樹種ごとに見る一枚板テーブルのコーディネート術 その2
2019.4.7
人々に愛されてきたクスの一枚板があるダイニング
国産家具でも雄大な木目が人気のクスの一枚板テーブル。
トチ(栃)やケヤキ(欅)などと同じく、日本で昔から親しまれて、座卓や食卓(ダイニング)テーブルとして活用されてきました。
●クスという樹
コーディネートの話に入る前に、「クス」という樹についてご紹介しましょう。
クス(クスノキ)は漢字で表記すると木に南と書いて「楠」。
文字が表しているように、温暖な地域で育つ樹です。
今では、関東北部や東北南部の神社仏閣でも大木となったクスを見ることができますが、本来、自生するクスの北限は九州の福岡県と言われ、学業の神様で有名な天神さま(菅原道真公)が祀られている大宰府天満宮の周辺と言われています。
このクスという樹は大木になる素質があって、神社の境内で御神木として大事に守られながら育ったものは、巨木(巨樹)へと成長します。
実は、クスという樹は生まれたてからいわゆる「子供」の頃は、陽光をたくさん必要とするため、若い頃に他の樹との競争に負けてしまうことが多いのです。
それでも大木になれるのは、これは、体内に薬にも使われる成分が含まれていて、害虫に強いことなども挙げられますが、クスという樹は、人に大切に育てられた樹も多いのです。
大木になったクスは立ち姿も神秘的で、薬の材料ともなり人の命を救ってくれる、今も昔もパワースポットのような存在として人々に大切にされてきた歴史があります。
●クスは家族の集まる一枚板ダイニングテーブルに最適
前段のようにクスが一枚板のテーブルとして使えるほどにまで大きくなるためには、多くの人の手が加わっています。
「人の優しさ」に触れた樹だからこそ、家族が集まる場所には相応しい樹種なのです。
樹種によっては、短手が80センチに満たないものがあったり、隣りあって着座する同士の余裕がなかったり、家族がのんびり集まれるサイズが確保できないものもたくさんある中で、クスは大径木になるので、家族が集まってもお互いのパーソナルスペースが重ならないテーブルとして十分なサイズに仕上げることができます。
●クスは「合わせ上手」
クスは、明るい色合いの中に交差木理の縞模様や縮杢など、色の濃淡や木目に個性的で力強い表情を見せます。
それがゆえに、ダークブラウンや黒を基調にした落ち着いた雰囲気の空間で映えるのはもちろんのこと、白を基調にした明るい空間でもぼやけることがなく空間の主役としての存在感を出しています。
下の画像は複数の樹種でつくった椅子を合わせた様子。
ここまでやっても違和感がありません。
クスは山の中でも、多くの樹種と共存してきた樹です。
ですので、家具になってもどんな素材とも相性よく空間に溶け込むことができるのです。
ご自宅の中に「神秘的なパワースポットを取り入れる」
そんなイメージがクスの一枚板天板にはよく似合います。
きっと心身ともに満たされる、癒しの時間を過ごすことができるでしょう。
日本人の心を魅了するケヤキの一枚板があるダイニング
日本の誇る銘木として名高いのが「ケヤキ」です。
ケヤキは、環孔材といって、地中から吸い上げた水や栄養分を体中に行き渡らせるための導管という管が、年輪に沿って多く配列しているという特徴があります。
そのことによって、年輪が縁取られるように際立ち、凛とした表情になります。
色調は帯黄紅褐色で、ちょっと濃い目の黄紅色。
色は文字では表現しにくいのですが、暖色系の温かみのある色調ですので、食欲を沸かせる色と言われています。
銘木と言われる所以は、玉杢や瘤杢、如鱗杢など観賞価値のある杢が現れることがあり、一点一点に個性があります。
その杢や木目を見ながら、この樹がどんな生き方をしてきたのかな、と想いを巡らせるのも楽しみの一つです。
●存在が絵になるケヤキの一枚板
空間のトーンが床や天井、建具などがダークブラウンのような場合、他の樹種では存在感を出しにくい場合があります。
ケヤキの一枚板天板の存在はそれだけで絵になり、入り口の扉を開けたらすぐ目に飛び込んでくる迫力がありつつ、
その存在が突出するのではなく、ケヤキの色調が部屋全体のインテリアを調和しまとめてくれます。
●ケヤキには「向き」がある
ケヤキの一枚板には向きがあるのをご存知ですか?
立木の姿を想像していただいて、地面に近い方を元(モト)空に近い方を末(スエ)と呼んでいます。
店舗ではたいてい、天板を立て掛けて展示しているのですが、元を下に、末が上になるようにしています。
この向きで見ることで、素直な気持ちで天板を見ることができるのです。
自宅でも、レイアウトの際にはこの向きにこだわってみてください。
大きな窓があるようでしたら、末を窓に向けて見ると、空に向かって伸びていくような雄大さが見る人の心に伝わってきます。
どの向きに置くのがベストか店舗のスタッフに相談してみてください。
その天板を活かすレイアウトを提案してくれます。
●ケヤキとチェリーのコンビネーション
ケヤキをリビングダイニングの主役に据えた場合に、テレビボードやサイドボードなどの周辺家具には、チェリー材やウォールナット材が合わせやすく、理想の空間イメージが落ち着いた雰囲気であればアメリカンブラックウォールナット材、明るい雰囲気であればアメリカンブラックチェリー材で合わせることで、また一歩理想の空間に近づきます。
無垢材を無着色で作り上げている国産家具であれば、ダイニングテーブルと周辺の家具の素材を変えてみるのも、インテリアセンスがワンランクアップします。
●色調を変えてセンやタモで明るく生命力溢れる空間に
環孔材の特徴がケヤキと同じように木目に現れる樹にセンという素材があります。
「ハリギリ」など他の名前で知られることもある樹ですが、ケヤキに比べて色調が白から灰褐色でキリっと凛々しい木目は堂々とした佇まいです。
一枚板テーブルになれる天板は、その大きさに育つだけでも奇跡と言えるでしょう。
イメージだけで、
「一枚板のテーブルは和のイメージが強いのでは」
と懸念される方もいらっしゃいますが、自然が生み出した、一枚板の杢や自然形状の耳は、もちろん和室でもモダンな空間でも、どんな空間にも調和してくれる柔軟性があるのです。
家具蔵の各店舗では、これからご新居にオーダー家具をご検討の方に、間取り図面を基に、3Dシミュレーションを無料で行っています。
「新しい我が家にこの一枚板のテーブルが入ったらどんな空間に仕上がるだろう。」
という想像を具体的なイメージにしてご覧いただけますので、お気軽にお声かけください。
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