白木のリビングに響く、
フルートの調べ
vol.20 ナラのリビング・ダイニング 東京都 林邸
春の休日、林家のリビングに次男・広真さんが吹く軽やかなフルートの音色が響いた。親しい友人を集めたミニコンサートとはいえ、広真さんは全日本学生音楽コンクールで優勝経験を持つ腕前。集まった人々は美しい音色に聴き惚れ、演奏後は祖母の亜希子さんお手製のケーキを味わいながら和やかに寛いでいた。長男・航平さんはアメリカの大学に留学中だ。二人の息子さんを「特別でなくても、心豊かな人になってほしい」と大切に育ててきた俊子さんの家具選びのポイントは、「長く使える丈夫なもの」だったという。無垢材のなかでも硬く丈夫なナラのダイニングテーブルは、9年前に購入したものだ。その後、現在の家に引越し、デスクやTVボードを買い足した。「注文した家具が仕上がるまで待つのも楽しいんですよね。新しい家族を迎えるみたい」と、俊子さんは微笑む。ご主人・慎一さんは仕事で遅くなることが多い分、ダイニングテーブルを「昔のちゃぶ台のように、家族の原風景として子どもたちの記憶に残るものにしたかったんです」と話す。息子さんたちは食事も勉強も、このテーブルの上だった。テーブルの下にぴったりと収まるベンチには、友だちがたくさん来ても並んで座われた。夏の暑い日には「ひんやりした感触が心地よくて、よくベンチで昼寝しましたね」と、広真さんもなつかしそうだ。難関の音楽学校に進学を決めた広真さんに、「音楽だけじゃなくて、人として大切な感覚も忘れずにね」と俊子さん。ご両親の愛情は、広真さんの情感豊かなフルートの音色にも表れているようだった。










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