特別企画:ハウスメーカー×KAGURAコラボレーション事例紹介 ~住友林業~
2022.10.19
高性能な建材の開発。
それだけでなく、高い設計力によって実現される光や風の流れを計算した快適な住まい。
このようなハウスメーカー各社の取り組みはまさに日進月歩でその変遷や進化には目覚ましいものがあります。
一方で普遍的な価値観というのはいつの時代も変わらず、それは家具にも言えること。
そのような意味で、ハウスメーカーの事業は無垢材家具を専門とする私ども家具蔵の仕事ともじつに相性が良いのです。
このブログの特別企画として日本を代表するハウスメーカーの各社と私ども家具蔵が手掛けた、こだわりの空間・インテリアの実例をご紹介します。
今回は「木の家が欲しい」「モダン和風のインテリアが好き」といった人がまず真っ先にイメージするであろうハウスメーカーの大本命「住友林業」をお送りします。
今回は、普段は一般公開されることの無い同社の「商品開発部門」とも言える筑波研究所を訪れることが叶いました。
住友林業
「木」を生かし、「住生活」に関するあらゆるサービスを通じて豊かな社会の実現に貢献する住友林業。
「木造」に強いこだわりを持つ大手ハウスメーカーであり、一邸ごとに専属のプロジェクトチームを結成するため、自由度の高い設計が可能です。
また、木造住宅でも長期にわたって安心して暮らすために断熱性や耐火性、耐久性といった多機能を有する構造を採用しているため、常に満足度の高い住宅を提案してくれる特徴があります。
そして、その提案の根幹を支える筑波研究所では、木が人に与える心理的な影響など様々な研究を繰り返しながら、新たな「木の魅力」を検証しています。
「家具蔵の無垢材家具は木に詳しいスタッフにも刺激になります」
検証棟の基本設計を手掛けた苅谷健司さん。
「ここにある無垢材家具は、いわば木のエキスパートでもある当社のスタッフにも大好評です」
「家族と一緒に成長していける家」 (住友林業筑波研究所検証棟)
茨城県にある住友林業の筑波研究所を訪れると、熱帯林の木々が茂る温室に迎えられました。
「元来が木の会社。木についての研究は私たちの基盤です」
と、案内をしてくれた筑波研究所上席研究員の苅谷さんは言います。
温室のほか、構造実験、音響実験、居住性評価実験など、住まいの性能向上のための実験棟試作装置を備えていて、資源、材料、そして建築の3つの分野から木を研究する、住友林業の中核をなす施設です。
「木の企業」が発信する新しい木の魅力
その中に建つ1軒の家が、建築分野の中心となる検証棟。
窓外のパーゴラやゴーヤーによる緑のカーテンが暮らしを優しく包み込みます。
サッシの種類や窓の開け方、素材の組み合わせなども入念に計算されており、「新しい木の住まい」と「暮らしやすさ」を追求した実験的な施設となっています。
新開発の建具はもちろん、木造住宅が住む人に与える心理面の研究など、最新のデータに基づく室内空間の検証を行い、そして全国の支店から集まるスタッフの勉強の場にもなっています。
基本設計を手がけた苅谷さんによるコンセプトは「家族と一緒に成長していける家」というものでした。
もちろん、家具も無垢材にこだわっています。
「ひと昔前までは、日本人といえば木の家、という感覚がありました。
しかし、今の若い世代では、木造に対しての思い入れが薄れています。
それなら、まず木の良さへの理解を深めていかなければと考えて、いろいろなアプローチを探していたところに、家具蔵さんの家具に出会いました。
営業の方に『木にはそれぞれ精霊が宿っていてその精霊と使う方の個性が合うものを選ぶとより愛着が湧く」
という話を聞いて、おもしろいと思ったのです」
「たとえばダイニングのチェアが4脚とも、樹種もデザインも異なっていたらどうでしょうか。
自分の椅子・お父さんの椅子など、それぞれのチェアに家族の特別な思いが込められ、お客様にその理由などを聞かれれば、そこから家族を紹介する楽しい会話が生まれることもあるのではないでしょうか」
「木の住まいの心地よさを研究すると、家具、とりわけ木の家具、無垢材家具の果たす役割も大きい事がわかってきます」
と苅谷さんは語ってくれました。
木目の空間が子どもの集中力を高めるという研究から設けられた木の勉強机とチェア。
近年、リビングで勉強する子どもが多いことから、リビングの隣に設けられました。
「リビングで勉強する子供は頭が良くなる」との報告も。
机の隣には移動式のタタミコーナーもデザインされています。
昔ながらの日本人の知恵と現代の生活様式ならではの機能性を合わせた癒しの空間です。
木質内装材が子どものリラックス度、 集中度に与える影響の研究も行われています。
白色クロスと木目の空間でのリラックス時と集中時の子どもの脳波を測定し、 内装材が与える影響を筑波研究所が調査しました。
子どもたちに白色クロスと木目の空間で構成された小部屋の中にそれぞれ入ってもらい、 アルファ波をリラックス度、ベータ派を集中度のパラメータとしたところ、 木目の空間はクロスの空間 に比べて、休憩中はよりリラックスでき、計算中はより集中できることが判明しました。
この研究は「第5回キッズデザイン賞フューチャーアクション部門リサーチ分野」を受賞しています。
※左から、白色クロス / 木目ライトオーク / 木目ミディアムオーク / 木目ダークオーク(画像有)
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