ガスかIHか?キッチンの設備は何を基準に選ぶか
2023.11.2
住宅の形態や性能とクックトップの関係性
キッチンのクックトップの選択は、住宅の形態や性能と連動していることもままあります。
例えば新築の戸建住宅の場合、オール電化住宅またはウィズガス(電気とガスを上手に使い分ける)により、クックトップの選定も変わります。
建築物における省エネルギー対策は重要な課題となっており、政府も様々な施策を打ち出しています。
新築の場合はクックトップ単体だけではなく、住まいの性能も含めての検討となります。
集合住宅の場合は念のため選定の可否を確認することも重要です。
とは言え、オール電化であってもクックトップはガスで、またその逆、ということも全く無い訳ではありません。
例えば入居時にはガスクックトップであっても、将来的な変更も視野にIH用のコンセントが設置されている場合もあります。
将来の交換に向けて、このような対応がなされているかどうか事前に確認しておくと良いでしょう。
以前にそれぞれのクックトップの特徴を紹介しましたが、今回あらためて比較検討を行いたいと思います。
IHの特徴は
「IH」とは電磁誘導加熱(Induction Heating)のことでわかり易く言うと、鍋全体が発熱する仕組みです。
接地面が直に熱源になるため効率が良いのが特徴です。
ガスのように鍋等の調理用具の周りから熱が逃げない為、熱効率が90%と無駄なく熱を利用することができます。
IHを使われている方はお湯を沸かす時、その有用性を実感している方も多いでしょう。
また、火力が安定し調整しやすいので長時間の煮込み料理に向いています。
タイマー機能が搭載されていて弱火でじっくり煮込むことができるのです。
この機能を上手に使うことで、他の家事に充てる時間を生み出すことができます。
煮込み料理が得意な奥様にとっては調理時間の時短につながり、いわゆる「時産」が生み出せるのです。
また、火力が安定し温度調整ができることから、誰でも効率良く、美味しいお料理を作ることができるのもメリットです。
何より炎が出ないので、小さなお子様が多いご家庭や高齢者の方には安心ですし、天板がフラットでお手入れも容易です。
年々暑さが増す夏場では、調理中の暑さを軽減でき室温に影響しないのも嬉しいことです。
ただ、ガスコンロと比べると、普及率は23%程度に留まります。
話題性はあるものの、実際に採用となるとやっぱりガスでということも多いようです。
その理由は様々ありますが、まずは今使っている鍋等の調理用具が使えないことが多いということ。
主婦にとっては長年使い慣れてきた用具は大切な存在です。
買い替えることに抵抗を感じることもあるでしょう。
特に鍋については圧力鍋や無水鍋等が普及し、効率よく美味しくできる調理が可能になっています。
安全性重視の高齢者も最近はいわゆる「中食」の利用が増え、料理をする負担が減っています。
このような状況ですと、これまでと違う使い方ではなく、慣れた親しんだ調理器具と操作性で使い勝手を維持したい、だからガスのままでと考える方も多いでしょう。
そして最大の心配ごとは停電すると使用できなくなる、ということ。
太陽光発電など住宅に蓄熱のシステムが無い場合は卓上コンロ等の備えも必要です。
ガスの特徴は
ガス機器については、ほとんどの方に使用経験があるはずで、メリットやデメリットについては実感されていることでしょう。
ある意味で、IHで感じる「デメリット感」がそのままガスの優位性につながります。
それ以外にも炊飯もガスで、また火を使った料理の方がおいしく感じるということもよく耳にします。
ガスはやはり火力が魅力。
家庭用としては火と向き合って料理をする達成感もあるでしょう。
安全性について心配という声に対して、家庭用ガスコンロには国の基準が義務付けられています。
それはバーナーに搭載されている「調理油加熱防止装置」と「立ち消え安全装置」です。
さらにガス業界で「コンロ消し忘れ消火機能」、「グリル消し忘れ消火機能」、「高温自動温度調節機能」といういわゆる「Siセンサー基準」があり、各メーカーではそれがプラスになる基準が設けられています。
安全面で気になることについては、これらを十分に理解して安心して使いたいものです。
ガス器具の特徴である火を生かし、家庭用では左右両方に3,610カロリーの強力バーナーを設置したタイプもあります。
またグリルもワイドになり使い易くなりました。
IHも同様ではありますが、ガス器具付帯グリルの特徴として専用のプレートやダッチオーブンを用いて、焼き魚だけでなくお肉、野菜を含めたレパートリーも人気となっています。
これらを使うことで油が飛び跳ねにくくなりますので、グリル内のお手入れの手間もかかりません。
以前のグリルは、庫内や網のお手入れが面倒でしたが、メンテナンス面ではかなり改善されています。
一例を挙げますと、庫内についた油を高温で焼きることでニオイや煙をカットする機能が付いたものもあります。
火の扱い方に注意することができれば、このような新しい調理方法でレパートリーや楽しみも広がりますね。
IH、ガスはどちらも優れた器具です。
それぞれの特性を活かした様々な工夫もされています。
もちろんデメリットはありますが、それを他の調理器具、家電機器で補うこともできるでしょう。
最優先したい機能、性能は何なのか、優先順位を考慮して自分に合った器具を選定しましょう。
暮らし方や使い方に合った器具選び、キッチンプランについてのお悩みがございましたら、
最寄りの家具蔵のキッチンスタジオ迄お問い合わせください。
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