ウォールナットの無垢材チェアのススメ
2019.5.4
家具材として、またそれ以外の用途にも幅広く使用され(なかにはライフルの銃床や飛行機のプロペラにも!)、古くから西洋を中心に高級材として人気を博すウォールナット材。
現代でもその銘木を使用した家具をはじめ工芸品あるいは楽器などを通じて、幅広くウォールナット材でつくられたものを目にすることができます。
ウォールナットとは
そもそもウォールナットとは、クルミ科の樹木を木材にしたものを指します。
食用としては、バビロニア時代の紀元前2000年前から収穫されていたという記録が残ります。
木材として広く普及するようになるのは、16世紀以降のフランスやイタリアから。
家具の歴史では「ウォールナットの時代」と呼ばれ、ヨーロッパ市場ではウォールナット材を使用した、ロココスタイルあるいはブリティッシュデザインなどの家具類が、大いに人気を博しました。
ウォールナットになるクルミ科の樹木はゆっくり成長するので、木目が締まった硬い材質になります。
さらに歪みや収縮も少ないので、釘を打ったりネジを締めても、狂いなく確実に固定することができます。
耐久性に優れた家具を製作するには、まさに最適な素材なのです。
実はウォールナット材が高級家具によく使われてきた大きな理由も、ここにあります。
もちろん、日常生活で繰り返し体重を支える頑丈なチェアをつくるのにもピッタリ。
耐久性という視点からも、ウォールナット材の無垢材チェアは理想的と言えます。
ウォールナット材の魅力
高級製品を中心に、ウォールナット材の家具が発展してきたもう1つの理由は、加工や細工がしやすく、美しい魅力的なデザインに仕上げることができたからです。
ウォールナットはその性質上、表面接着性に優れており、塗装をしてもそれが馴染むように定着します。
例えば、ロココスタイルが流行った17世紀頃のヨーロッパでは、金箔を施しても剥がれにくいので、家具にはウォールナット材が積極的に使用されました。
また接着性にも優れた素材なので、寄木細工のような高度な細工技法にも最適でした。
ウォールナット材を使用したアンティーク家具の多くに、寄木細工が施されているのはこのためです。
もし空間をゴージャスで高級感のある雰囲気にするのであれば、アンティーク調のウォールナットチェアは大いに役立ちます。
美しいウォールナットの表情
もちろん凝った細工や加工を施さなくても、ウォールナット材の魅力を十分に堪能できます。
例えば、ウォールナット特有の美しい杢目もその1つ。
「オイスター・ベニヤ・ウォールナット」と呼ばれる貝を開いたような形の杢目。
「フィギュアード・ウォールナット」と呼ばれるチェック柄に近い複雑な模様の入った杢目。
あるいはコブや根の部分の模様が味わい深い「バール・ウォールナット」など、その表情豊かな風合いが家具の価値を高めます。
そしてこのクラスのウォールナットチェアであれば、まるで美術品や工芸品を鑑賞するかのように、日常の中でもそのフォルムやデザインを堪能できます。
着色を施さないウォールナットは実用的に使い込むほど、色やツヤに深みが増していくため、風合いの変化を楽しむこともできます。
同時に、単なる実用的な家具というだけでなく、インテリアの一部としても存在感を発揮します。
このため、あらかじめ室内デザインとの調和を計算しながら、チェアのカラーやフォルム、あるいは質感に至るまで幅広い観点から選ぶことが重要です。
例えば、フローリングがウォールナット材の場合、同じウォールナットの無垢材チェアをレイアウトすることで室内全体のデザインに統一感を与えることができます。
あるいはカウンターキッチンにウォールナット材を使用しているのであれば、チェアもウォールナット材にすることで、キッチンやダイニング全体がナチュラルテイストな雰囲気に仕上がります。
一方でメープルやオーク、シカモアのように白もしくはナチュラルなテイストの床材、建材でもそのコントラストでメリハリの利いたコーディネートが可能です。
ウォールナットの無垢材チェアのメンテナンス
定期的なお手入れをすることでウォールナット材の家具は、より耐久性が強くなり、味わい深い状態を保ちながら、いつまでも長く使い続けるためことができます。
これはもちろんウォールナットチェアについても同じことです。
手を加えた分だけ躯体に磨きがかかり、寿命や価値が高まることを意味します。
傷や傷みは表面を削るといった工程を経ることで、新品に近い状態に再生することもできます。
ウォールナットは油分を含む性質があるので、オイルとの相性がとても良い材でもあります。
手入れを容易にし、気兼ねなく日常使いするならウレタンコーティングがお勧めですが、仮にオイル仕上げをオーダーの際に選択した場合、植物性のオイルをタオルなどで塗布しておけば、無防備な木肌をガードできます。
その上、木材の滑らかで心地よい手触りをキープすることも可能になります。
このメンテナンス方法は、経年変化で木材表面の色が淡くなった部分にも、効果があります。
このようなメンテナンスを定期的に続けていくことで、味わい深く落ち着いた、魅力的なウォールナットチェアにしていくことができます。
チェアに手を入れながら「育てていく」。
そのことで愛着が増していき、暮らしに欠かせない、長く付き合うことができるパートナーになるのです。
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