骨董を見つめるその審美眼は、
家具選びにも通じる
vol.06 ウォールナットのリビング・ダイニング 東京都 井上邸
7年の歳月を掛けて少しずつ買い足されていった家具蔵の家具に囲まれた生活を送る井上夫婦。おふたりは揃って骨董好きで、休暇を利用して、ロンドンの骨董市を回ったこともあるほど。リビング・ダイニングには、弥生時代の土器から14世紀頃の中近東の器、江戸時代の染付まで、さまざまな時代のあらゆる地域の逸品が同居している。 なかでも奥様・まきこさんが、この頃魅かれているのが李朝の白磁。 「いびつなところが寛容で、どうにでもとってください、って言っているようでしょ。見ているだけで、赦されるような感じがとても好きなの」。ご主人の朗さんも「作為を感じさせないところがいい。いいものに接して生活していると、自分も高められていくような気がするんですよ。本当にいい物には、職人の高い技術と精神が宿っていると感じます」。 骨董を見つめるおふたりの審美眼は、家具選びにも通じている。 「時間を経ると、合成物質のトレンド製品は汚れたり傷がつくと買いかえたくなる。家具蔵の家具のように天然の素材を使った普遍的なものは、そうはならない。時間の経過とともに愛着が出てきて使い込むことで自分のものになっていくんですよね」。おふたりは、値段やブランドに関係なく、自分がいいと思ったものをしまいこまわずに生活の中で使いこなしている。 「着こなす、使いこなすと言うけれど“こなす”ということは、家具に限らず全てにおいてとても大切なこと」と、朗さんは、LDアームチェアのひじ掛けを優しく撫でながら話してくれた。










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