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「壁」の違いに見る日本と西洋の住まいの違い

2019.12.8

 

室内と外との境にある壁は、外壁(がいへき)と言います。

建物の中の各室または部屋と廊下などの間を仕切る壁は、内壁(ないへき)や間仕切り壁(まじきりかべ)と呼ばれています。

二つの地域を隔てて、人間を移動出来なくして閉じ込めたり、隔離したりする目的の壁、物理的でなく、概念で言いうところの「壁」も存在しています。

日本語の「壁」は、狭義には建造物を構成する外壁や内部を間仕切る内壁のみを指しますが、広義には屋外で領域を区切るための「塀」と同義で使われることも多々あります。

塀とほぼ同じ意味の「垣」は近年では「石垣」や「生垣」など、もっぱら限定された意味で用いられます。

かつて日本では内壁には土壁・漆喰などが主に用いられてきました。

外壁としては板壁、土壁、漆喰などがあります。

明治、大正時代は、土壁・漆喰・板・石に加えてレンガが用いられるようになりました。

第二次世界大戦後は、土壁・漆喰・板・石・煉瓦に加えて、コンクリート、石膏ボードなども多く使用され始めました。

西洋における家の壁の特徴としては、 西洋では壁が最も注目され重要視されるところであり、家の外と内を隔てる玄関の存在は欠かせません。

壁はレンガやコンクリートで作られますが、装飾に装飾を重ね、彫刻などが彫られ事が多いです。

その装飾は伝統的なものであり、ルネサンス様式、バロック様式、ビクトリア様式、ゴシック様式。

それぞれの様式の時代で見られます。

 

西洋と日本の建築


ヨーロッパの建築は石造が主です。

石造はひとつずつ石を積み上げていく工法です。

まず壁を立ち上げ、壁で囲まれたひとつの明確な領域、閉鎖的な空間を形成することにより、最終的に屋根を支える構造となります。

よって、開口部はあたかも壁をくりぬいた様に開けられ、闇と光のコンストラストが生まれます。

それに対して日本の建築は木造が主でした。

最初に一本の柱を建てることにより、その建築は構築されていきます。

柱と梁とで屋根を支える構造で、そのため大きな開口部を取ることが出来ます。

それによって外部と内部は空間的、視覚的にもつながり、光も柔らかく内部を照らします。

一本の柱から構築された空間は、あたかも碁盤にひとつの石を置いた姿に似ています。

碁石の周りに、ある種の領域が生じ、その領域は西洋の明確な領域とは異質のものであり、それはあいまいな空間を

形成しているように思われます。

日本建築の工法的な特徴はそのあいまいな空間を生み出し、デザイン的には軒からの大きな庇や縁側を表出しました。

それは内と外への連続性、開放性をもたらすことになりました。

このようなデザインは都市にも現れ、西洋は建築で囲まれた広場を中心に都市が形成されました。

それは、都市がひとつのかたまりなのです。

それに対して日本の都市は、連続性のある道のネットワークによって都市が広がっている様です。

 

 

和風建築と洋風建築の特徴は


和風建築の良いところは、何といっても日本人の「住み方」にあっているところではないでしょうか。

例えば、軒下の空間はその土地にあった使い方があり、寒い地域では雪などが部屋に入ってこないようにしたり、

夏の暑い時季にあわせてつくった家では風通しと西日を遮るようなものであったり、他にもコミュニケーションの場所としても使われたりしました。

「ハレとケの空間構成」(日常と非日常の空間構成)は、まさに客人をもてなす気持ちが生かされた空間構成といえるのではないでしょうか。

和風建築のメリットとは、日本人の古くからもつ文化に根付いているから、と言えるのです。

 

近代の和風建築では、日本人の生活文化に根付いたものをさらに現代風にアレンジしています。

たとえば昔の床に座る文化から椅子に座る文化になったことでは、畳だけではなく板張りの床を採用し、昔よりもさらに天井高を取ることで、椅子や立ち仕事でも圧迫感を感じないような空間づくりの工夫が感じられます。

また、自然素材の良いところを取り入れることも魅力のひとつではないでしょうか。

たとえば障子はカーテンとは違い外の光を遮断するのではなく、柔らかく取り込むために和紙を使い、木材の仕上げは手になじむような質感に仕上げられていたりなど、細部から自然素材と共存してきたことを感じることができるのです。

 

洋風建築のメリットは、大胆な構造と余裕のある広い空間にあります。

室内でも靴で生活する文化であることが多いため、空間の中と外がシームレスに繋がり、日本人の感性とはまた異なる生活文化を感じることができるでしょう。

他にも、素材に着目してみても、木材も使いますが、どちらかといえば石やコンクリートなどを多用し、どっしりとした重厚感のある外観もその特徴ではないでしょうか。

近代以降では構造に縛られることなくより自由なデザインをすることができた為、一つ一つの空間が大きく力強い印象を持ちます。

室内に目を向けてみると、今の日本の住宅とさほど変わりがなさそうに見えますが、たとえば天井が広く取られていたり、家具ひとつひとつも大きく、家具のレイアウトにも余裕があります。

洋風の建物でインテリアは、リビングなどの人が集まる部屋のスケールを大きくとる傾向がありますので、ラグジュアリーなソファーやランプなど、空間をよりよく演出するための家具が多く取り揃えられます。

床に注目すると、靴での生活なので、石板やタイルなどひんやりとした素材が多く使われる傾向があります。

大胆な空間構成は洋風建築の大きな特徴です。

西洋建築を建てる時の難しさは、外観やスタイルが定着してしまっているので、大きな変更が難しいということです。

建築自体にも、スタイルにはルールがありそれを厳密に守らないと西洋風の建物になりません。

家を建てる時、和風、西洋風とどちらにするか迷うと思いますが、まずは自分のライフスタイルや趣味嗜好に合わせたスタイルを考えた上で、決めた方が良いといえるでしょう。

 

壁などの構造だけでない、決定的な違い


日本約30年。アメリカ約100年。イギリス約140年。

この数字、何の数字かお分かりになるでしょうか。

この数字は、各国の住宅の平均寿命です。

日本の住宅は、イギリスの住宅に比べ1/5しか住めないことになります。

家の寿命が約30年ということは、30歳で家を持ったとして住宅ローンの終わる定年前には、もう一度建て替えなければならないということです。

欧米では、親の世代が後世にまで残ることを前提に家を建てるので、建替えや取り壊しは滅多にありません。

構造・風土・環境による住まい作りは、日本・西洋共同じ観点ではありますが、日本は土地優先、西洋は住まい優先の概念の違いが大きいと思われます。

 

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