国内メーカーか?海外メーカーか?食洗器の選び方とは
2024.5.25
キッチン機器は年々進化を遂げています。
そのなかでも食洗機はその代表的なものといってよいでしょう。
そして、食洗機は国内メーカーのものと海外メーカーのものでその特徴も大きく異なります。
そのどれもが特筆すべき機能を持っていますが、いざキッチンを新調する際に食洗機を導入するとして、自身の暮らしに合った機器を選ばないと結局宝の持ち腐れ状態になる可能性もあり、その選択は重要です。
食洗機の誕生と普及の歴史
その歴史は意外と古く、日本で家庭用として誕生したのは1960年まで遡ります。
どのようなものでもそうですが、当初は価格やサイズの問題もあり普及には時間が掛かりました。
その後80年代にシステムキッチンにビルトインできるタイプのものが誕生し、その普及率が高まることになります。
90年代に入ると夫婦共働き家庭の増加・ウィルスの流行といった要素もあり、さらにその増加には拍車がかかりました。
と言っても全体の食洗機の普及率は30%弱に留まり、その他の家事家電と比べるとまだまだ低いのが現状です。
特に賃貸物件や単身家庭では食洗機を入れていることは少なく、持ち家で二人以上が暮らす世帯で見ても50%に及びません。
一方で海外では日本よりも水資源が貴重という事情があり、その普及率は非常に高いものとなっています。
日本の場合は水資源に恵まれた環境であり、海外と比較すると節水意識も低くまだ手洗いで良いと考えている方も少なくありません。
そうしたことも影響してか、オーダーキッチンの打ち合わせをしていても「食洗機は不要」という意見が出ることもありますが、今後は日本でも食洗機の導入率はさらに高くなっていくことでしょう。
節水のメリット・家事時間の節約・高齢化などその理由は多々ありますが、いざという時にあると便利な家電であることは間違いありません。
そして、大きく分けて食洗機は国内メーカーのものと海外メーカーの製品でその特徴が異なります。
節水性に差は無いものの洗浄力は海外製がパワフル
水資源の節約=節水という点で食洗機は通常の手洗いよりも有効です。
一般的に手洗いで食器を洗う場合、5分間水を出し続けると仮定した際に使う水の量は約60リットルと言われています。
それに対して、食洗機を使った場合は1回あたりの水の使用量は平均として国内メーカーで10リットル・海外メーカーで9.5リットルと大幅に節約できることがわかります。
しかし、ここに国内・海外での差はそれほどありません。
一方で洗浄力については電源が日本は100ボルト・海外は200ボルトというパワーの違いもあり、やはり海外の方が洗浄力は高くなります。
サイズの違いは要注意
基本的な食洗機のサイズは幅450ミリか幅600ミリの2つに分かれます。
国産メーカーの場合は、食事の度に食洗機を使うことを想定しているため容量もコンパクトな幅450ミリが主流です。逆に海外の場合は夜間に一日分の食器や調理器具をまとめて洗うという考えのため、カトラリー用のトレー、食器用のトレー、大皿や鍋などが入るトレーと3段にドロワーが分かれていて、幅も600ミリと大きなものが基本となります。
鍋やフライパンなどの大型の調理器具もまとめて入れて洗うことができる点もメリットです。
夫婦共働きによる「夜にまとめて」というスタイルも増えていることから幅600ミリを導入する家庭も増えていますが、国内メーカーで幅600ミリタイプは機種が限られる点がネックです。
反対に、海外メーカーの場合は日本用に450ミリ幅タイプも取り扱っているため、そのデザイン性も含め、選択肢のひとつとして考えてみてもよいでしょう。
仕様の違いで使い勝手も変わる
最近では多少その様相も変わってきていますが、基本的に国内メーカーはスライドオープン(引出しタイプ)、海外メーカーはフロントオープンタイプ(扉を開けて中のバスケットを引き出すタイプ)となっています。
スライドオープンは上から食器が出し入れできることで作業が楽、というメリットがある反面、下の段を使用する際に上段を避けるのが手間、という一面もあります。
フロントオープンは扉の開け閉めに屈まなければいけない点で好みが分かれますが、内部のバスケットをそれぞれが単独で引き出せるため、出し入れ自体はしやすくなります。
その他にも日本製は給湯接続を推奨し・海外製は給水接続を推奨しているといった細かい違いもありますが、一番の違いは乾燥機能がついているかどうかといえます。
国内メーカー品は「食器洗い乾燥機」であるのに対して、海外メーカー品は単に「食洗機」と呼びます。
つまり、「送風乾燥する機能」があるのが日本製の特徴です。
この違いも、海外メーカーの場合は夜間のまとめ洗いを想定しており、日本では都度の使用を想定しているという点に起因します。
海外ではすぐに取り出して食器棚に収納するということを考慮していないため、高温の湯で洗浄した後は余熱で水分を飛ばすという考え方なのです。
ただ、機種によっては内部にゼオライトという吸湿発熱素材を使って乾燥を促したり、洗浄後に扉が自動で開いて風通しを良くしたりといった機能を持つものもあります。
乾燥まで一括で、と考えるなら国内メーカー、大量に洗うことができ且つある程度は手で拭くことを厭わないのであれば海外メーカーという傾向です。
ただ乾燥機能ありの食洗機でも、手洗い後に乾燥機能だけ使うことは故障の原因につながるので避けましょう。
やはり価格も両者で異なる
食洗機本体の価格は、国内メーカーで20~40万、海外メーカーで27~85万、というのが2024年4月時点での相場です。
価格だけ見てしまうと倍以上する海外メーカー品は高いと感じてしまいがちですが、内部の構造にも違いがあり、それも価格差の違いとなっていることを覚えておきましょう。
国内メーカーのものは主に樹脂・海外ではステンレスとなっており、その耐久性も日本製は7~10年・海外製は15~20年ということや、デザイン性の高さや洗浄力の満足感まで考えると、イニシャルコストだけで簡単に判断してしまうのはもったいないように思います。
このように、様々な側面から国内・海外の食洗機を比較しましたが、一番のポイントはやはり乾燥機能の有無ではないでしょうか。
各社メーカーのショールームでは実機を見ることができるので、仕上がりがどのように違うかをまずは見てから判断するのもひとつの方法です。
食洗機が必要かどうかは家族の人数や皿洗いの頻度などによって大きく変わります。
一概に必要、不要ということはできませんが、このコラムを読んで少しでも方向性が見えてくるのであれば幸いです。
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