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ストレスと住まいの関わり

2018.1.31

このコラムでとりあげている「ストレスと住まいの関わり」。

現代に生きる私たちは常に色々な場面でいわゆる「ストレス」と向き合いながら生活をしています。

今回はそのストレスとの関わり方について「住まい」が果たすことのできる役割をお話ししましょう。

 

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ストレスを生む住環境


 

住まいを工夫することで居住者の心理的健康や健全な発達を維持しようという取り組みとは逆に、現代社会には、シックハウス症候群になぞらえるなら、「メンタルシックハウス」とでもいうべき、住まい・居住環境自体がストレスとなる場合があります。

次のその主なものについて心理学の立場から考えていきます。

人 ストレス

 

「高層住宅」

高層住宅、とくに高層階居住がストレスをもたらすことは既によくいわれているところです。

いわゆるその状況での「不適応状態」は入居後しばらくの期間にとくに特に強く現れることは入居者の感想などからもうかがえます。

また、高層階居住が批判されるもう一つの問題が子供への影響です。

とくに就学前の幼児についての研究は、生活の自立性が遅れることを指摘されています。

さらに人間関係も希薄であるという指摘もあります。

しかし、都市部での高層住宅への需要は多く、土地の有効利用という点からも、また場合によってはステータスシンボルとしてもその需要はいまだ高いものがあります。

高層住宅はその構造から「高層」以外の諸要因を多数含んでいますので(たとえば「集合居住」「密集環境」、「閉塞的」、「都心部での立地」さらに、敷地内や住棟内の「施設の条件」など)、高層住宅あるいは高層階居住の問題を考える場合にはこういった要因が高層住宅居住者の心理に及ぼす影響も考慮しなければなりません。

また、大きな議論となっている子供への影響にしても、周辺環境の整備や安全性などは子供の遊びに影響を与えるはずです。

そこで、高層住宅の必要性を認めたうえでその今後を考えるなら、指摘されている問題の主たる原因は高層住宅のどの要因にあるのかを明らかにし、その解決が技術的に可能かどうかを明らかにしたうえで高層住宅は良いのか悪いのかを話さなければなりません。

子供の自立への影響もそれがどう覆し用もないほど強い影響を持ち続けるのかは検討する必要があります。

このほか、高層住宅が普及して既に数十年が過ぎた現在、高層階居住そのものへの順応が生じている可能性など、高層住宅の問題は検討すべき課題が多く残されています。

それらを解明して行く中で今後の高層住宅のあるべき姿が明らかにされていくことでしょう。

 

「密集環境」

高層住宅同様、限りある土地への対応として現れるのが狭小住宅や住宅密集の問題です。

一般に密集あるいは過密環境はストレス状態を引き起こすこと、他者との接触や共同行動などが減少することよく知られています。

そして、心理学のさまざまな実験や調査では、こうしたことが周辺環境の密集と住戸内部の密集のいずれにおいても起こり得ることを示唆しています。

一方、空間的密集が心理的「混み合い感」と必ずしも一致するものではないこともよく知られていることです。

そして、こころの問題と関連するのは多くの場合いわゆる「混み合い感」であることから、住まいあるいは住まい方の工夫としては、「混み合い感」の生じる条件を理解する必要があるといえます。

そのひとつの条件が個人の対処能力です。

同じ密集状況でも物事に対して個人的対処が可能であるという認識を持つ人の方が混み合い感は弱いことも指摘されています。

これは環境など自分の抱えている問題への対処が混み合い感に影響することを意味しています。

あるいは密集した住環境では社会的支持が低下し、それがさまざまな心理的症状をもたらすことや、密集環境では人間関係が薄い人ほど混み合いによるストレスが高いといったこともいわれていますので、人間関係が混み合い感による負の影響を媒介するともいえます。

このように、密集の問題は非常に心理的な要因に左右されるという意味で、住構造的な工夫のしにくい問題ともいえます。

しかし、豊かな人間関係の形成を促進する住宅の考案という視点からの対応が可能かもしれません。

その際、地域レベルでの開発であるならば、住戸のアプローチ方向、道路のあり方、共同利用空間のあり方までも含めて、近隣関係の形成を促進する条件を検討することが必要があるのです。

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住まいの心理学的意味とは


住まいは私たちの日常生活の中で活動の重要な「ベースキャンプ」となっています。

また、災害で住まいを失った人の心理や、望まない転居でそれまでの住まいを離れざるを得なくなった人の心理などを考えると、住まいは我々にとって深い愛着の対象となる存在であることもわかります。

ここでいうベースキャンプは主体がある行為を行うのを心理的に支えるという意味で、「心理的ベースキャンプ」と言い換えることもできるでしょう。

住まいを癒しのある空間にする欲求は高まりをみせています。

そんな住まいづくりに貢献できる、そんな集団でありたいと家具蔵は考えています。

                                    

 


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