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家具蔵の提案する無垢材キッチン ~木のキッチンと暮らす ~その4~

2023.6.14

 

 

住まいの新築やリフォームを計画する際に、「リビング」や「ダイニング」といった、最も人が多く集まり、長い時間を過ごす事が想定される場所についてどのような空間にしたいかをイメージする事は、最初に直面する大きな課題となります。

それに併せて、最近ではキッチンをどのような空間にしたいか、キッチンでどのように過ごしたいか、までを含めて家づくり全体を考える事も多くなりました。

それは、キッチンが単なる機能ばかりが優先される「調理の場」ではなく、リビングやダイニングと同じように、そこで人が心地よく過ごせる空間であることが求められるようになったからに他なりません。

リビングやダイニングの家具たちと同様に、キッチンにも時間とともに深みを増す本物の素材を使い、 腕の良い家具職人が丁寧に作る木のキッチン・無垢材のキッチンは、しっくりと手に馴染み、空間に美しく溶け込むインテリアにもなります。

このシリーズでは、そのような上質な木のキッチンとの暮らしを実現した4軒の住まいをご紹介しています。

今回はその4回目です。

 

S邸  山梨県


 

 

湖からの緩やかな坂の中腹に佇む、S様ご夫妻のセカンドハウス。

建物自体が非日常を感じさせてくれるような住まいのキッチンは、「ダイニングの家具と調和する木のキッチンが良い」と、上質なものを多々知るS様が選んだものです。

それは丁寧な手仕事で仕上げる家具蔵のオーダーキッチンでした。

ログハウスを主体とした構造やインテリアの完成度にも影響をあたえる窓(木製サッシ)や建具の扱いに加えて、厳しい自然環境に晒されることがセカンドハウスの宿命でもあります。

地元の気候風土を知り尽くしたビルダー(建設会社)を選び抜いて建築されたこだわりの住空間は、ゆったりとした玄関ホールからリビングの室内に入ると、正面には森の風景を大胆に取り込むダイナミックな吹抜け空間が広がっています。

 

家具へのこだわりから生まれたチェリー材の脚付きキッチン


 

 

S様が最後までこだわったこと。

それはチェリー無垢材の質感と、キッチン本体と背面収納ともに「脚付きの家具」のように床から少し浮かせることでした。

そうすることで軽やかさや上品さを感じることができることと、意外にも「掃除がしやすく清潔に保てるというメリット」も生まれました。

通常は家具の箱の下や壁際は完全にブラックボックスとなり、掃除や手入れもしにくい場所です。

床から浮いていることで、意識も手も届くようになります。

そうすると完全に清潔な状態をキープする事ができるようにもなります。

もしかするとこれは少しレベルの高い話になってしまうのかも知れませんが、S様のライフスタイルとしては、このことは寧ろごく自然な選択であったようです。

「ここには休みにきているはずなのに、家事が楽しくて、つい掃除や料理、庭の手入れをしたりと動き回ってしまいます。全然ゆっくりのんびりなんて過ごしていないかも知れません(笑)。でもそれが良い気分転換になるし、身体を動かすこと自体が気持ち良いのです」

という言葉からもそれはよくわかります。

 

建物の設計と並行したプラン進行が実現させた完成度


 

S様のセカンドハウスのメイン空間ともいえる、リビングダイニングと一体になったキッチンに求められるイメージは当初より、それ自体がインテリアの一部として自然に存在するようなオープンキッチンが想定されました。

システムキッチンやオーダーキッチンメーカーの既成のものではなかなかイメージ通りにならず、以前より無垢材家具ブランドとして認知し、憧れを持っていたという家具蔵へ相談にいらしたのがこの案件のきっかけです。

S邸のキッチンプランは、建物の設計の初期段階から計画を進めることができたため、床材や建具の素材や色との調和、キッチンエリアの窓の位置も、家具(背面収納)が窓を基準にして完全にシンメトリーに配置されることで美しいバランスをとれるようになっています。

「後付け」となる事の多いキッチンプランでは実現できないような高い完成度となっていることも特徴です。

 

アイアンやタイルなど異素材を組み合わせることで、「カントリースタイル」や「山小屋風」とは異なる、甘すぎないインテリアのダイニングスペース。

一方でテーブルは敢えて「耳付き」を選び、モダンさの中にも自然の造形をプラスしています。

その室内を彩るインテリアエレメンツ、調度品や装飾品はご夫妻が長年に渡ってコレクションされてきた素敵なモノたちばかりですが、所謂「甘くなり過ぎ」ていないのは、アイアンの黒とシャープな造形、モダンデザインが要所を引き締めている効果かも知れません。

 

ダイニング側に面したカウンター下の収納は、無垢材と人工水晶(石)によって出来た「フレームキッチン」の中に別の箱を入れ込んだように見せることで、「家具性」を強調するようなデザインにしています。

その箱はガラス扉になっていて、いつも眺めていたい食器類のコレクションを飾るスペースにしました。

「好きなものに囲まれていると、気持ちがリフレッシュしますね」と奥様。

 

ダイニングテーブルに合わせた椅子は、直線の幾何学模様が印象的な「DCダン」。

階段の桁のデザインとも調和して空間を引き締めています。

 

S様邸のもうひとつの見どころは、キッチンと引戸でつながったパウダールームです。

こちらはご主人様のこだわりで、洗面台をキッチン同様、キズや汚れに強い人工水晶のカウンタートップ(天板)、木部を無垢のチェリー材にしました。

加えて鏡も同じ無垢のチェリー材でオーダーしたことで、キッチンにつながる引戸を開けていてもホテルのように絵になるエレガントな空間に仕上がりました。

 

こうして、家具のように見せるキッチンと、S様のセンスによって選ばれた美しい家具や装飾品によって、日常と非日常が心地よく入り混じる魅惑の空間が完成したのです。

 

その他の家具蔵の無垢材キッチンの事例の紹介はこちらから

 

 

 

 

 

 

 


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