無垢材とは?
2019.2.6
無垢材の性質や特徴について
山奥の森林などで長い年月をかけて成長した原木。
それを丸太として切り出し、さらに目的に合わせて製材したものが、無垢材です。
日本では古来より、この無垢材が建築文化に多大な貢献をしてきた歴史があります。
奈良の法隆寺五重塔に象徴されるように、由緒ある歴史的な寺社仏閣等の建造物には、天然無垢材を使用したものが数多く目につきます。
また創建から1000年以上を経た数々の歴史的建造物が、未だに現役のままそびえ立っていることを考えれば、いかに耐久性にも優れているのか理解できるでしょう。
その一方で、無垢材とは対照的に語られるものが集成材やMDFです。
集成材とは、性質の異なる安価な木板を接着剤で貼り合わせ、それをブロック状にした人工的な木材のこと。
ベニヤやコンパネあるいは合板といったものもこれに該当します。
MDF=「中質繊維板」は「ミディアム・デンシティ・ファイバーボード(Medium density fiberboard)」の略で、木材チップを原料とし、これを蒸煮・解繊したものに合成樹脂を加えて成形します。
どちらも大量生産が可能なので一般的に流通する家具製品の多くが、この集成材やMDFを何らかの形で使用しています。
この点、無垢材の家具においては、「無垢」という言葉通り人為的な加工をせず、一本の樹木を自然のまま木材として使用します。
そのため、木目や節目あるいは風合いや香りなど、樹木の特徴をダイレクトに家具製品へ反映することが可能です。
無垢材を使用した家具においては、集成材などのような加工した木材では出せない、樹木の風合いや温かさといった、自然本来の姿を堪能できます。
無垢材の家具のメリット
無垢材の家具には数々の特徴がありますが、同時に優れたメリットも数多く持ち合わせています。
次はそのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
まず無垢材の家具のメリットとしては、耐久性に優れていることが挙げられます。
天然の樹木は伐採後も、まるで生きているように呼吸を続けています。
周囲の湿気が高くなれば水分を吸収し始め、逆に乾燥が進むと大気中へ自らの水分を水蒸気として放出します。
つまり無垢材そのものが温度や湿度を調整するので、いつまでも長持ちできるのです。
またこのような調湿作用によって、結露やカビの防止も期待できるため、室内の空気を清浄に保てることも大きなメリットのひとつです。耐久性に優れていることは、耐震性にも反映します。
天然の無垢材の使用率が高い建築物ほど、鉄骨造りやコンクリート造りの建築物と比べ、はるかに耐震性に優れていることが専門的に知られています。
伐採後に十分に乾燥させた天然の木材は、呼吸を続けながらも徐々に固化が進み、一層強度が増していきます。
これは年輪の数が多く密度も濃い、樹齢年数の高い樹木ほど、強度も増幅されやすいと言われます。
(家具蔵でも80から100年以上、場合によっては数100年といった樹齢の高い木を厳選して家具材としています)
例えば大きな家具類であっても、このような樹木を無垢材として使用したものであれば、地震の揺れや外部からの衝撃に対しても、破損や崩壊を避けることが期待できます。
無垢材の中には、ダニやカビあるいは細菌類に強いものもあります。
その代表的なものとしては、ヒバやヒノキを挙げることができるでしょう。
ヒノキチオールと呼ばれる精油成分が、アレルギーや喘息の原因であるダニの増殖を抑制し、同時にカビ類をはじめブドウ球菌や大腸菌といった、細菌類を抑えることでも知られます。
家庭に幼いお子さんや、身体の弱いお年寄りなどがいる場合には、無視できないメリットと言えるでしょう。
また桐を使用した家具類には防虫効果のあることが、古くから一般的に認識されています。
昔から、高価な和服や衣装を桐のタンスに収納していたのは、このためです。
いずれにしても、室内にこういった無垢材の家具が多ければ多いほど、ダニやカビあるいは細菌類のリスクを軽減したり、大切な衣類を害虫から守ることができるなど、日常生活で様々なメリットになることが理解できるはずです。
森林浴で知られるように、森林の樹木には人々のストレスを和らげ、精神を安定させる効果があると言われます。
これは樹木から発散される芳香成分「フィトンチッド」の作用によるものです。
実はこの成分は、樹木が伐採され、無垢材となった後でも失われません。
また無垢材を多用した室内には、コンクリートのような人工的な素材の空間に比べ、空気中のマイナスイオンの割合が高くなることも、専門的に知られています。
マイナスイオンには、心身をリフレッシュしたり、リラックス効果を促進するといった作用があるといわれます。
つまり無垢材の家具が室内にあることで、精神にプラスの影響を与える可能性が高くなるのです。
木の温もりや重厚感、あるいは使い込むほどに増すアンティークのような風合いなどは、無垢材の家具にふさわしい大事なメリット。
そのうえ、樹種ごとに異なった色彩や肌ざわりを楽しめるのも、無垢材の家具ならではの魅力です。
例えば、代表的な広葉樹のケヤキ材は力強くハッキリとした木目や、時間を経るほどに深くなる重厚感を堪能できます。
あるいは北米でメジャーなハードメープル材であれば、明るく爽やかで清潔感のある風合いが特徴的。
滑らかできめ細かい質感を活かして、家具類はもちろん食器類や玩具に至るまで、幅広く生活に取り入れられています。
さらに無垢材の家具に共通するのは、削り直しにより新品同様にできること。
先述したように耐久性に優れることに加え、長持ちすることでエコの観点から地球環境にも貢献できるのです。
まとめ:お店へ行く前に、無垢材についてよく知ろう!
ここまで紹介してきたように、無垢材の家具には幾つもの優れた特徴やメリットがあります。
ただし一口に無垢材といっても、樹種ごとに特徴やメリットも様々。
もしこれから無垢材の家具の購入を検討しているならば、お店へ行く前に、まずは無垢材についての基本的な知識をマスターしてみてはいかがでしょうか。
そのうえで信頼のおける専門店へ行き、知識の豊富な店員さんに相談しながら、家具を見てふれて選ぶことが理想でしょう。
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