2024年版「キッチンで押さえておきたいポイントとは?」
2024.6.12
キッチンの今のトレンドは?
毎年イタリア・ミラノで開催されている世界最大の家具見本市である伝統の「ミラノ サローネ」。
家具・インテリアを中心に、バスルームやキッチンにいたるまで様々なメーカーが新作やフラッグシップをここで一挙に紹介します。
各社のオリジナリティも感じながら、全体として世相やトレンドを反映したカラーやデザインのトレンドを見ることができるイベントです。
業界関係者・マスコミなどでたいへん賑わうミラノ サローネは、「住」にまつわる「今」と「これから」が生まれる場所といえます。
ここで発信された情報もふまえ、国内のインテリア雑誌でも初夏にはキッチン特集が組まれるなど、春から夏にかけてはその年の旬なキッチンを目にする機会も多くなります。
そこから読み解くことのできるのは「今」、そしてここ数年続くこともある「トレンド」です。
キッチンにも自然素材を
ダイニングテーブルには銘木でつくられた雰囲気のある一枚板を。
無垢材テーブルや無垢材チェアで自然のぬくもりを取り入れる。
ここ数年、特にダイニングスペースにおいてはテーブルやチェアといった主役級の家具は無垢材などの自然素材で製作されたものを選ぶ人が格段に増えました。
一時期、自宅で過ごす時間も長くなったことがありました。
そこで住まいの中を見直す機会があったという人も多かったことでしょう。
その際に日々目に入るもの、手に触れるものは心地良いと感じることができるものを、と思うのは当然の流れであり、それが自然素材使用の更なる喚起を呼び起こしたことは想像に難くありません。
薪ストーブやバイオエタノールの暖炉などが人気を博している、つまり「火のゆらぎ」を求めているということもその一環という意見もあります。
そこでキッチンです。
キッチンを構成する素材についても面材に天然木を取り入れる・ワークトップには天然石を用いるといった流れはこれまでもありましたが、現在の様子を見ていても流れのひとつとしてまだまだ続きそう、というか定番的な考えとして浸透していきそうな気配です。
さらに言うと、(日本の住宅での例は少ないかもしれませんが)室内のキッチンとは別にアウトドアキッチンを設ける・キッチンにも観葉植物を置くなど、もはやキッチンの環境づくりの中で自然素材は欠かせない存在になっています。
サスティナビリティの意識の高まり
クォーツストーンはキッチンのワークトップに使用する素材としては多々のメリットもあり、非常に人気があります。
※クォーツストーン…天然石英(クォーツ)を砕石・着色し樹脂加工したもの。人工大理石よりもより天然素材に近く、色柄も豊富、高耐水性や高耐久性・傷が付きにくいといった特徴がある
このクォーツストーンでも環境問題を考慮したものが着目されています。
例えばクォーツストーンの代表格、コセンティーノ社の「シーザーストーン」は、クォーツの持つ撥水性や意匠性はそのままに、ガラスなどのリサイクル素材を使用したバリエーションを展開しており、人気を博しています。
また、無垢材は使うほどに風合いが増すのはもちろん、もし表面の傷みがひどくなった場合には削りなおして再びきれいに使うことが可能です。
そもそもの耐久性も高く、私ども家具蔵でも家具以外に面材(扉材)に無垢材を使用したキッチンを展開しています。
こういった素材も含め、良いもの・気に入ったものを長くきれいに使うという意識は、ただのトレンドではなくこれからも長く続くことを願うばかりです。
「カラー」と「デザイン」
今年のミラノ サローネにおけるトピックのひとつに「キッチンにカラーが戻ってきた」というものがあります。
とりわけピンクやグリーンなどの印象的なカラーや、アクセントとしての金属マテリアルの組み合わせ、最近多くなっているリブデザインにもバリエーションが増えていることなどは印象的です。
また、キッチンにいることを楽しむのはもちろん、キッチンでそのまま食事や会話を楽しむ・集まってお酒やお茶を楽しむようなコンセプトのキッチンも多く、その場所自体をひとつのエンターテインメントとするようなアプローチを見受けます。
それはキッチンを料理をする「だけ」の場として捉えるのではなく、暮らしの中で何かが生まれる中心とする考え方です。
居心地の良さを求めながらダイニングも含めてひとつの作業場とする機能性の追求など、様々な要素を含んでいるのがこれからのキッチンの在り方なのかもしれません。
ポータビリティ性がこれからの主流?
先に出てきたアウトドアキッチンもそうですが「キッチンはこの場所に配置されていなければならない」という縛りは年々少なくなっています。
もちろんマンションリフォームなどでは制限を受けることもまだまだありますが、近年のマンション建築ではスケルトンリフォームに対応しキッチンの場所も大幅に変えることができるものも増えています。
そのような「レイアウトの問題」という視点から大きく飛躍して、キッチン自体を持ち運べるポータブルなものにする、というユニークな商品も生まれています。
システムキッチンメーカー大手のクリナップが発表した「モビリティキッチン」はコンパクトなコンソールテーブルが3台並んだようなデザインで、一目にはキッチンとは思えないものです。
人によっては収納やスピーカーが内蔵されたサイドテーブルのように見えるかも知れません。
IHヒーター内臓のコンロユニット、水を循環させて使うシンクユニット、収納兼調理スペースの料理ユニットをそれぞれ4本脚のフレームに乗せて使うため、ダイニングの横でもリビングでも、そしてベランダに持って行ってべランピングにも対応します。
さらには持ち出すことも可能なため災害時に外でつかうこともできるということで、キャンプ用品とはまた違った方法で緊急時にも役立つキッチンという発想には驚きです。
これはキッチンに限らずですが、服や家具も含めて様々なデザイン・機能・価格のものが世の中にはあふれています。
ただその中からひとつのものを選ぶという行為について、皆さん慎重になってきていることも事実です。
「トレンド」という全体的な時代の流れも見据えつつ、その中で自分には何があっているのか、どれが向いているのか、賢く選ぶ人が増えているようにも感じます。
自身が気にする部分とそうでない部分。
それをひとつずつ積み重ねて、毎日の暮らしができています。
一般的に良いといわれるものが自分に合うとは限りません。
視野を広く持って、いろんなキッチンを見て、ぜひ自分らしいキッチンを見つけてください。
私ども家具蔵でも様々な視点からベストなキッチン選びをお手伝いいたします。
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