キッチンの「シンク」はどう選ぶ? ~素材や製法を知る~
2021.9.27
目次
食器を洗う他に食材を洗ったり冷やしたりと、キッチンの「シンク」は日々の家事に不可欠な存在です。
食洗機の普及がどんどん進んでも、ほぼ必ず装備される設備でもあります。
場合によっては、メインシンクとサブシンク、というように用途や好みによってシンクを使い分ける、という人もいます。
キッチンの使い方、そしてキッチンでの過ごし方は人それぞれです。
そしてキッチンの選び方も、画一的ないわゆるシステムキッチンから海外製のもの、オーダーキッチンまでそのスタイルの幅は年々広がっています。
今回はどのキッチンにも欠かすことのできない「シンク」についてどのように選んだらよいのかを、素材別・形状別にお話ししていきます。
シンクの代表格は「ステンレス」「人工大理石」「ホーロー」の3種類
シンク素材の代表格である「ステンレス製」、いわゆるステンレスシンクは以前より高い支持があり、人気があります。
あるいは人工大理石はワークトップ(天板)の素材として高い人気と普及度を誇りますが、それに合わせて同じ素材にすることもよくある事例です。
海外製でツヤ感のあるホーローシンクを選ぶ人もあり、こと「素材」で考えた際に選ばれることが多いのはこの3種類に分類されます。
素材別にその特徴を見ていきましょう。
コストパフォーマンスと自由度のステンレス
耐熱性と耐腐食性の高さ。
この2つの要素により、システムキッチンが普及する前からシンクにはステンレスが多く用いられてきました。
ステンレスにはその金属の配合により、200もの種類があるといわれます。
キッチンに使われる代表的なものは「SUS304」と呼ばれるステンレスです。
もうひとつの代表的なキッチンにおけるステンレス「SUS430」は磁石を取り付けることができ、例えば壁面にメモを貼り付けたりフックを取り付ける目的で壁面素材として使用されることが多々あります。
「SUS304」は熱伝導率が低く、強度も高いため、毎日、長期間使用することになるキッチンには最適な素材です。
熱いお湯を流したり、様々なキッチンツールや食器を誤って落としてしまったりしても、丈夫であることが最大の特徴であり強み。
その厚みにもよりますが、一般的なプレスシンク(金型を作り、一枚のステンレス板をプレスすることによって作られるシンク)であれば適度な柔軟性もあるので、ある程度の衝撃(モノを落とすなど)があっても割れにくいということも特徴です。
また、型がある程度決まっていてコストを抑えることのできるプレスシンクから、100%オーダーで作る手板金シンクなど、選べる幅が広いのがポピュラーであり続けている理由でもあります。
「梨地」「ヘアライン」「バイブレーション」など、特注で製作するものも含めれば表面の仕上げ=質感の違いも多様にあります。
基本的に色はシルバー、つまり銀色ですが、一部のメーカーではカラーステンレスのシンクもラインナップしています。
ステンレスをクリスタルガラスの被膜でコーティングすることで、ホワイト・ベージュなどのカラーバリエーションに対応した「COMOシンク」は、ワークトップの素材とのカラーコーディネートを楽しむことができるステンレスシンクです。
意匠性や衛生面に優れる人工大理石
加工しやすく、低コストで色や模様のバリエーションが多いことから人気の人工大理石(人大)。
ワークトップでこの人大が広まるにつれて、シンクも同じく人大で揃えることも多くなっています。
ワークトップとシンクを同じカラーや同じ素材で一体感を出すことは、より幅広い視野でキッチンデザインを楽しむことに繋がります。
この意匠性が人大の大きな特徴です。
選び方次第で高級感のあるキッチンにも、カジュアルなキッチンにも演出できます。
実用的な部分に目を向けると、ワークトップとシンクを人大で揃えた場合、シンクとのつなぎ目が無いシームレスなキッチンが出来上がります。
人大天板とステンレス製のアンダーシンクの組み合わせの場合避けられない「目地」が無くなり、一体化させることができるので、掃除がしやすい衛生的なシンクとなるのです。
ただし、傷がつきやすいことは覚えておいた方が良いでしょう。
主流であるアクリル系の樹脂をメインとする人工大理石の場合、刃物や金属によるキズが入るとその傷に汚れが入ることで全体的にくすんだように見えてしまいます。
また、耐熱性もステンレスに劣るため、白系の色の場合は熱いものを置くと色が変わってしまいます。
金属を長時間置いてしまうといわゆる「もらいサビ」も付くことがあるので、人大のシンクを選ぶ場合にはその色や柄のチョイスが重要です。
機能性と美しさならホーロー(琺瑯)
鉄やアルミニウムにガラスの釉薬(うわぐすり)を焼き付けたもので、シンクの他にも鍋・保存容器・食器でもよく見かける素材です。
「傷がつきにくい」というガラスの特徴と、釉薬によって様々な色を付けることができるので機能性と意匠性を同時に満たしてくれるというところは大きな魅力です。
ただ、国内メーカーではほとんど作られておらず、海外製品から選ぶとなるとサイズや形のバリエーションが限られてしまったり、納期に日数を要する、という部分に注意が必要です。
表面のガラス釉薬が割れてしまった場合、素地が鉄やアルミニウムの場合はサビが出てしまうところは使い勝手という点で好みが分かれるところとなるでしょう。
「プレス」「手板金」「ステップ」とそのスタイルや製法も多様
シンクにはその形状や製法にも様々なものがあります。
さきのお話しに出てきた「プレスシンク」「手板金シンク」はその代表的なもの。
プレスシンクは文字通りステンレス板を機械でプレスして成型します。
四隅の角は比較的丸く出来ているものが多く、掃除のしやすさやコストパフォーマンスの良さでは右に出るものがありません。
最近では排水部分まで一体成型しているものもあるので、ゴミだまりができにくく、衛生面でも優秀です。
意匠性、スタイリッシュさを求めるならば手板金シンクが選択肢に上がります。
職人が1点ずつ手仕上げで作るシンクは、既製品タイプからの選択も、オーダーで製作することも可能です。
例えば別に取り付けるものが多い、洗剤や食器を洗うスポンジ用のカゴもシンクと一体で作ることができます。
サイズだけでなく隅の部分の丸みも好みの形にオーダーできるなど、オリジナルのシンクが出来上がります。
意匠性も機能性もこだわりたいという方にお勧めのシンクです。
近年はシンクの内部にリブをつけ、そこにプレートやまな板を置けるようにすることで、シンクを立体的に使うことが出来るシンク「ステップシンク」も増えてきています。
ワークトップの作業面と高さを合わせてプレートを置くことで作業面を広くしたり、内部のリブにパンチングプレートを置いて安全に湯切りが出来たりと、シンクの深さを利用した使い方が可能です。
キッチンの扉やワークトップの色柄にこだわる人は増えていますが、シンクについてはこだわる人がまだまだ少ない、というのがキッチンを検討しているお客様とお話しをしても感じる部分であります。
シンク一つをとっても素材や形状について様々な選択肢がある今の時代、せっかくキッチンを新しくするのであれば、シンクについても使い勝手や美しさといった多方面から考えるとさらに快適なキッチンライフに繋がっていくはずです。
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