「リノベーション」と「リフォーム」の違いを知る その2
2018.6.12
2回に分けてご紹介している「リノベーション」と「リフォーム」の違い。
「その1」ではそもそもの違いと費用の違いなどをお話ししました。
最近、特に耳にすることも多く、住宅事情のトレンドになっている「リノベーション」、今の住まいを修繕する・改装するといった「リフォーム」にはこんなメリットとデメリットが存在します。
リノベーションのメリット
●自由に設計できる
住宅を新築するときは別ですが、賃貸住宅などは住まいに合わせて生活スタイルを変えるといったことが一般的です。
しかし、本来は住宅が個々の生活スタイルに合わせて変わっていくのが本来の姿のはず。
それぞれが望む生活スタイルが送れるように、住む人の好みや志向に合わせて建物を変化させるという考え方がリノベーションです。
建売の住宅や中古の住宅にそのまま住む場合、完全に自分好みの空間をつくることは難しいでしょう。
内装に強いこだわりがあり、自分たちの生活スタイル叶えたい、そんな方に「リノベーション」が適しています。
間取りを変えて広々としたリビングを作ったり、逆にプライバシーを重視して個室を作ったり、特注キッチンを設置するなど、画一的な住宅では実現不可能な、生活スタイルにあった住宅の実現が可能です。
●物件の選択肢が増える
希望する居住エリアで、自分たちの生活スタイルを満たす新築の住宅を探すのは意外と難しいもの。
特に人気が集中する都心部で希望する内容の住宅を見つけることができず、別のエリアに変える、希望する条件を諦めるなど希望を妥協する傾ことも。
しかし、最初からリノベーションを前提として考えれば、中古の住宅なども選択肢に入ります。
また、新築の物件と違い建物自体の価格も安くなるため、そのぶんリノベーションに予算を充てることも可能です。
例え、間取りや内装、設備機器が条件を満たしていなかったとしても、あまり気にする必要はありません。
住みたいエリアの駅から徒歩5分以内や、閑静な住宅地や水辺で暮らしたいなど細かな環境の条件さえ満たしていれば良いので、対象となる戸建やマンションの範囲を増やすことができます。
●新築を建てるよりもコストを抑えられる
同じ条件で、新築の住宅を購入する場合と中古の住宅を購入してリノベーションする場合の費用を比較してみると、中古の住宅を購入してリノベーションしたほうが、20%から30%程費用を安く抑えることができるケースがままあります。
また、中古物件の条件にもよりますが、新築より安く理想の住空間を手に入れられる確率も上がります。
リノベーションのデメリット
●築年数が長いため耐久性に不安
中古の戸建やマンションを購入する場合には築年数に注意しなければいけません。
なぜなら、建築基準法の改正以前の建築だったり、見えないところに手抜き工事がされていることもあるからです。
昔は現在ほど建築の管理について厳しく言われていませんでした。
現在の法律の基準を満たしていない物件もあり、その場合に耐震改修などを行うとかなりの費用が掛かることもあります。
つまり、せっかくの費用をおさえることができるというメリットを活かせなくなってしまうのです。
耐震基準の大幅な法改正が行われた1981年6月以前に建築確認を受けた建物は現在の基準を満たしていない可能性があります。
ただし、それ以前に建てられた建物だとしても、建築基準法の改正を見越して新たな基準で設計されていたり、そもそも基準よりも高いレベルで設計されたりするものもあるので、不安を感じる場合は専門家に見てもらうのがよいかもしれません。
●住むまでに時間が必要
一般的に中古の戸建やマンションを購入する場合には、自分に適したものを探して購入し、引き渡しが行われた後に住みますが、リノベーションの場合には、引き渡しまでの間に建物検査・設計・施工などの作業が加わります。
また、内装や建築に強いこだわりを持っていると、打ち合わせにも十分な時間が必要で、結果として完成させるまでには多くの時間が掛かります。
強いこだわりを実現するには打ち合わせは必要不可欠です。
忙しくて打ち合わせの時間が十分に取れないという方や一刻も早く住み替えたい方には少しハードルが高くなります。
●ローン金利が高くなりがち
中古の戸建やマンションを購入しリノベーションを行う場合にローンを利用しようとすると、リノベーションの費用には一般の住宅ローンが利用できないため、住宅ローン以外に別途、リフォームローンを利用する必要があります。
リフォームローンは金利が一般の住宅ローンよりも高い傾向があるため、総じてローンの金利が高くなります。
さらに、購入後に工事がはじまるため、工事の間の家賃など二重払いが発生する場合もあり、資金計画をしっかりと立てる必要があります。
なお、リノベーション済みの戸建やマンションの購入であれば、住宅ローンのみで済むため、リノベーション済みの戸建やマンションも選択肢の一つとして検討してみるのも一つの考えです。
現代風にリノベーションされた中古物件も多く出回り始めています。
リフォームのメリット
●費用が安い
建物全体の間取りを変更するなど大掛かりな工事は伴いませんので、建て替えやリノベーションなどに比べて費用を安く抑えることが可能です。
予算に応じて、必要な箇所のみリフォームできるのも魅力です。
●工期が短い
大掛かりな工事は無い分、工事にかかる期間も短くて済みます。
建て替えやリノベーションですと工事期間中は仮住まいに引っ越しをする必要、もしくは可能性があります。
しかし、リフォームですと程度にもよりますが、規模によっては建物に住んだまま工事を終わらせることが可能です。
●完成後の住居をイメージしやすい
リフォームは「住宅の機能を新築の状態に戻す」ことが主な目的なので、建物の見た目や機能が大きく変化することはありません。
一般的に住居には何年も住み続けていることが多いため、その空間の使い方に慣れているのが通常です。
住み心地に変化が生じることに抵抗がある場合におすすめです。
リフォームのデメリット
●住宅の機能は改善しない
前述のとおりリフォームは、壊れていたり老朽化したりしている箇所を「直したり、修理したりする」ことなどを意味します。
そのため、設備以外の住宅そのものが持つ機能(間取りや機能性)が改善することはありません。
もし家族の増減や、住む人の健康状態に変化があった場合は、より住みやすい住居を手に入れるため、リフォームではなくリノベーションや建て替えを検討してみることがお勧めです。
●コストパフォーマンスが良くないことがある
リフォームは、建物の残す部分を傷つけないよう少しずつ丁寧に壊しながら作るという作業の繰り返しになります。
工事は一度にまとめて行えばその分効率が良くなるので、単価が安くなります。
広い面積を一度に工事するリノベーションや建て替えに比べると、リフォームは細かい工事が多いのでかえってコストパフォーマンスが悪くなることがあります。
リフォームする箇所があまりに多くなるようなら、リノベーションや建て替えを検討したほうが良いでしょう。
いかがでしたか?
「家を手に入れる」という大きな夢を叶える際にこうして様々な選択肢があることはとても良いことです。
しかし、大きな額のお金を払うのであれば、しっかりとした計画と知識を持って臨みたいもの。
リノベやリフォームをお考えの方に、今回のコラムが参考になれば幸いです。
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