「ウッドショック」とは何か
2021.7.1
今回は、最近各種メディアやSNSで取り上げられている、木材高騰から端を発した「ウッドショック」について触れていきたいと思います。
ウッドショックは、住宅業界やインテリアや家具業界にも大きな影響が出始めています。
ウッドショックとは
ウッドショックとは、コロナ禍が引き金となって引き起こされた世界的な供給不足による木材価格の高騰のことです。
コロナ禍の影響によって、世界中で建築需要が高まり、それは現在も継続しています。
各国が金融緩和策を講じたことに加えて、アメリカなどでは在宅時間の増加によって都心の集合住宅から郊外の一戸建てへと移住する人が相次ぎ、住宅市場が好調に推移したのです。
住宅需要やDIY需要の高まりを契機として、アメリカの木材需要が高まっています。
また物流においては、中国のコンテナへの依存度も高まり、運搬上の理由もさらに木材高騰を高める一因となっていると言われています。
中国の経済回復による木材の大量購入、そしてアメリカの対中政策の変化もウッドショックの一因となっています。
こうした動きが、世界中に波及してきています。
現時点では、収束の見込はなく、今後も木材高騰の動きは続いていくものと見られています。
日本は森林大国なのに…
輸入木材に頼れないなら国産にシフトすればいいのでは、とは誰もが考えることです。
日本の国土の約70%は森林と言われています。
一方で日本の木材自給率は37.8%と決して高い数値ではありません。
ここには二つの問題があると考えられています。
ひとつには急激な需要増に対してすぐには供給を増やせない現状の体制にあります。
そしてもうひとつが過去の誤った森林政策によるものです。
国内の木材供給を増やせない理由
簡単に供給を増やせない理由は、材料としての木材を市場に出すまでには一定の時間がかかるためです。
伐採を決め、山から木を出すだけでも人員の手配などで数カ月はかかると言われています。
さらに切り出した木材は乾燥させなければ使うことはできませんが、その作業も膨大な手間と時間が掛ります。
そもそもの話として、「日本は国土の70%が森林なのになぜ輸入に頼るのか」「自国の木を使うべきなのではないか」と思われる方もいるのではないでしょうか。
理由は、戦後の日本の森林政策に行きつきます。
昭和20年代、戦争によって日本の森林は荒廃していました。
しかし、木材そのものは復興期における資材として、また家庭でのエネルギー源として重宝されていました。
高い木材需要にこたえるべく、日本は国策として人工林を拡大していく方針を取ります。
昭和30年代には日本の木材の自給率は9割を超えていました。
時代は高度経済成長へと向かい、木材需要はますます拡大していくなか、その需要を満たしたのは人工林に植えられた国産材ではなく、自由化された輸入材でした。
昭和40年以降、国産材の供給はむしろ減少していき、拡大路線の後に残ったのは、成長した人工林と人の手による保全の必要な森林だったのです。
このころ山林地帯の集落ではすでに過疎化、高齢化が進んでいました。
森は拡大するけれども、木材として供給が増えるわけでもなく、十分なメンテナンスを行うだけの人もいないという悪循環が生まれています。
この悪循環は日本の林業を衰退させ、手入れの行き届かない荒廃した森林を後に残すこととなりました。
ウッドショックのようなことがあっても簡単に国産材へと舵を切れない理由は、こうした過去の森林政策の影響から未だ抜けきれない現状があるためなのです。
住宅業界への影響
このウッドショックにより、国内のハウスメーカーや工務店が木材の卸業者から今まで通り仕入れができない状況になってきています。
2021年現在、木材の卸値が前年と比べて1.3倍ほど高騰しています。
価格が上がっただけでなく確保そのものも難しくなってきているようで「工期が保証できなくなるかも」という懸念もされています。
住宅購入は、「契約」に基づく内容ですので、このあたりの専門家への相談件数も増加しています。
昨年の同じ時期にはトイレなどの設備関係が不足して同じく住宅の工期が大幅に遅れる事態が起きました。
トイレ不足問題は数ヶ月で解消しましたが、今回の木材不足はもう少し長引くかもしれないとの見方が強まっています。
家具・インテリア業界への影響
無垢材家具を扱う家具店、メーカーも北米産のアメリカンブラックウォールナット、アメリカンブラックチェリー、メープル、ホワイトアッシュなどは原木での仕入れや材木業から仕入れをしているところがほとんどです。
こうした世界的に人気の高い材は、輸入に頼っています。
そのため、住宅業界同様、木材の高騰が既に行われてきています。
ハウスメーカーや工務店同様、家具・インテリアショップでも値上げを余儀なくされているところもあります。
一方、裏を返せば、消費者にとっては、まさに「今」が家具の購入の絶好のタイミングのように思えます。
家具をお探しの方も、多くの方が前倒しで検討されている方が増えています。
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家具の必要時期はまだ少し先の方も、お気軽にご相談頂ければと思います。
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