空間ごとにみる床材の選び方と傾向は?
2023.9.29
住まいに欠かせないものの中に「床」があります。
床が無い住まいなど考えられず、あるのが当然と言えるので「欠かせない」と表現するのも違和感はありますが、とにかく家には床は付き物です。
そこに住む人、上がり込む人が足や身体を預け、家具などを置くためのベースとなる床は、様々な素材で作られます。
一昔前の日本の住まいと言えば畳敷きでしたが、現代ではフローリングを用いることが大半です。
そのフローリングもいくつかの種類があり、それ以外にも床材の選択肢は多岐にわたります。
床材の種類を大きく分けるとすれば「フローリング」「クッションフロア(ビニル床材)」「カーペット」「タイル・石材」「畳」と分類ができます。
フローリング
フローリングは床材の中で現在もっともポピュラーであり、人気も高いものとなります。
畳やカーペットと比較した際には掃除が容易であり、耐久性が高い点は長所と言えるでしょう。
木材を床用に加工したものであり、大きく分けて「無垢材フローリング」と「複合フローリング」の2種類があります。
無垢材フローリングはその名のとおり「無垢材」を床板状に加工したもので、いわば本物の木そのものです。
ナチュラルな質感で肌触りがよく、木の香りや調湿効果で部屋を居心地の良い空間にしてくれます。
もう一方の複合フローリングは、現在の主流とも言えるタイプであり、様々な特性を持つ素材を組み合わせることで多様な加工が可能です。
木目を印刷したシートを接着加工した「シートフローリング」、薄くスライスした無垢材(=突板)を表面に使用する「突板フローリング」などがあります。
無垢材フローリングの何よりの魅力は時間が経過するほど風合いが出てきて、長く愛着をもって使用できることです。
傷などが生じても味わいとなり、経年変化も楽しむことができます。
一方、複合フローリングはその特性から「床暖房」「防音」「防ダニ」などの効果を持たせることもできますが、深い傷などが生じた場合に根本的な修復の手段は無く、完全に交換するには何らかの費用が発生します。
クッションフロア(ビニル床材)
クッションフロアは、塩化ビニル製のフロア用シートのことを指します。
木目調やフローリングとよく似たものを使用することも多いので、大枠で言うとこちらもフローリングと言って差し支えないのですが、厳密に言うといわば「ビニール製」なので、その点は注意と確認が必要になるかもしれません。
クッションフロアはフローリングの床材と比較すると平均3分の1程価格が安く、手入れもしやすいのでマンションやアパートといった集合住宅に使われることも多い床材のひとつです。
厚みがあることからその名のとおり衝撃を和らげる効果にも優れた床材であり、防水性もあることでキッチンや洗面所などの水回りによく使用されます。
加工も容易なため、カラーバリエーションやデザインも豊富です。
このように書いていくとメリットしかないように感じますが、一方で弾力性に優れる分、上に配置した家具や家電の跡が残りやすい点、つまり「へこみ」が目立つ点や、独特の艶感がチープな印象を与えてしまう可能性も留意しておかなければいけません。
また、塩化ビニルは熱に対しての強度という点に難点があり、日光などの紫外線による劣化や色褪せは他の床材と比較しても早い傾向=劣化が早い点も床材を選択するうえでは覚えておく部分です。
カーペット
カーペットは断熱効果が高く経済的、防音性にも優れている床材であり、フローリングがここまで普及する前に人気の高かった床材です。
築年数の高いマンションではカーペットが重用されているのを今でも見かけます。
足触りが柔らかく、色彩のバリエーションも多いこと、同時にクッション性が高いので転んでもケガをしにくいことや冬場でも温かいなど、数々のメリットとインテリア性を求めて根強い支持があります。
一方で水分に弱く手入れに手間がかかってしまう点やダニの温床になりやすいという点も挙げられるため、小さなお子さんがいる家庭で使用する際には頻繁な掃除を心がけることをお勧めします。
タイル・石材
タイルは素材自体の耐水性が非常に高いため、汚れが付きにくいだけでなく、いざという時にもそれを落としやすいことでメンテナンス性に非常に優れていると言えます。
例えばキッチンなどの油汚れも水拭きで除去することができ、同時に傷の付きにくさも特徴の一つです。
傷やへこみが生じやすいフローリング材に比べ、その手間を減らすことができ、リフォーム時などはメンテナンス費用を抑えることができます。
石材には大理石や御影石などの種類があり、こちらもタイル同様に玄関の床や水回りに使用されることが多い材質です。
石はいわゆる自然素材ですからナチュラルでインテリア性が高いのも魅力の一つです。
両者の特徴は互いに高い耐久性があります。
そして両者に共通するのは木材に比べて、触れると「ひやり」と感じる点。
冬はスリッパが手放せなくなること、寒さ対策が不可欠、という側面もある素材です。
畳
畳は天然のイグサとワラから作られた日本ならではの床材です。
畳替えや新築の、さわやかなイグサの香りが好きという人も多いでしょう。
断熱性、耐久性、保温性に優れており、日本でも特に江戸中期頃からは一般家屋でも常用されてきました。
近年は建材の技術革新により、発泡樹脂系の素材を合わせて軽量化を図ったハイブリッドタイプや再生資源を活用したエコ素材などの畳も多く販売されています。
肌触りは勿論、適度な弾力性や断熱性、さらに自然素材を使用することでの調湿効果もあり、天然のイグサであればホルムアルデヒドや二酸化炭素を浄化する効果もあります。
日陰になりやすい北側の部屋や通気性の悪い部屋で採用する場合は、湿気によるダニ・カビに注意する必要があります。
また、飲食物をこぼした場合はすぐに対処しなければシミになってしまうこともあるので注意が必要です。
床材の選び方のポイントは?
フローリングはまず無垢材にするのか複合にするのかは大きなポイントですが、複合フローリングはカラーバリエーションや木目のパターンも多数あり、予算に準じた床材が見つかりやすいはずです。
一方で質感・高級感を大事にするなら無垢材フローリングがお勧めです。
新築から年月が経っても経年変化による風合いの深化で古さを感じさせることはありません。
コストを抑えたい、あるいはペットが住む家庭におすすめなのはクッションフロアです。
特に室内飼いの犬はフローリングでは足を滑らせてしまい、関節などにも悪影響が出やすくなります。
クッションフロアは、カッターやハサミなどでも加工作業ができるので、ペットのためにフローリングの上からクッションフロアを敷くことも可能です。
高級感やスタイリッシュな印象を求めるならタイルや石材。
耐久性と耐水性に優れているので、特に水回りやキッチン、玄関などに使用するのはもちろん、フローリングとのテクスチャーの違いを楽しむのも良いでしょう。
そして私たち日本人にはやはり畳は忘れられない存在です。
和空間や和モダンな空間に合うことは言うまでもありませんが近年は洋風の住まいにも合うようなカラーバリエーションや、デザイン性が高い縁がない畳、掃除がしやすい撥水加工の畳などもあるため、部屋と用途に合わせて選択が可能です。
この様に床材には様々な種類と特性があります。
素材のグレードなどでも選択肢は豊富であり、部屋別に床材を変えるのも一手です。
家具蔵で行っている3Dシミュレーションでも、検討中の家具と様々な床材の合わせを確認できます。
床材についても空間と用途、予算を踏まえてベストなものを検討できるよう、お気軽にお問い合わせください。
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