日本の伝統的素材の豊かさを、
後世に残したい
vol.05 クルミのダイニング・ウォールナットのリビング 東京都 山本邸
泉幸甫建築研究所
泉幸甫さん
泉幸甫建築研究所代表。日本大学教授、工学博士。1947年熊本県生まれ。NPO法人家づくりの会の設立に係わった中心メンバー。 会が主催する「家づくり学校」の校長を勤める。東京建築賞最優秀賞、日本建築学会作品選奨など受賞。
「アパート併用住宅、ご自宅で茶会をされたいという要望や、バス通りに面した立地など制約が多かったのですが、それがかえってプランニングを固めるのに役立ちました。 素材使いは私が長年培ってきた手法を踏襲しています。木、石、紙、鉄などの本質的な美しさを、ひと手間かけてシンプルに引き出すような見せ方です。 その中で家具蔵の家具は、様々なインテリアの要素がミックスしている室内にうまく調和したと思います。 伝統と革新の美しい融合を感じさせています。例えば山本邸の欄間ですが、この複雑な組子の造形は、現代のハイテク技術が生かされています。 幾何学模様をコンピューターで作成し、そのデータを加工機械に送り、正確な寸法にカットされたパーツを建具職人が組みあげる事でこのような美しい造形が比較的容易に生まれます。 伝統をそのまま継承することももちろん大切ですが、現代ならではの技術力や発想力をもって、また新しい価値観を生み出していく。 そこに普遍性や本質的な美、面白さがあれば、それが新しい伝統になり得るという事ですね」。この家を設計した泉幸甫さんはこう語ります。







