます。
長期的な住まいの計画が完成します。
新しい家具を見に行く際には持ち越す家具のサイズを記したメモや、画像を持ち歩くと新しい家具も選びやすくなります。
最後に全体の色味を見てファブリック類や小物(カーテン・クッションカバー・飾る絵画やグリーンなど)でバランスをとれば全体がまとまり、より心地良い空間となるでしょう。
つい大きなものから考えがちな「住まい作り」ですが、「家具から住まいを考えること」は一見逆転の発想のようであり、実は理想の暮らしへの近道なのではないでしょうか。
住まいについて少しでもお悩みやご相談がございましたら家具蔵各店スタッフまでお気軽にご相談ください。
「家具からはじめる家づくり」を実践した方々の参考実例はこちらから
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