オーダーキッチンはどの部分に予算を大きくかけるべきなのか?
2023.2.12
自身が納得いくキッチンにするためには優先順位をつける
新築やリフォームでキッチンを考える際に「食洗機は海外製のものを入れたい」「ワークトップは流行りのセラミックにしたい」など、叶えたいことは考えれば考えるほど出てくるものです。
もちろん希望の全てを実現できるに越したことはありませんが、新築やリフォームでは全体の予算やバランスも考えなくてはなりません。
キッチンに求められるものは主に機能性・意匠性・メンテナンス性です。
例えば「機能性」という言葉一つをとっても、収納の「機能」、機器の「機能」の他、動線性など考えられる項目は多岐にわたります。
機能性や意匠性、メンテナンス性の全てにおいて最上級のグレードを求めることができれば最高ですが、それが叶わない以上は、その中で自分が納得できるものを選ぶことが重要であり、優先順位をつけていくことが重要です。
納得がいくキッチンを作るためには可能な限り自分の目で見て、触れて、確かめることは欠かせません。
打ち合わせや実店舗を見て回る前に、自分の中で重要視するポイントをリストアップし、あるいは家族とキッチンについて話し合ったりすることで、チェックすべき項目を絞るようにしましょう。
そのことで打ち合わせをスムーズに進めたり実店舗に足を運ぶ回数を減らすこともできる「時短」に繋がります。
今回はその事前準備として、オーダーキッチン製作でどの点に優先順位をつけるのか、のヒントをお伝えしていきます。
機器に優先順位を置く場合
キッチン機器の主なものとしては、水栓・浄水器・食洗機・クックトップ・オーブンなどがあります。
この直近の10年間を見ても、これらのデザインや機能性は格段にアップしています。
最近ではクックトップからの赤外線信号でレンジフードが連動するもの、IHやガスコンロはスマホからレシピに合わせたコントロールができるものなど、キッチン関係のものも進化を続けており、生活家電やスマートフォンのように機能もデザインも良くなければ売れないという流れになっています。
どのようなものでも日進月歩であり、テクノロジーは進化し続けます。
現在においての最高級のハイスペック機器を選んでも10年後にはもっと良いものが出ていることもあるでしょう。
10年を目途に都度キッチンをリフォームするという人は少ないですが、機器についてはそのくらいのペースで壊れたり、あるいはより良いものに買い替える(買い替えたくなる)ということが将来的に起きることを想定しておくことはとても大切です。
機器のサイズについても買い替えを想定しておくことが重要です。
食洗機であればW450ミリかW600ミリ、国産のクックトップであればグリル部分の幅は600ミリなどと決まっているものが多いですが、キッチンメーカーによってはオリジナルの機器などもあり、一般的なものとの互換性がないこともあります。
デザインや機能性と合わせて、そうしたところにも目を向けて選ぶことも大切です。
また、家族が多いから食洗機は海外製のW600のものを入れたいという希望があったとして、10年後にもその容量が必要かどうか、それよりも収納のスペースを広くとるという選択肢は有りか無しかなど、大は小を兼ねるという楽観的な考えではなく、これからの自分のライフスタイルに合うかどうかも気に留めてほしいポイントです。
収納性に優先順位を置く場合
キッチン製作の打合せの中で一番多く、そして細かな要望が挙がるのが収納プランです。
間取りや動線に対して収納部分をどのようにレイアウトするか。
家族の中でキッチンを使う人は誰と誰か。
家族構成や来客の多少によって所持する食器の量も異なります。
収納の高さを腰高までで抑えるか、あるいは天井まで届くものにするのか。
ダイニングスペースに向けても食器などを収納できるスペースを設けるかなどのプランの違いでその仕様は大きく変わってきます。
また、収納スペースは多ければ多いだけ便利ですが一方で余計なものを増やすことにも繋がりやすくなります。
キッチンプランを考える際に「収納が足りなくて」という話はよく耳にしますが、収納スペースを広くする前に「本当に暮らしに必要なものが収納されているのか」を一度立ち止まって考えてみてください。
吊戸棚やパントリーの中身をいったん全て出してみると「よくこれだけのものが入っていたな」と思うくらい、所持しているものの多さに気付くはずです。
そしてそれらを毎日使うもの・週に一度は使うもの・月に一度、あるいは年に一度、と使用頻度別に分けてみると、年に1回も使わないものや、もともとセットだったがどちらかしか残っていないものなど「なくても困らないもの」たちが必ず出てきます。
それらの為に大切な収納スペースを占領させておくよりも、もっと有効な予算の使い道もあるかもしれません。
収納を優先順位の一番手に考える際には「今あるもの」の整理もふまえたものにしていくことが重要です。
意匠性に優先順位を置く場合
キッチンは設備ではなく家具の一部という考え方は今や広く浸透し、機能だけでなくその意匠性も選ぶ際には大切な要素となっています。
特にキッチンがリビングダイニングから見えるようなレイアウトでは、ワークトップや面材の素材も空間の印象を決めるインテリアの一部であり、その機能性とともに見た目は軽視できません。
長く親しまれてきたステンレスや人工大理石のワークトップの他、クォーツやセラミック、タイルやモールテックスなど、天板素材はその種類だけでも確実に選択肢は増えました。
さらにその中での色・柄をメーカー別でみていくと、まさに数えきれないくらいの種類が存在しています。
そして面材については時代と共に、よりナチュラルなものが多くなっています。
システムキッチンというとビビッドな色やツヤのあるものをイメージする人も多いかもしれませんが、最近では木目調やマットな仕上りのアースカラーなど、LD部のインテリアとの親和性を求めたものも多く見られます。
木目の面材だけをみても、シート材・メラミン化粧板・突板・挽板・無垢材などその幅は広く、もちろんそのグレードに伴って価格のレンジも様々です。
私ども家具蔵では、木目調・木目風のモノでは満足できないというお客様の声からキッチンまで手掛けるようになりましたが、様々な素材が選べる今の時代の中でも特に本物志向の人も増えている印象です。
リビングダイニングとキッチンが繋がる空間では、キッチンの印象は全体の雰囲気にも大きく関わってきます。
このように「どこにこだわってキッチンをプランするか」はある意味でその人次第ですが、機器などは適切なスペックを見極めたり、将来的に買い替える可能性も想定すること、収納は家族の構成や動線を意識することが大切です。
また、面材は様々なグレードが用意されているため、同じ木目調のものでも選び方で予算調整が可能です。
どうしても迷った際にはキッチンの中で一番予算を掛けるべきなのはワークトップでしょう。
全体の意匠にも関わり、更には毎日の作業性にも大きく影響するためです。
自分なりのこだわりポイントが整理できたら、まずは実際に見て触れてそのこだわりがどこまで満たされるか、是非実店舗で確認してみてください。
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