奥深き「オーダーキッチン」の世界 ~その18~
2020.7.26
これから新築やリフォームを考えている方に、木のキッチンづくりのヒントをご提供する家具蔵のキッチンブログ「奥深きオーダーキッチンの世界」。
これまで様々な媒体で取り上げてきたケース・スタディを改めて振り返りながら、素敵な木のキッチンを実現された方々の色々なプランと、隠れたエピソードなども交えてご紹介してきました。
前回は、念願の家の新築に際して、家具蔵の一枚板ギャラリーにて一目惚れした、一枚板のテーブルを中心に、キッチンをどのようなものするか考え抜いた末、既成の「システムキッチン」と家具蔵の木製収納をミックスすることで、コストを抑えながら統一感のある、魅力的な木の寛ぎ空間を実現されたご家族のエピソードをご紹介しました。
室内のインテリア素材として、木の分量をどのくらいの割合にすると心地よく感じられるかという分析に用いられる言葉に「木視率」というものがありますが、ちょうどよいバランスで配置された家具や天井の梁などの木質材料が、モダンさと寛ぎの両方の印象を与えてくれるような住まいの良き実例と言えそうです。
最初にキッチンや家具をお届けしてから5年が経ちますが、つい先日もご家族でお店に立ち寄られ、これから必要となる家具や照明器具のお話をしたり、楽しみながらインテリアを整えていく喜びを感じていらっしゃる様子に、木の家具、木のキッチンの良さを改めて実感しました。
さて、今回ご紹介するのは…
山の別荘をご新築される際に、以前からご存じであった家具蔵のダイニングテーブルと椅子を見に店舗にいらした際に、家具蔵でも木のキッチンを製作している事を知り、インテリアにこだわりのある奥様が豊かなイメージを広げることで生まれた、華やかな木のキッチン実現までのエピソードです。
家具へのこだわりから生まれた、チェリー材の脚付きキッチン
以前から、ことあるごとに見かけていた家具蔵のダイニングテーブルとチェアが気になっていた、というS様。
山の別荘の新築計画にあたり、ダイニングセットを探して家具蔵の店舗を訪れました。
そこで偶然に目にしたのは、いわゆるキッチンのデザインとは異なる、置き家具のような脚をもち、軽やかに佇むチェリー材の美しいデザインのキッチンでした。
それを目にした事で、元来素晴らしいインテリアのセンスをお持ちになっていた奥様は、家づくり、キッチンづくりのイメージが広がっていったと仰います。
それからは、家具蔵のキッチンプランナーと建築会社の現場担当者とS様で何度も打合せを重ねながら、木のキッチンプランを練っていく作業が続きました。
そして完成したのは、一般的なログハウスの少しワイルドなイメージとは異なる、華やかなモダンインテリアに相応しい、家具のようなキッチンです。
湖からの緩やかな坂の中腹に佇むS様ご夫婦のセカンドハウスは、室内に入ると森の風景も取り込む吹き抜けのあるゆったりとした空間となっています。
そこを彩る調度品や装飾品は、ご夫婦のこだわりに満ちたものばかり。
そんな空間に求められるキッチンは、 自然とそれ自体がインテリアの一部になるようなオープンスタイルとなりました。 先述の通り、設計の初期段階から計画を進めたため、床材や建具との調和、 窓を中心にシンメトリーに配置された無垢材壁面収納など完成度の高さが際立っています。
S様がどうしても叶えたかったのが、 無垢のチェリー材の質感とキッチン本体、壁面収納とも「脚付き」にして床から少し浮かせること。
軽やかで上品な見栄えとともに、掃除がしやすいという利点もありました。
「ここには休みに来ているのに、家事が楽しくてつい掃除や料理に動き回ってしまうの」
と奥様は朗らかに笑います。
そして、もうひとつの見どころは無垢材キッチンと引き戸でつながったパウダールーム。
こちらはご主人のこだわりで洗面台をキッチン同様、傷や汚れに強い人工水晶の天板とし、木部をチェリー材で製作しました。
鏡も同じ無垢材でオーダーし、引き戸を開けても絵になるホテルのようにエレガントな空間に仕上がっています。
見せるキッチンとそれに繋がる実用的で美しいパウダールーム、無垢材家具やアイアンの装飾品によって、日常と非日常が入り混じる魅惑の空間が完成しました。
アイアンやタイルなど異素材を組み合わせ、カントリーや山小屋風とは異なる甘すぎないインテリアのダイニング。
そして無垢材テーブルはあえて耳付きを選び、モダンさの中にも自然の造形をプラスしました。
自然素材ばかりではない組み合わせの中でも、それぞれのマテリアルが見事に調和しています。
ダイニング側を向いたカウンター下の無垢材収納は、木と石の「フレームキッチン」の中に別の箱を入れ込んだように見せ、「家具性」を強調するデザインにしています。
写真左端の袖壁の陰になる奥の冷蔵庫前にも、家電をまとめて置ける無垢材棚を作り付けました。
吹抜けの大空間であるリビングダイニングは、存在感のある2本脚の大きなテーブルで引き締めています。
耳付の樹形を活かしたテーブルを見ていると、まるでそこにサクラの大木が横たわっている、そんな感覚にもなるようです。
S様が特にこだわられた無垢のチェリー材の質感高いキッチン。
横方向に繋がる引出しなど、全て一本の長い材料から木取りをして木目を通すことで、ラインの流れが途切れず、更に奥行感を感じることができるのも家具蔵の木のキッチンならではです。
ライムストーンの床でつながる無垢材キッチンとペア設計のパウダールーム。 鏡も同じチェリーの無垢材で製作しました。
森に囲まれたウッドデッキに、ヌメ革と無垢材を組み合わせた「アームチェア デュオ」が映えています。
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