木の家具と暮らす ~私たちのKAGURA STYLE~ #10
2022.7.18
建築家 × KAGURA コラボレーション実例 【その7】
建築家の作る空間。それは閃きやセンスだけではなく、膨大に積み重ねられた個人的な体験や、ノウハウに裏付けられた手作りの作業によって生まれるものづくりに他なりません。
同様に、丁寧な手作業による上質なものづくりを目指す家具蔵の仕事が建築家、その空間と響き合い、見事に形となった個性豊かなインテリア実例を、建築家へのインタビューと共にご紹介します。
マツダコンサルタンツ
菊地 俊彦さんは国の政府開発援助(ODA)で行われる建築プロジェクトのための設計事務所として、1975年にマツダコンサルタンツを設立。
現在は副社長に就いています。
おもな建築事例として、海外では学校や病院建設、文化遺産保護のための各種施設建設や大使館、大使公邸などがあり、国内では商業施設を中心に、近年では昭島市の昭和の森プロジェクトにおいて地域開発や事業企画から基本設計、設計監修等も行っています。
人を呼び込む、やさしさのある空間を
-天然素材を使った、洗練された空間ですね。どのようなコンセプトでこの空間を設計されたのでしょうか。
ここはこの街で45年間、不動産業を営まれてきた錦栄建設さんのお店です。
息子さんは精神科医をされていて、娘さんはネイルアートをされている。
そんなところから、1階に街の人々が集うカフェ、2階にネイルサロンという構想が生まれました。
春日部は埼玉県の中でも商業設備が集積し、たくさんの人の流れがあるところです。
そこで、都市の中で人を呼び込むアーバンポケットというコンセプトを考えて、建物は100坪ある敷地の約半分とし、残りの敷地には小さな公園をつくり、カフェの中には文化の香りのするギャラリーを入れました。
そうすることで、地域文化を担う存在になれるのではないかと考えたのです。
-人を呼ぶ仕組みとは、具体的にどのあたりに反映されているのでしょうか。
前面のガラスを大きくして、外にチェアを置き、お茶を飲んだり、犬を連れてきたりできるようにしました。
こうして外と中をつなげることで、外から素直に入ってこられるような公共施設の延長のような空間にしたかったのです。
特に気を使ったのは、自然の素材を使うことです。
街の人々を受け入れたいという気持ちを、天然木のやわらかさで表現しました。
-家具蔵の家具を入れてみて、いかがですか?
家具蔵さんを選んだのは息子さんと娘さんですが、とてもいいものを選んでくれたと思いました。
家具蔵さんの家具は、ハンドメイドの香りがする、あたたかみを備えています。
使い込むことによって良さが出る一生モノの家具だからこそ、それがそのままこの店の歴史にもなるし、お客様にヒューマンタッチのやわらかさを感じていただけます。
都市のアーバンポケットというコンセプトにも合っていました。
私が特に気に入ったのは、肌触りが非常にいいことです。
私も建築を始めて45年になりますが、空間の中で人の手で触れるところにはできるだけ自然素材を使いたいと思ってきました。
木や石などの自然素材には、それだけで人を包むようなやさしさがあるのです。
-大きなテーブルがとても印象的ですね。
大きなテーブルを中心に、素材や照明の工夫によってストレスを感じない、安らぎを感じられる空間を目指しました。目指したのは、初対面でたまたま隣り合わせたお客様同士でも気兼ねなく交流できる、地域の交流の場です。
そのためにも、ぬくもりのある家具蔵さんのテーブルを置いて大正解だったと思いますね。
チェアはぬくもりがありながら、和とモダンが融合した洗練されたデザインが特徴の「ゼン」を使用しています。
ゲストが時間を忘れてくつろげるよう、座り心地も重視して選ばれました。
家具の配置はすっきりとまとめられていて、店内には無垢材の心地よい質感が溢れています。
窓の外にはテラス席が広がっていて、天気の良い日には屋外で寛ぐ人々の姿が見られる癒しの空間です。
五感を刺激する街の人の交流の場
「ギャラリーカフェ エル(埼玉県)」
漆喰の壁に天然木の大きなテーブル。
店内いっぱいに漂う木の香りと明るい色調のやわらかな空間が、ゲストを心地良く迎えてくれます。
提供するのは、素材にこだわったオーガニックなランチメニューや、心を込めてドリップする珈琲。
夜には軽くアルコールを楽しむこともできる、子どもから大人までがくつろげるカフェとして地元の人を中心に賑わっています。
家具は、テーブルの縁がまっすぐに切断されていない「耳付き」のもの、椅子も身体が当たる部分に優しいカーブがあるものなど、天然木らしいあたたかみを感じさせるものが選ばれました。
同じ空間に併設されたギャラリーでは、期間によって壁に飾られるさまざまなアーティストの作品とともに、シンプルだからこそ贅沢でこだわり抜かれた空間が、訪れる人の感性を刺激してくれます。
これまで近隣ではなかなか得ることのできなかった魅力的な空間体験を満喫できる集いの場所として、街の人々に愛されています。
大きなテーブル席と2人がけのテーブル、そしてテラス席の他に、壁に面したカウンター席を用意。
一人でゆったりと過ごしたいときなど、さまざまなニーズに対応できる多彩な居場所を作っています。
ギャラリーコーナーの什器も他の家具と同じメープル材。明るい色の木材で統一した棚、キャビネットなど清潔感のある木肌はカフェの空間にも良く合っています。
二階はクリニックとネイルサロンになっています。
息子さんが経営する精神科のクリニックと、娘さんのネイルサロンが二階に入る複合施設でもあります。
マツダコンサルタンツが得意とする設計の分野です。
クリニックの待合室や診察室も全てメープル材で製作し統一しました。
「銀座店で初めて椅子に座ってみて、座面の広さや座り心地の良さを実感しました。木の椅子なのに、手で触ったときにあったかい。スチールの家具とはまったく違って、お尻が冷たくなったり痛くなったりしないんです」
と、家具を選んだカフェオーナーの恵美子さん。
「きちんと手入れをして使って、お店と一緒に次の世代まで受け継いでいってもらいたいですね」
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