奥深き「オーダーキッチン」の世界 ~その20~
2020.9.19
これから新築やリフォームを考えている方に、木のキッチンづくりのヒントをご提供する家具蔵のキッチンブログ「奥深きオーダーキッチンの世界」。
これまで様々な媒体で取り上げてきたケース・スタディを改めて振り返りながら、素敵な木のキッチンを実現された方々の色々なプランと、隠れたエピソードなども交えてご紹介してきました。
前回は、タオルの産地として有名な愛媛県の今治市にお住まいのご家族が、新築の計画の中でキッチンをどこに依頼するかを模索する中で偶然家具蔵の木のキッチンの存在を知り、最終的には海外の有名なオーダーキッチンメーカーではなく家具蔵の木のキッチンをご選択する事となったエピソードをご紹介しました。
海外の高級オーダーキッチンメーカーとの比較の末にご選択されたL型の木のキッチンは、広々としていて使い勝手も良く、モダンなインテリアにもマッチしている、という理想的なキッチンプランです。
キッチンの依頼先として有名なオーダーキッチンメーカーを候補にされている方にとっても参考にしていただける実例となりました。
さて、今回ご紹介するのは-------
新しい住まいの設計を、かねてからお付き合いのあった著名な建築家に依頼された際に、キッチンにもこだわりたいという思いから建築家のデザインするキッチンを検討する中で、プロダクトとしても完成度やその他の家具や自然素材を多用した建材との完全な調和を図って家具ショップのデザイン・製作する木のキッチンをご選択になったお客様のお話です。
なつかしさと新しさが同居する自然体のキッチン
東京・世田谷区の閑静な住宅街。
古くから敷地に自生する立派な木々の生い茂る庭に囲まれたご新居の住まいの中に入ると、白いファブリックブラインドから自然光があふれ、無垢材のキッチンや床を照らす本物ゆえの表情が光の中で引き立ちます。
キッチンや食卓からは、それぞれ趣の異なる庭をさまざまな距離感で楽しめる、という特徴を持つお住まいでもあります。
設計者の本間至さんは日本を代表する住宅作家として著名な建築家であり、家と外部との心地よい関係性を常に高いレベルで実現させる設計で高い評価を得ています。
「庭に囲まれた敷地の中で、どんな風に景色が暮らしの中で目に飛び込んでくるか、 その位置づけから設計した」
と本間さんが説明して下さいました。
そんな緑の風景にふさわしいのが無垢のナラ材でつくられたオーダーキッチンです。
今回、ご夫婦が選んだ家具蔵の無垢材家具の落ち着いた表情は本間さんのきめ細かい設計手腕でつくりだされた、モダンでありながらシンプルで無駄のない空間にしっくりとなじんでいるように見えます。
壁側の収納扉は框組に鏡板、手前の収納は細かく割った無垢材の羽目板で製作されました。
それらの木の質感が白い漆喰の壁に組み合わせられると、北欧風、または現代的でありながらどこか昭和の家のような懐かしさもただよいます。
キッチンとダイニングの間には、 料理の受け渡しができるカウンターを設置。
手前の無垢材収納は高さが930㎜あり、キッチンとダイニングを程よく連続させながら、家具的な表情をダイニング空間に与えています。
一方でキッチンの中は機能的な空間に。
一直線に伸びた動線は、余計に動くことなく調理や片づけを進めることができます。
設計上の細かな工夫としては、キッチンの上は天井が低めになっており、天井までスッキリと造り付けられた食器棚の上部まで手が届きやすく、無駄なスペースが出来にくいこと、そしてキッチンに立った際に自然と落ち着きを感じる空間になる、という伸びやかなダイニング空間とのメリハリをさりげなく生み出す設計上のテクニックがありました。
家の中はどこよりも自然体で心地よく過ごせる場所にしたい。
そんな本間さんの住まいに対する思いを実現するために、温もりのある無垢材キッチンは必要不可欠な存在でした。
これから数十年使い込まれて、ご家族とともに深みを増し育っていく、そんなキッチンの情景が目に浮かぶようでした。
無垢材キッチンと無垢材ダイニングテーブルは会話が心地良い距離感。
カウンター下はすべてダイニング側から使う収納に。
椅子に座ったまま筆記用具、薬などを取り出すことができます。
長さ2.5mの無垢材キッチン。
左側にシンクとコンロという実用的なゾーンをまとめ、右側は大容量の収納と奥様の小さなデスクを設けています。
収納の中まで美しい仕上がり。 開けた時の印象が違います。
食器を出し入れしやすいように、細かな棚割になっています。
ワークトップの素材は人工大理石。
水を使う部分はお手入れのしやすさを重視して選んでいます。
シンク下の引出しには内引出し。
この扉部分まで無垢材なのは家具蔵ならでは。
分別ゴミBOX用の引出し。
大きな瓶や家電なども入る多目的スペースです。
食器洗い機は海外製の幅60㎝。
食器だけでなく、大きなボウルや鍋、ガス台のゴトクまでまとめ洗いできます。
リビングと緩やかにつながる小さな書斎。
窓枠を兼ねたデスクの天板とブラインドBOXを仕込んだ内法材が壁面収納と美しく連続しています。
部屋全体を見渡せるベストな位置に佇む無垢材チェア「チェア プローネ」。
関連する記事
最近の投稿
- ベッドフレームの「選び方」とは? 2024年10月29日
- キッチン収納の変遷の歴史を知る 2024年10月27日
- オーダーキッチンをキッチンリフォームにとり入れたい! 2024年10月25日
- よく耳にする「突板」とは何か?無垢材との違いは? 2024年10月23日
- 【吉祥寺店 定休日常設のお知らせ】 2024年10月21日
- ラウンドテーブルのサイズはどう決めるのか? 2024年10月19日
- ソファの張地は「布」と「革」どちらがよいのか? 2024年10月17日
- リビング学習の整備には部屋の環境の整理から! 2024年10月15日
- 「庭木」はどう選ぶ? 2024年10月13日
- 椅子は「座面に角度があるもの」を選ぶ理由とは? 2024年10月11日
カテゴリー
- 家具の選び方・置き方 (1,564)
- インテリア&住宅情報 (637)
- 人と木と文化 (396)
- ニュース&インフォメーション (439)
- オーダーキッチン関連 (405)
- 一枚板関連 (631)
- オーダー収納関連 (611)