KAGURA OFFICIAL BLOG

よく耳にする「突板」とは何か?無垢材との違いは?

2024.10.23

 

 

「ツキイタ」=「突板」


 

 

木製家具を探していると、材質の表記と一緒に「無垢材」「突板化粧合板」「プリント合板」などの記載を目にすることがあります。

あるいは家具販売店のスタッフとの会話の中で「○○はツキイタを使用していて…」というフレーズを耳にすることがあるかもしれません。

「ツキイタ」とは何か?

同じ木の材料ではないのか…?

疑問に思っていても意外と聞くことができない、あるいは何となく雰囲気で聞き流してしまうこともあるかもしれません。

この「ツキイタ」は「突板」と書きます。

 

木質系加工材料とは


 

 

そもそも木製家具の材料には「無垢材、天然木」と 「木質系の加工材料」の2種類があります。

無垢材は言わずと知れた天然木そのもの、つまり「木そのまま、木そのもの」でありさらにわかり易く言うならば原木から伐り出した板材のことを指します。

無垢材は乾燥・加工に時間と手間がかかり、扱いも難しいことから極めて希少性の高い材料です。

一方、木質系加工材料とは大量生産が可能で扱い易く、同じものを安価に作ることを目的としています。

「合板(ごうばん)」というベニヤ=木材から薄く剥かれた単板を何枚か積層して接着したものの上から、今回話題にのぼっている突板などを貼り付けて仕上げたものを総合して「木質系加工材料」と呼んでいます。

 

突板を用いることのメリットと注意点は?


 

 

つまり突板とは合板に貼り付けるための板のことです。

無垢材をシート状(0.2mm~0.6mmほど)まで薄くスライスしたものに、合板や繊維板(木材繊維を固めたもの)など基材となるものの表面に貼り付けて使用します。

家具の他にも、ドアや引き戸などの建具、あるいはフローリングにもよく使われています。

突板は極薄にスライスされているとはいえ、元は天然木です。

後述する「化粧シート」「プリントシート」とは異なり自然由来のものであることから一枚一枚の表情は微妙に変化して現れます。

突板の歴史は古く、海外のアンティーク家具にもよく使われています。

薄くスライスしたものを使用することは資源を上手に活用し、安価に多くのものを生み出すという意味では非常に効率的です。

長く私たちの目を楽しませ、親しまれる存在でもあります。

軽量かつ安定した品質で製造される・伸縮や反り・割れなどのリスクを軽減できる点はメリットでしょう。

一方で突板は表面材としては薄いため、触り心地は無垢材と比べると少し硬く感じます。

また、非常に薄い化粧材を接着剤で貼り付けた構造のため、深い傷が入ると基材が露出してしまいます。

接着の質や基材の室によっては膨れ・剥がれが生じることがあり、このようなダメージが発生してしまうと一般的には修復するのはかなり困難といえます。

 

化粧シート・プリントシートと突板との違いは?


 

 

突板と同じような使われ方をするものに「化粧シート」「プリントシート」という素材があります。

これはその名のとおり、木目の模様を紙やビニールにプリントしたものです。

現在ではこの分野の技術も進み、プリントとはいえ軽視はできません。

エンボス加工で表面に凹凸が施される=本物の木材を触った際の質感を疑似体験できる、といったものもあり、照明を暗くした空間では、本物の木材と見間違えることもあります。

均一な模様・表情を大量に生産できることは生産の上では効率的です。

一方で化粧シート・プリントシートは無垢材や突板と異なり、本物木材の手触りとは異なります。

また、木製家具の大きな魅力の一つである「経年変化」を楽しむことはできません。

木には時間の経過と共に色合いが淡くなるもの、あるいは濃い色合いに変化するものなどがあり、特に無着色仕上げの無垢材家具ではその特徴が顕著です。

長年使い続けた無垢材家具ではそれが魅力となって現れてきます。

対して、化粧シート・プリントシートは時間が経つにつれて色あせや劣化が進むことが否めません。

天然木で作られた無垢板や突板のような味わいのある変化を楽しむという意味では異なるものとなります。

 

突板と挽板の違いは「厚み」


 

 

そして、突板ととてもよく似た構造の資材に「挽板(ひきいた)」というものがあります。

挽板は突板と同じように無垢材を薄くスライスしたものですが、その厚みが異なります。

突板の厚みは「0.2~0.6mm」、対して挽板は無垢材を2~3mmの板状に切り出していくものを指します。

突板と挽板の違いは、この厚みにあるのです。

用途は突板と同じくフローリングや建具、家具の表面材となります。

表面材としては十分に厚いため、無垢材とあまり変わらない質感を得られるのが挽板の魅力です。

 

 

家具には突板と無垢材の両方が適材適所に使われているものがあります。

特に収納家具では天板や扉、引出の前板など目につく部分は無垢材を使用し、あまり目立たない側板や背板には突板を使用する、あるいは反りなどの形状の変化があると使いづらくなる棚板などには突板を用いるという具合です。

無垢材と突板をうまく組み合わせることで、重量やコストのバランスや機能性と美しさを兼ね備えた家具を作ることができると言えます。

木の家具を選ぶ際には「無垢材だから」「突板だから」と一辺倒にどちらかのメリットだけを参考に決めないで「この家具は我が家だったら無垢が良い」「いや、突板でも良いのでは?」など、幅を持たせた検討を行いながら都度家具販売店のスタッフに確認してもらうことをお勧めします。

 

 

家具蔵の無垢材オーダー収納家具のある暮らしの事例はこちらから

 

 

 


最近の投稿

カテゴリー

月別アーカイブ

  • [—]2024 (153)
  • [+]2023 (366)
  • [+]2022 (364)
  • [+]2021 (365)
  • [+]2020 (368)
  • [+]2019 (366)
  • [+]2018 (85)
  • [+]2017 (65)
  • [+]2016 (69)
  • [+]2015 (44)
  • [+]2014 (32)
  • [+]2013 (62)
  • [+]2012 (130)
copyright AIDA Co,.Ltd. All Rights Reserved.