奥深き「オーダーキッチン」の世界 ~その4~
2019.12.20
短期集中連載となる4回目。
ハウスメーカーとの家づくりに際し、木のキッチンにこだわり、キッチンから全てを決めたという方のお話をご紹介します。
世の中、おおよそコーディネートと呼ばれるものを上手くまとめるにはコツがあります。
それはいわば「主役となるものを決めること」です。
例えば、コーディネートと聞いて真っ先に思いつくのが洋服です。
これも「靴を目立たせる」「アウターとの相性が良いものを選ぶ」「パンツの形状やデザインに合わせる」「この柄を活かすには」など、その「主役とすべきもの」を中心に足し算・引き算していくと、その日のファッションがスムーズに上手くまとまりやすくなります。
実はインテリアや住まいも同じなのです。
空間のなかで大きなポイントを占めるものが決まれば、あとはそこからの足し引きだけ、といっても過言ではありません。
例えば住まいの空間のなかで大きなスペースを占めるダイニングテーブル。
サイズ選びはやはり重要で、当然、空間全体との兼ね合いもあるなかで、どんなチェアを何脚配置するのかでその大きさが変わることもあります。
そのテーブルのサイズ次第で、ほかの家具のサイジングも決めやすくなりますね。
照明の位置取りも変わります。
テーブルの中央にペンダントライトを垂らすには、この位置にこのサイズのテーブルがあるから電源はここにセットする、ということも。
縦に置くか横に置くかというレイアウトの違いでも他の家具とのバランス含め、過ごしやすさや見た目がまるで変わってきます。
また、どんな素材や色味のものを選ぶかでも他の家具や建具、カーテンなどのインテリアが変わることもままあります。
この場合はテーブルですが、ソファや壁面収納といったものに置き換えても良いでしょう。
つまり、そうした「中心となるもの」「大事にしたいもの」「一番こだわりたいもの」「大きなもの」から空間全体を考えていくと、その空間には統一感が生まれ、回遊のしやすさなどの快適さはその引き算から算出できるようになります。
つまり、「住まいやすく、見た目も上質」な空間が生まれるのです。
家具蔵が以前より唱える「家具から始める家づくり」。
多岐にわたる意味合いがある言葉ですが、こうした観点も持ち合わせています。
キッチンも同じことです。
普段過ごすLDK という空間のなかで大きな存在感と実務的な役割を果たすキッチンという存在。
このキッチンを暮らしの中心に考えるなら、まずキッチンから住まいのすべてを考える。
木のぬくもり溢れる無垢材キッチンなら、それを活かすのは当然自然材。
床も壁も建具もこだわって、当然その他の家具も同じ無垢材の家具でテイストをそろえる…。
そうすることで統一感ある上質な空間となります。
また、オーダーキッチンなら自分たちの使い勝手が存分に叶うものになります。
そんな空間は、おそらく「世界で一番」の場所であるはずです。
我が家の中心になるキッチンには納得のいくまでこだわりたかった
今回のN様も新築の間取りを考える際に大事にしたのはキッチンの位置でした。
当初より、キッチンの位置とデザインは文字通り住まいの中心にくる完全にオープンな対面キッチンを想定していましたが、大勢で集まって一緒に作業をしたり、囲んで団欒が出来るデザインとして、フルフラットなアイランドキッチンに決まりました。
木の素材を印象的に見せたインテリアに自然に溶け込むようなキッチンを求めて、家づくりを依頼したハウスメーカーが紹介する様々なシステムキッチンを検討していましたが、 「どうしても質感、素材感が『つくりもの』という気がして今一つ・・・」 とお話になるN様。
それもその筈、長くデザイン会社を経営されるN様は細部にまでこだわりを持っており、デザインはもとより、その素材のもつ質感も大切に感じていました。
そして、キッチン選びに行き詰っていたなかで家具蔵と出会い、家具蔵のスタッフの中でも特にキッチンづくりに詳しく高度に専門的なアドヴァイスも可能なキッチンスペシャリストと共に詳細な打合せを重ね、理想のオーダーキッチンを形にしていくことになります。
キッチンのすぐ隣にある和室の柱や鴨居と、最も馴染の良い素材をキッチンの面材に使うことで、無垢材による本物の質感が生む心地よさを家中に派生させる事に成功したN邸。
一日の時間の中で、キッチンシンクの前に立ち、庭の木漏れ日を眺めながらのひとときは、日々ハードな仕事と家事の両立の中での大切な息抜きとなっているそうです。
収納性抜群でありながらその存在感を感じさせない前面の扉と一体になった無垢材ペニンシュラキッチンはこれから月日をかけて時間の色がつきながら、えもいわれぬ風合いと優しさを醸し出していくことでしょう。
それは長く使うことで得ることができる、毎日の生活の中でじっくりと味わえる幸せなのです。
既存のキッチンメーカーでは味わえない木の優しさあふれる無垢材キッチンは、使う人のこだわりを随所にちりばめたもの。
見た目や使い勝手も考えながら、空間と一体の家事の主役となる存在として、家族団欒の一助として活躍してくれているようです。
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