オーダー家具の歴史を刻む、家具の街・横浜
2019.3.12
「横浜」と聞くとどのようなイメージが浮かびますか?
海と港。
山手・元町のどこか異国情緒な空気感や、中華街やみなとみらいでの観光・ショッピングなどを
思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
実は、横浜は私たちが現在毎日使っている洋家具発祥の地でもあるのです。
では、家具の街横浜としての一面、横浜家具について掘り下げていきましょう。
横浜家具の歴史
時代は幕末までさかのぼります。
1855年黒船が浦賀(神奈川県横須賀市浦賀)に来航してから数年後、1859年の開港とともに多くの西洋人が渡来し現在の横浜市山手・山下地区に移住しました。
当然、本国での生活スタイルを日本でも維持しようと、使用していた西洋家具も一緒に持ち込まれました。
しかし、モノには寿命があるもの。
修理をするにも買い足そうにも、幕末の日本では一般庶民の生活に椅子やテーブルはありません。
そこで、自分たちの持ってきた西洋家具を見せ、船作りの職人や馬具職人に見様見真似で作らせて椅子やテーブルの修理を依頼することで、製造技術を教えたのです。
山手と山下の外国人居留地に挟まれた元町の職人たちは、異国の家具の修理や製作を通じて西洋家具作りを習得しました。
こうして生まれたのが横浜家具です。
明治維新後には欧米から家具が大量に入ってきました。
欧米のデザインは、直線なら直線、曲線なら曲線といったものが多くあります。
日本の職人は直線と曲線を組み合わせたデザインを造るなど欧米にはない発想で家具を作り、パリ万博に出品するなどして外国人から高い評価を受けました。
このように横浜家具は1つの産業として地位を築いていったのです。
横浜は家具の産業が盛んな地域となり、元町には長屋のような家具の店が立ち並び店頭で家具の注文を受け、奥で職人が製作を行なっていました。
その由縁で今も家具蔵横浜元町店がある元町ショッピングストリートの1本山側へ入った道はクラフトワークを敬い「クラフトマン(職人)ストリート」と呼ばれています。
横浜家具の特徴
横浜家具はもともと日本にあった伝統的な木工技術と開港と共に入ってきた西洋のデザインとが相まってできたものです。
その特徴としては大きく分けて3つあります。
●合板はなるべく使わずに無垢の木を主体として使うこと
ヨーロッパでは「家具は子へ孫へと受け継がれていくもの」という考えが根付いているので壊れたら買い替えるのでなく、修理をして使います。
そのため、傷がついた場合でも削ることができる無垢材が材として適切だったのです。
また、木の伸縮や木目の繋ぎ、歪みの微妙な調整など細部にまで目が届き丈夫で美しいものができるといった意味でも合板でなく無垢材が選ばれた所以だといえます。
●釘はなるべく使わずに作ること
木と木の接合にはなるべく釘は使わずに「ほぞ接ぎ」と言われる昔ながらの日本の木工技術が使われています。
日本では横浜が開港されたとき、すでに釘を使わずに木を組んで様々な物を作る木工技術が確立されていました。
そこに西洋家具という新しいデザインが入ってきたのです。
この西洋風の家具を作っていながら釘を使わないという点が横浜家具のアイデンティティと言えます。
●曲線は鉋で削って出すこと
西洋家具の曲面デザインは一般的に木に熱を加えて曲げる「曲木」により作られています。
一方、横浜家具は主に曲面部分は鉋により材を削って作る削り出しによって作られています。
使用する鉋は材により大きさも形も様々なものが使い分けられています。
鉋を使い、人の手により丁寧に削り出された曲面は曲木との趣が異なり、その点も横浜家具の特徴と言えます。
ここまで読んで「家具蔵と似ているな!」と思われた方、相当の「家具蔵通」です。
家具蔵の「無垢材にこだわり」「木組みにこだわり」「削り出しで曲線を創る」ことは横浜家具との不思議な相似性があります。
気に入った家具に囲まれた生活
横浜家具は分業をせず、材料選びから仕上げまでをなるべく一人で行うことも特徴です。
そのためか、横浜家具を検索すると「オーダー」という言葉をよく見かけます。
キッチンやテーブル、収納、ソファどれひとつとっても、空間に合わせた寸法や、用途に合わせた家具は人それぞれ違うはずです。
例えば、最近ではリビングの収納を一か所の壁面収納にまとめる「集中収納」のご相談にいらっしゃる方も多くなりました。
そういった場合、オーダーメイドなら自分の要望をダイレクトに実現させることが可能になります。
それが1点1点手作りで製作された家具ならひと際愛着も沸き、大切に使いますよね。
一方、「間に合わせで買った」「安かったから買った」という家具たちはどうでしょうか。
思い入れがなく、大量生産された家具なら壊れたら躊躇なく捨て、また新しいものを購入するのではないでしょうか。
オーダーメイドと聞くとハードルの高いイメージになりがちです。
ですが、気に入ったものに囲まれて過ごす時間と、特に思いもなく購入した家具に囲まれて過ごす時間は一瞬ならさほどの差がなくとも、10年、20年とずっと続くと考えると差は歴然です。
いかがでしたか。
石畳の趣ある横浜の街を散歩しながら歴史ある横浜家具のクラフトワークに触れてみてはいかがでしょうか。
ゆっくり歩きながら自宅のインテリアのアイデアを考える時間はきっと心のゆとりを感じる素敵な時間になりますよ。
横浜へお越しの際にはぜひ家具蔵横浜元町店にもお立ち寄りください。
家具蔵横浜元町店
住所 :〒231-0861 神奈川県横浜市中区元町1-22-1
電話 :045-222-2777
FAX :045-222-2847
Eメール:info-y@kagura.co.jp
営業時間 10:30-19:30
定休日 :無し(年末年始を除く)
アクセス
電車でお越しの場合
みなとみらい線 元町中華街駅 5番出口より徒歩3分
JR京浜東北線 石川町駅 南口(元町口)より徒歩7分
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