部屋の広さの基準を知る
2018.2.1
住まいにおいて、部屋の広さを測る目安に「畳」「帖」「平米」「坪」などをよく目にします。
日常的に見聞きする基準値であり、当然、数が大きければ広さも増すのですが、曖昧な部分も多く、実際の寸法と表記に違いがあることもままあります。
今回はそんな空間の広さを測る単位の中についてのお話を進めていきましょう。
「帖」と「畳」の違い
よく空間の広さの目安で使われる単位ですが、じつはこれには決まった定義はありません。
一般的に元々は「畳」を使っていたが、現在の住宅の床材はフローリングが主体となっているため、畳を敷いている和室と区別するために、和室には「畳」、洋室やリビングなどは「帖」を使うようになったといわれています。
また、「畳」という文字が「タタミ」を連想してしまい、床がフローリングなのか畳なのか分かりにくくなるという点からも使い分けをしていることが多いようです。
尚、「畳の規格」は地方や物件によっても異なります。
・京 間:955mm × 1,910mm 主に関西地方で使われる
・中京間:910mm × 1,820mm 主に東日本で使われる
・江戸間:880mm × 1,760mm 主に関東地方で使われる
・公団間:850mm × 1,700mm 公団サイズ
古来の日本建築では、建物の平面計画を畳の割付で決める「畳割り」の手法が用いられ、畳を敷き並べてから柱の位置を決めるため、畳のサイズはすべて同じでした。
江戸時代になると、現在の「通り芯(柱や壁の中心線)と同じような概念で、柱を先に配置して平面を決める「柱割り」の手法が主流となり、畳を部屋のサイズに合わせた江戸間が用いられるようになります。
現在ではメートル法による寸法表記が一般的ですが、様々な場面で「尺貫法」(長さに尺、重さに貫、体積に升を基本単位とする度量衡法)を慣用的に用いていることがあり、特に建築の分野では「尺」や「寸」が登場する機会がかなりあります。
「平米」と「帖数」の計算方法
一般的に知られていて普及している畳のサイズは中京間の「910mm × 1,820mm」です。
これに基づいて算出した「1.65平方メートル」もしくは数字を省略した「900mm × 1,800mm」で算出した「1.62平方メートル」というのが通常の回答です。
(ちなみに上に挙げたなかで一番大きい京間と一番小さい団地間では、それぞれ6畳に並べた場合の面積を比較してみると、2.27平方メートル、つまり1帖以上も差が出てしまうことになります)
平成24年5月の表示規約の改正以前は、中古住宅であれば1.62平方メートルに満たない小さい畳でも1畳として表示することが認められていましたが、規約改正により、現在では中古住宅も含めて1畳は1.62平方メートル以上に統一されています。
「1帖」は1.65平方メートル、または1.62メートルで計算することが一般的です。
ただ、基準とする畳の大きさの違いによって帖数に差ができてしまいます。
お住まいの地域(地方)によって標準的に使われる畳のサイズは異なり、かつ畳は、ピタッと納まるように部屋ごとに寸法を変えているので、畳を基準に考えるとバラつきが生じます。
また、これとは別に、これも不動産・建築業界でよく使われる「坪」によって算出する方法も。
1坪は、1辺の長さが6尺(1間)の正方形の面積で、畳2枚分の大きさになります。
(1尺は1mの10/33と規定されています)
「1尺 = 10/33 m 」なので、「6尺 = 60/33 m」 となり、
「1坪 = 6尺 × 6尺 = 60/33 × 60/33 = 3600/1089 = 3.30578512396・・・・・ 」。
「1坪=3.3平方メートル」という基準をよく耳にしますが、これはこうした計算式から割り出されています。
では逆に、1平方メートルは何坪に相当するかというと、1?平方メートル= 1089/3600 = 0.3025 坪と、きれいに割り切れる数字です。
1坪は畳2枚分に相当するので『 帖数 = 平方数 × 0.3025 ×2 』で算出することができる。
この計算式も不動産・建築業界ではかなり一般的なものとなっています。
「あなたの部屋は12平方メートルです」と言われて、広さをイメージすることは難しいですよね。
12平方メートルの部屋の帖数は、先程の計算で算出すると 12 × 0.3025 × 2 =7.26 帖です。
「12平方メートル」と聞いてもピンときませんが、「7.26帖」と聞くとイメージがしやすくなります。
つまり、帖数とは「だいたい畳何枚分」といった感じで、部屋の広さをイメージしやすくする目安の数値なのです。
部屋の広さのイメージは、単純に数値だけでは判断できません。
同じ12平方メートルでも縦横の比率が変わると、広さの印象はまったく違うものになります。
「内法(うちのり)面積」と「壁芯面積」の違い
さらに、部屋の面積には「内法面積」と「壁芯面積」があり、一般的に面積というと壁芯面積が使われます。
内法面積は、「登記面積」「公簿面積」と呼ばれ、不動産登記などに使われる面積です。
壁の表面より内側部分の実際に床として見えている部分を指します。
一方、壁芯面積は、建築基準法に則って確認申請などを行なう際に使われる面積のこと。
上記の内法面積では、工事の過程や壁の仕上がり状況によって面積にバラつきが出てしまうため、基準となる壁の中心線(壁芯)から内側の面積を使います。
これが壁芯面積と呼ばれ、不動産広告などでも一般的に面積と言えば壁芯面積のことを指しています。
この場合、見えるところと見えないところ、どちらを基準にするかで見え方は変わるので、その感じ方にはギャップが生じる、というわけです。
和室がある場合、洋室やリビングなどは?数から算出した帖数を表記していても、和室に限っては単純に畳の枚数で「和室〇畳」という表記にすることもあります。
建築の工事は、完成するまで実際の「モノ」がないため、パースや模型を使ってイメージを伝えることも多いのですが、広さだけは言葉では表現できず、体感することも難しい部分です。
仮にまったく同じ間取りで同じ形、同じ大きさの部屋があったとしても、床材や壁の色、建具の色、照明の配置や照明の色など色々な要素によって、感覚による広さはまったく異なることもあります。
柱や凸凹が多い6帖よりも、きれいな長方形の5帖の方が家具が配置しやすく、広く感じることも。
ただ、この空間の単位についてより知っておくことで失敗のない空間選びにまた近づくことになるのではないでしょうか。
まずは自分が住んでいる部屋の間取りを調べてみるのも面白いかもしれません。
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