外壁材の種類を知る その2
2018.5.22
家を建てる時に必ず必要になる「外壁材」。
2回に分けてとりあげている今回のテーマ、前回は最近主流になりつつある「サイディング」をご紹介しました。
今回はその他の外壁材についてお話していきます。
■モルタル
漆喰などと並んで塗り壁の代表格であるモルタル。
モルタルの壁は、ラスという針金の網などの上に、砂と水、セメントを混ぜて練り上げたモルタルを左官コテで塗りつけた外壁材です。
1980代までは主流でしたが、施工に手間がかかるため最近ではあまり用いられなくなった工法です。
しかし、外壁塗装を必要とする年代の家屋では、まだまだモルタルが少なくありません。
模様の造り方によって4種類に分かれ、名前や性能が異なります。
■ジョリパット
ジョリパットとは、フランス生まれの塗り壁材です。
砂と塗料を混ぜて作られるので、表面がザラザラになります。
特徴は、安価でも耐候性や防汚性に優れていて色あせしにくく、カラーバリエーションや仕上げ方法などが豊富な点。
ヒビ割れも少なく、高耐久であるといえます(それでも10年に1度は塗装が必要)。
■吹き付けタイル
吹き付けタイルとは、表面が凸凹になるように異なる種類の塗料で3層にして1から5ミリ程度の厚さで吹き付ける複層仕上げです。
仕上げの方法には、中粒仕上げと表面を潰す押さえ仕上げがあり、それぞれ模様が違います。
通称、ボンタイル、玉吹きと呼ばれる模様です。
表面はツルツルしているため、リシンやスタッコに比べて使う塗料の量が少なくなります。
弾性タイプもあり、モルタルの弱点であるヒビ割れを起こりにくくするものもあります。
■リシン
リシンとは、薄付け仕上げ塗材と呼ばれる仕上げの方法です。
見た目は、表面に細かい砂粒がありザラザラしていて、艶もありません。
これは塗料と一緒に砂粒を混ぜて吹き付けるため、このようなデザインになります。
仕上げ方法の中で一番安価です。
素材には、セメント系とアクリル系のものがありますが、現在はアクリル系が主流です。
ヒビ割れを起こりにくくする弾性リシンもありますが、元々の塗膜が薄いためあまり意味がなく、弾性系なので汚れやすいです。
そのため、ヒビ割れを気にするなら他の仕上げ方法をお勧めします。
再塗装する場合は、リシンの下地は吸い込みが激しいので、しっかりと下塗りを吸わせてから中上塗りをする必要があります。
■スタッコ
スタッコとは、厚付け仕上げ塗材と呼ばれる仕上げ方法で、リシンを厚くしたものだと考えて間違いありません。
5から10ミリ程度の厚さで吹付けます。
素材もリシンと同じく、セメント系とアクリル系のものがありますが、現在はアクリル系が主流です。
見た目は、表面が凸凹でザラザラしています。
弾性スタッコもあり、吹き付けタイル同様、ヒビ割れを起こりにくくするものもあります。
■漆喰
漆喰は、水酸化カルシウム・炭酸カルシウムが主成分でできている外壁材です。
日本では古くから、城郭・寺社・民家・土蔵などに使われていました。
民家では、瓦や石材の接着や目地の充填、外壁や室内に施工され、ナチュラル施行の強い現代でも人気の高い施工です。
■ALC(軽量気泡コンクリート)
ALCとは、軽量気泡コンクリートのことです。
わかりやすく言うと通常のコンクリートの耐久性は強いが重いという欠点を克服して、重さを約4分の1にした軽いコンクリートです。
正式名称は、Autoclaved(オートクレーブ養生) Light weight(軽量気泡) Concrete(コンクリート)です。日本で最も有名なのが、旭化成のへーベルハウスで、ALC=へーベルハウスだと思っている人も多いとか。
原材料は、珪石、セメント、生石灰なのでシックハウス症候群の原因となる有害な化学物質やアスベストを含んでいないため人体に無害で、リサイクルが可能な環境に考慮した建築資材です。
不燃材で断熱性に優れており熱伝導率はコンクリートの約1/10です。
戸建住宅の外壁には、厚み50ミリメートルのALC板が使われます。
水に弱いという特徴があり、そのため、塗装が剥がれてしまうと劣化する恐れがあるので、早めに再塗装する必要があります。
また、サイディングと同じく目地部分があるので、経年でのシーリングの補修は必須です。
■RC(鉄筋コンクリート)
RCとは、鉄筋コンクリートのことです。RCと鉄筋コンクリートは別物と言う方もいますが、同じものです。
正式名称は、Reinforced(補強された) Concrete(コンクリート)です。
圧縮の力に強いが、引っ張られる力に弱いというコンクリートの欠点を、鉄筋を入れることにより補強したものです。
鉄筋コンクリートは、気密性が高く、耐熱性、遮音性、耐震性、耐久性に優れていると言った特徴があるだけでなく、デザインの自由度が高い材です。
コンクリートは、不燃材なので耐火性があるため建物全体が耐火構造と言えます。
デザインは、打ちっぱなしと呼ばれ表面に撥水剤を塗る方法や、表面にリシンや吹き付けタイルという仕上げ材を吹き付けて仕上げる方法を行うことで様々な表現が可能です。
■レンガ
レンガは、粘土や頁岩(けつがん)、泥を型に入れ、窯で焼き固めて作られた外壁材です。
レンガの寿命は、メンテナンスなしで100年以上と言われていますが、実際には欠けたり、色あせをするので、全くメンテナンスがいらないというわけではありません。
塗装自体は可能ですが、通常の塗料を使うと風合いがなくなるので、クリアな塗料が使われます。
レンガは、耐震性、断熱性、耐火性、遮音性にも優れています。これは、素材そのものが丈夫なのもありますが、通常の外壁材の厚さが約12から20ミリなのに対し、レンガは厚さが約70から90ミリもあるためです。
火災保険料が、サイディング等に比べると2分の1以下になる点からもレンガの性能の高さがわかります。
■タイル
タイルとは、粘土、陶土、長石、石英などを砕き、成型し高温で焼き固めた外壁材です。
製法として、湿式と乾式の2種類がありますが、乾式が主流です。
また、吸水率により、陶器質、磁器質、せっ器質の3種類に分かれますが、外壁で使うのは吸水率の低い磁器質とせっ器質です。
タイルは耐水、耐火、耐候、などの優れ性能があり、デザインやカラーのバリエーションも豊富です。
塗装する場合は、風合いをなくさないためにクリアな塗料を使います。
■板張り
板張りは、下見板張りや羽目板張りとも呼ばれ木材を使った外壁で、水が入ってこないようにするため板張りをし、古くから日本の住宅に用いられてきた外壁材です。
木材には、ヒノキ、マツ、スギなどが使われ、断熱性と調湿性が高いのが特徴です。
いかがでしたか?
今回のコラムがこれから家づくりをされる方、今後の改築などをお考えの方がよりよい住まいを手に入れるための参考になれば幸いです。
家具蔵ではこうした家具だけではなく、こうした家づくりにまつわることについてもお話を伺っています。
お気軽にお声掛け下さい。
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